第21話 Prisoners②

文字数 1,080文字

 烏丸が逮捕されPiece Noireは実質解体、ホルニッセ王子もあのシスターととある少年の情報提供により発見された。これで俺たちが抱えた問題も解決したかに思えたが…
「はぁ…結局おれはただ街中をうろうろしていただけかー…。こっちに来たばかりの時だっていつもいつも姉さんにやってもらってばかりで、今回もさー、おれが何か月もかけて探していたのに見つからなかったホルニがさー、あんなあっさりと見つかるなんてー…」
「でもマルコは烏丸逮捕の功労者だよ!まあ最初その話を聞いた時はどう反応して良いかわからなかったけど…俺も大迷惑を被ったし。でもあれは烏丸を陥れる作戦だって知って納得できたよ」
「おれは千の指示通りやっただけだもん!功労者はおれじゃなくて千だもん!」
「いや俺だけじゃあれは出来なかったが…」
「でも9割千の手柄じゃないか~!!」
むしろ1割くらいが俺の手柄だと思うがな…。経営が再開した喫茶レーヴェは以前の盛り上がりを取り戻し多少店の中で騒いでいても問題はないだろうが、話を聞くこちらとしてはとてつもなく面倒である。
「どっちも抱え込むからだよ…。俺のことなんてほっといてホルニッセ王子の方に集中すれば良かったのに…」
「それか王子の方を見捨てるか、な」
「やだやだ、どっちもおれの親友だもん!どっちも助けるって決めたんだもん!」
「その結果がこれだよ。そういうことわざもあるだろ」
「そんなの一般論だよ~!やってみないとわからないじゃん!」
「そう言って馬鹿を見るやつがいるから教訓としてことわざがあるんだろ」
「ロン~!千がいじめる!!」
「白城さんが言うことが正しいと思うけどなぁ…。まあどっちも助けたいっていうマルコのやさしさは良いものだと思うよ」
「そういえばホルニが千に会いたいって言ってたよ」
「俺に?王族直々にご挨拶か?こんな観光地旅人一人ひとり迎えてたらキリがないだろ」
「いやなんか話したいことがあるんだってー」
話したいこと?全く心当たりがない。仮に事件解決の礼やマルコが世話になった、程度だったら無視したいところだが…。いや、俺もあのお騒がせ王子には1度会ってみたいと思っていたのだった。
「わかった。まあ帰るまでに会えればな」
「え、もう帰っちゃうの?全然ヴァッフェルを堪能してないじゃん」
「いや、もう十分堪能したわ」
「違うって~!本当のヴァッフェルはもっとすごいんだぞ!」
「はあ、そうかい。じゃあまた知り合いでも連れて今度は観光しに来るぜ」
「やったー!10人でも100人でも連れてきてね!喫茶レーヴェでおもてなしするよ!」
「え、うちそんなにお客さん入れないよ…」
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登場人物紹介

Hornisse=Zacharias

食と芸術の観光地、ヴァッフェル王国の第一王子。強く美しくフレンドリーな国民のアイドル的存在だが、何者かに誘拐されて失踪中。

Marco=Tiglio

ホルニッセに仕える近衛兵。異世界のイタリア出身。陽気で常識人だが、優柔不断なところがある。

白城千

『千年放浪記』シリーズの主人公である不老不死の旅人。人間嫌いの皮肉屋だがなんだかんだで旅先の人に手を貸している。

獅子堂倫音

マルコ同様異世界から来た日本人。人が苦手だが身寄りがない自分を拾ってくれた店主のために喫茶店で働く。少年とは思えない綺麗な高音の歌声を持つ。

烏丸エリック

街はずれの教会の神父。真面目な好青年で人々からの信頼も厚いが、拝金主義者という裏の顔を持ち利益のためならなんでもする。

Katry=Kamelie

教会のシスター。包容力と正義感を持ち合わせた聖職者の鑑のような人物だが気になることがあると突っ走ってしまうところがある。

Natalie=Schlange

街はずれに住む魔女。ホルニッセに一目惚れし、彼を独り占めするために誘拐、監禁する。夢見る乙女だが非常にわがまま。

浜野ハヤテ

ナタリーと共に行動する青年。根暗で厭世的。自らの出自を隠しているようだが…

Amalia=Tiglio

マルコの姉。面倒見がよく器用なところが認められヴァッフェル王国の第二王子であるアルフォンスの世話係に。

Alfons=Zacharias

ヴァッフェル王国の第二王子でホルニッセの弟。なんでも完璧にこなすが、プライドが高く兄のことを見下している。

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