色縁筒

文字数 386文字

まだ運命の人に出逢っていないだけ。
そんな自負と親のいらぬ勧めで、重い足取りのまま婚活パーティに着いた。
簡単な受付を済ますと、筒の様なものが渡された。
「こちら“色縁筒”と言いまして、煙の色で異性との相性を確かめられます。一般的にピンク色に近いほど好相性だと言われています」

会場で無礼講が始まると、早速ひとりの女性が挨拶に来た。
談笑をしたあと色縁筒の蓋を開けると、お互いの筒からモクモクと煙が出た。
混ざり合った煙は白色に変わった。
煙の色を見た女性はなあんだ、とぼやいて立ち去ってしまった。
その後数人の女性と試したが、必ず煙は白くなり、女性は白けてしまった。

仕方なく会場を出ようとするとウェイターが声をかけてきた。
「そう落ち込むこともないですよ。実は白い煙は、何色にも染まることのできる性格の持ち主にしか現れないのです。広い世界に出て、あなたの愛する人と幸せになってくださいね」
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