第13話
文字数 1,277文字
☆☆☆
部屋のパソコンの電源を入れる。ウィーン、と音がして、動き始めるパソコン。
ワープロソフトを起動して、おれは小説を書く。七月最後の日の、執筆。
ひばりのギャルバンじゃないけど、おれも夏祭りあたりに、部で運営してるサイトで公開できりゃいいなぁ、と思う。
四コマ部は、起承転結のある作品、をモットーにしてる……んだと思うんだよ、おれは。部長のナタクの奴がなにを考えてるかはわからないが、四コマというからには、起承転結だ。序破急じゃねぇぜ。
と、ぶつくさ言いながらパソコンのキーボードを叩く。パソコンはデスクトップパソコンだ。なので、持ち運べない。部室では、原稿用紙や雑記帳で戦う!それを元に、家で作業するのが、おれだ。
そのやり方を部長は気にくわないと思ってるんだろうけど、なにせ、人数分のパソコンを用意するのが今の部費では無理なのだ。仕方ないだろう。と、いうより、他の部員がだいたいノートパソコンやタブレットを使って部室で作業するスタイルが、なんだかここが田舎じゃないような錯覚さえさせるのだから、不思議なものだ。
田舎じゃない、といえば、ゲーム療法の治験にこの地が選ばれているのも、田舎故か、それとも、田舎っぽくない故か。いや、絶対田舎だろ、ここ。工業地帯のベッドタウンではあるんだけれども。
工業地帯の近くだからって電化製品で家が最先端だと思ったら大間違いだぜ。
って、なにを言っているのか、おれは。
おれはキーボードを叩く。
一週間以内に、小説を終わらす。
今日起こった出来事を思い返すのは、そのあとでいい。
☆☆☆
学校の部室に着くと、すでに部活は始まっていた。
「島崎。夜中にアップされたあれはなんだ?」
「はぁ?」
部長のナタクがつっかっかってくる。胸くそ悪い。
「はぁ、じゃない。昨日の深夜に、おまえ、勝手に小説の連載を始めただろ」
「悪いかよ」
「悪いわ。勝手にそんなことをして。部活中はろくに活動してないし、一週間以内に連載を終わらすと宣言してあるし……。大丈夫か、おまえ?」確かに。大丈夫じゃないかもしれない。
「大丈夫に決まってんだろ」
だが、口をつく言葉は、「大丈夫」という一言だった。
書き終えてからサイトに連載していこうと思った。だが、気が変わった。
昨日、〈本物たち〉に会ったからだ。
おれは横目で、部室内にいるひばりとくるるを見やる。やつらはおれとナタクの会話なんて無視している。まー、いつものことだし。
「今週中に終わらす」
おれも、なにかっこつけてんだろうか。もっと違う言葉遣いできないのだろうか。
うーん、やっぱり無理だ。
おれはおれでしかあり得ない。
おれはむしゃくしゃと興奮が入り交じった感情をぶつけるしかないのだ。見せつけてどうにかなるってわけでもないけど。
ナタクはため息をついて、
「阿呆はいつも阿呆だな」と、あきれる。
「悪かったね」
笑いそうになる。
おれはきっと、〈雨月市小学校銃撃事件〉の犯人と同じように、ひとを殺すときは笑って殺すだろう。かっこつけの、狂気。
「宣言したからには一週間で仕上げろよ」
「わーってるよ」
部屋のパソコンの電源を入れる。ウィーン、と音がして、動き始めるパソコン。
ワープロソフトを起動して、おれは小説を書く。七月最後の日の、執筆。
ひばりのギャルバンじゃないけど、おれも夏祭りあたりに、部で運営してるサイトで公開できりゃいいなぁ、と思う。
四コマ部は、起承転結のある作品、をモットーにしてる……んだと思うんだよ、おれは。部長のナタクの奴がなにを考えてるかはわからないが、四コマというからには、起承転結だ。序破急じゃねぇぜ。
と、ぶつくさ言いながらパソコンのキーボードを叩く。パソコンはデスクトップパソコンだ。なので、持ち運べない。部室では、原稿用紙や雑記帳で戦う!それを元に、家で作業するのが、おれだ。
そのやり方を部長は気にくわないと思ってるんだろうけど、なにせ、人数分のパソコンを用意するのが今の部費では無理なのだ。仕方ないだろう。と、いうより、他の部員がだいたいノートパソコンやタブレットを使って部室で作業するスタイルが、なんだかここが田舎じゃないような錯覚さえさせるのだから、不思議なものだ。
田舎じゃない、といえば、ゲーム療法の治験にこの地が選ばれているのも、田舎故か、それとも、田舎っぽくない故か。いや、絶対田舎だろ、ここ。工業地帯のベッドタウンではあるんだけれども。
工業地帯の近くだからって電化製品で家が最先端だと思ったら大間違いだぜ。
って、なにを言っているのか、おれは。
おれはキーボードを叩く。
一週間以内に、小説を終わらす。
今日起こった出来事を思い返すのは、そのあとでいい。
☆☆☆
学校の部室に着くと、すでに部活は始まっていた。
「島崎。夜中にアップされたあれはなんだ?」
「はぁ?」
部長のナタクがつっかっかってくる。胸くそ悪い。
「はぁ、じゃない。昨日の深夜に、おまえ、勝手に小説の連載を始めただろ」
「悪いかよ」
「悪いわ。勝手にそんなことをして。部活中はろくに活動してないし、一週間以内に連載を終わらすと宣言してあるし……。大丈夫か、おまえ?」確かに。大丈夫じゃないかもしれない。
「大丈夫に決まってんだろ」
だが、口をつく言葉は、「大丈夫」という一言だった。
書き終えてからサイトに連載していこうと思った。だが、気が変わった。
昨日、〈本物たち〉に会ったからだ。
おれは横目で、部室内にいるひばりとくるるを見やる。やつらはおれとナタクの会話なんて無視している。まー、いつものことだし。
「今週中に終わらす」
おれも、なにかっこつけてんだろうか。もっと違う言葉遣いできないのだろうか。
うーん、やっぱり無理だ。
おれはおれでしかあり得ない。
おれはむしゃくしゃと興奮が入り交じった感情をぶつけるしかないのだ。見せつけてどうにかなるってわけでもないけど。
ナタクはため息をついて、
「阿呆はいつも阿呆だな」と、あきれる。
「悪かったね」
笑いそうになる。
おれはきっと、〈雨月市小学校銃撃事件〉の犯人と同じように、ひとを殺すときは笑って殺すだろう。かっこつけの、狂気。
「宣言したからには一週間で仕上げろよ」
「わーってるよ」