第3話 始動

文字数 1,267文字

あの日以降すっかり芸能人という言葉の響きや名誉の虜になっていた。僕は自分で言うのはなんだがルックスは良い方法だ。例えば、自分から告白したこともないのに今まで恋愛に困ることはなかったし、可愛いと評判の付き合っている彼女もいる。また、最近流行りのイケメン俳優に似ているとよく言われる。

そのため、芸能界への狭き道は他者と比べると比較的明るい方だろう。もちろん成功する確率は低いが……

僕は頂点に辿り着くための計画を立てた。

まずは痩せることに専念しよう

幸いなことに学部はスポーツ健康科学部ということでダイエットには詳しい。トレーニング論や栄養学の講義はすでに受け終えた。講義で学んだことを懸命に思い出し献立を考えた。3大栄養素と呼ばれる糖質、脂質、タンパク質のみならず、ミネラルやビタミンなども考慮した献立を作った。

そしてジムで行うトレーニングメニューも作った。有酸素性運動をメインにしつつも、無酸素性運動も取り入れる美しいボディメイキングプランだ。

さっそく最近家の近所にできた24時間営業しているジムに入会した。そのジムはプールやスタジオなどの設備はないが、ダイエットやボディメイキングをするには十分な設備が備わっている。そして月謝も安い。僕は週5日通うことにした。

「ほんま急にスイッチ入ってどないしたんや?」

「色々あんねん」

母はジムにまで入会し、さっそくトレーニングしてきた僕に驚きを隠せなかった。

「月謝は払ったるからなんぼか言いや?」

「月6782円」

「中途半端な値段やな。はい、7000円。お釣りはええで」

「ありがとう」

どうやら母はジムの月謝を支払ってくれるらしい。貧乏学生の僕にとって非常にありがたい話だ。

自分の部屋に戻りストレッチをしている頃、彼女からメールが来た。

「土曜日ここ行きたいな〜」

メッセージとともに写真が送られてきた。僕はデートプランを作るのが苦手でいつも彼女の京子が考えてくれる。送られてきた写真には綺麗な夜景が映し出されていた。写真の右下には摩耶山掬星台という文字が書いてあり、日本3大夜景の1つに数えられているらしい。大阪からは高速道路を使うと車で1時間ほどだ。ドライブ好きの僕には高速道路と山道のワインディングロードを走ることができる道中は楽しみでならなかった。

摩耶山掬星台は写真ですら非常に美しい。僕はドライブがてらに綺麗な景色を見ることが好きなので当然賛成した。

「めっちゃ綺麗やん。行こ行こ!」

「やったー!楽しみにしてるね」

僕達カップルはメールで長々と話すことはあまりせず、必要最低限のやりとりしかしない。それはというと、メールよりも電話や会う方を大事にしているからだ。

僕は土曜日に行く摩耶山掬星台までの道のりを調べつつ、美味しいお店も探した。さすがは神戸、美味しいお店も、おしゃれなお店もなんでもある。良さそうなお店にある程度目星をつけスマートフォンの電源を切った。

土曜日が楽しみだ……














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