動き出した主人公

文字数 1,530文字

物語が進展しない。主人公が動き出さない。と頭を抱えウンウン唸っていると背後からトントン肩を叩かれ振り返ると、物語の主人公が立っている。
私は驚き、如何したのかと聞くと、だってさっきから主人公が動かないって嘆いていたから私が動いてここに来てあげたんだよと言う。私は何が何やら解らなくなり、大きな深呼吸をした。
落ち着きを取り戻した私は、きっとこれは夢なんだと思った。まあ普通の人はそう思うでしょうね。私は主人公である私に、ところでお前はこの先どういう風にしてほしいと思うかね? と聞いた。そうだなもっとオレが女にもてる展開にしてほしいって言うと、お前は一体自分のことを何様だと思っているのかと言われ、そんなこと作者のお前が言うこととちゃうやろと言うと、何時からお前は関西弁使うようになったのかと言われ、それはお前がさっき勝手に動けとぬかしよったから適当に関西弁使っただけやけどそれがお前に何か不都合でもあるがかよおんしゃあごちゃごちゃ何ぬかしてけつかるいねん由その旨ばってんオラオラこれでいぐもやさかいなかまへんやろかと言うと、お前の方言適当すぎるわと言うので、そんなことどうやちかめへんと相変わらずおかしな日本語を話す私に作者の私が到頭笑い出し、勝手に動け言うのはな物語の中でのことでお前が変なしゃべりしてもいいとは一言も言ってないですがねと私が言うと、お前の言うことはどうやらわかりしませんしお前の話し方だっておかしいでがすと私が言うと、ところでお前はオレに不満を言うためにわざわざ作中から抜け出してやって来たのか? あんまり偉そうにぬかしやがるとお前を抹殺することなど屁をこくより簡単にできるんだがなと私が言うと、そんなバカな話があるものか! オレはお前がウンウン唸っていたからわざわざ助けに来てやったのにその言い草はないだろう! だってこのヘボい物語を何とか連載できているのは読者から主人公であるオレのキャラが愛されているからに他ならないのだからそんな愛されキャラのオレを抹殺したら誰がこの糞以下の小説を読むんだよ! お前はちょっとばかしあの認知の入った評論家に褒められたことですっかり天狗になっているがあれはあのボケ老人がノーベル賞作家の晩年の作品と勘違いしているだけなのにお前はそれを真に受けて褒められたと勘違いしやがってオレはちゃんちゃらおかしいやらバカバカしいやら穴があったら入りたいほど恥ずかしいよと私が言うと、お前は何時からオレにそんな偉そうな態度を取るようになったのかと私が言うと、何時からってお前に直接会って話しするのは今回がはじめてだよバカタレ! と私が言うと、お前は生みの親にそんな口の利き方をして許されると思っているのか? と私が言うと、お前を生みの親だなんてオレは思っちゃいないし逆にお前の方こそオレに感謝するのが筋だと思うがねと私が言うと、そんなバカな話があるものかこのタワケ! と私が言うと、命の恩人に何だクソジジイ! と私が言うと、何だとこのインポヤロウ! と私が言うと、えっ何時からオレはインポになったのか? と私が聞くと、お前は元々糖尿病のインポヤロウなんだよこのゲスが! と私が言うと、お前は何時もそうやって適当に主人公のキャラを勝手に変えるけどお前の作風がわけわからない不条理とか何とか言われて適当にキャラをいじくっても不自然に思われないよう上手くやっているつもりかもしれないがもう化けの皮は剝げかけているんだよこのウスラバカ! と私が言うと、そこまで言うならオレ本気で次回にお前を通り魔に刺殺させてやるからなこのクソガキ! と私が言うと、解ったよそれならその前にお前を殺してやるよ! と私は言い作者の首を絞めて殺した。
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