歪んだ気持ち

次の日の彼はいつも通りだったよ。


一言『昨日はゴメンね』って言われたの。


その後もいつも通り仕事して…


その後も月１で飲みに行ったよ。


あの話はしなかったの。


私は歯痒かったよ。


もっと武藤さんの愚痴を聞きたい。


話してほしい。


伝えてほしい。


私を求めてほしい！


私は積極的に話を振る様になっていたよ。


『私には何も出来ないけど…話を聞いて一緒に悩むくらいは出来るから』


それはかつて彼が私にかけてくれた言葉。


最初は戸惑いを見せた彼も私には心の内を伝えてくれる様になっていったよ。


「誰かが知ってくれている事はこんなにも幸せな事なんだね」


彼が感謝の言葉を伝えてくる度私は舞い上がっていったよ。


武藤さんの話から察するに彼はもう奥さんを愛してはいないようだった。


ただ


奥さんは家事を放棄していても千夏ちゃんの事は愛しているらしく…


そして千夏ちゃんもママを嫌いにはなっていないらしい。


離婚する理由はたくさんあるハズなの。


でも自分の判断で娘から母親を奪ってもいいのか？


彼はそこで悩んでいるみたいだった。


私は…


もうすぐだと思ったの。