Ⅳ World wide③ 独りにはしない あらすじ

文字数 945文字

 二〇二七年十一月十九日金曜二十三時、大学の研究室のソファーベットから落ちて、記憶の一部を無くした省吾のもとに、見覚えある女が訪ねてきた。女の雰囲気に懐かしさを感じ、女と暮らした記憶とそうしたい衝動が湧いた。記憶にない女の名は理恵、省吾の母の再従弟の娘で互いの両親は二人のつきあいを認めていたという。省吾は自分を知るため理恵と同居し、理恵を婚約者として知人に紹介する。M市の実家に帰ると内輪の結婚式と披露宴が行われ、出会って二日目、省吾は理恵と結婚した。

 世界は正体不明の巨大な円盤型偵察艦に監視されていた。理恵は気にするなというが、偵察艦は何かにつけて省吾の近くに現れ、省吾に何らかの概念や記憶を喚起した。
 理恵の妊婦検診で病院を訪れた省吾は看護師の高田京子に再会した。理恵と親しくなった京子は精神生命体ニオブのアーマー階級のエージェントで夫の高田医師を監視していた。旧友の小田亮の妻由美子もの夫の小田亮を監視していた。
 京子は、省吾と理恵が他時空間でアーマー階級とともに、人類支配を画策する精神生命体ニオブのクラリック階級を排除したため、省吾たちは他のクラリックの攻撃を受けて、この時空間に逃れた時空間転移意識だと語った。省吾と理恵はそれらを記憶していなかった。

 アレルギー症状で入院した省吾の担当医は高田医師だった。高田医師は省吾に、何度も見た夢を省吾に話した。病室で省吾が独りになった時、偵察艦が病院の真上に現れて、省吾を遠隔治療していった。偵察艦が見えているのは省吾だけだった。
 高田医師の意識は他時空間からの時空間転移意識で、省吾のような時空間転移意識を探るクラリック階級のネオロイドだった。省吾は小田亮が時空間転移意識か否か確かめるため小田亮に会った。小田亮も、何度も同じ夢を見ると省吾に語った。
 高田医師や小田亮が語った夢の事は、京子が理恵に説明した、クラリックの人類支配方法と一致していた。
 小田亮に会った帰り、省吾はクラリックのアステロイド型攻撃艦に攻撃されるが偵察艦に保護され新たな時空間へ転移させられた。

 他時空間へ転移した省吾は理恵と娘の耀子に再会したが、人間関係の全てが変っていた。省吾たちはニオブのクラリック階級を誘きだすレプリカンだったが、知る由もなかった。
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