第106話 提案 Suggestion

文字数 1,890文字

2回戦順位予想
1位 リリウス・ヌドリーナ  1.8倍 ○
2位 黄金薔薇十字団     3.3倍
3位 ダビデ王の騎士団    6.8倍
4位 真言立川流       5.6倍

2回戦MVP予想
1タンザ ○
2ビンゴ
3オポポニーチェ
4イノギン
5ラーガ・ラージャ
6ボルサリーノ
7カンレン
8エスゼロ
9カンショウ
10フォー
11ジャクジョウ
12シザー

2回戦得点結果
1位 リリウス・ヌドリーナ 22点
2位 ダビデ王の騎士団   11点
3位 黄金薔薇十字団     9点
4位 真言立川流       0点

2回戦終了時総合得点
1位 リリウス・ヌドリーナ 41点
2位 黄金薔薇十字団    23点
3位 ダビデ王の騎士団   20点
4位 真言立川流       0点

「こうして見ると、リリウス・ヌドリーナは、2位の倍近い点数をとっているんだなー」フタバは感心したようにしてスクリーンを眺める。
「真言立川流に賭けていたお客さんは気の毒だな。もうさすがに勝ち目がない」マックス・ビーだ。
「そうですね。3回戦の結果次第では、4回戦を待たずにリリウス・ヌドリーナの優勝は決まってしまうかもしれません」賭けのバランスを均衡に保とうと努力していたクーだったが、流石にここまで他の解説者や客たちの雰囲気を見ると、このくらいのことは言わなくてはならないようだ。ただ、その分、じっくりと考えられる時間を極力減らすような流れにはしてみようと努力する。
「もう少し2回戦の感想を言いたいところですが、3回戦まではすでに1時間を切っております。クリケットに、次の試合場を発表してもらいましょう!」
「おおっ」
「そうだ」
「早く知りたい!」
 客の関心は、一気に3回戦の試合場所へと持っていかれた。
 スクリーンも再び、クリケットの大映しに変わる。
 クリケットはキャストから、赤い封筒を渡されていた。中には、3回戦の試合場が書かれた紙が入っている。封筒を一度掲げ、慎重に、うやうやしく、はさみで上部を切る。
ーーあれ、誰にも分からないように厳重に保管されていました、という顔で開けてるけど、中の紙を書いた人は、その内容を知ってるんだよなー。次の準備のために、試合場にキャストとかを集めておかなきゃならないし。
 フタバはそんなことを思いながら、何も言わずに画面を見つめていた。客の視線も釘付けだ。
「3回戦の試合場。ネズミチーム。黄金薔薇十字団が選んだところは……」クリケットがためる。全員が固唾を飲んでみまもる。
「ホーンデットマンション!!!」クリケットが良い発音で発表した。
「ホーンデットマンションとは、こりゃまたねこまた、オポポニーチェらしい選択だねこ」フタバは、ヒナの隣にいる猫を見ながら、完全におふざけモードに突入していた。集中すると、ついつい自分を縛っている殻がはずれてしまうのだ。
 ただ、他の客や解説者も、全員が3回戦の試合展開予想に集中している。誰も突っ込みはしない。
 クリケットは話を続ける。
「あ。みなさま! 少々お待ちください!! 封筒に入っていた紙には、まだ続きが書かれております! こちらを読ませてください!」
 興味に対して人は従順だ。3回戦の展開予想を始めていた全員は一気に静まりかえり、再び、食い入るように画面を注視する。
「それでは読みあげます。3回戦は、黄金薔薇十字団リーダー、オポポニーチェから、試合についての要望がございました! そして、ザ・ゲーム委員会で協議した結果、公正を保った上で、よりエキサイティングになるという理由により、その要望を採用することが決定いたしました! 3回戦は特別ルールとなります! 詳しくは、同封されている映像を参照にされたし、と書いてあります。あ、これだ。これですね」クリケットが、封筒から取り出したマイクロチップを、隣にいたキャストに渡す。
 客はざわついていた。
 特別ルールが採用されることは、ザ・ゲームではたまにある。ただしそれは、より試合が盛り上がる場合だけだ。どこかが有利になるようなルールでは承諾されない。
「フタバさん。特別ルールとは、一体なんだと思いますか?」
「公孫讃はわからんねぇ。あ、なんか用意できたみたい」
「おっ。ですね。それでは、何も言わず、まずは見てみましょう!」VTRの準備までの繋ぎを考えなくてよくなったクーは、客と共に画面に注視した。
 3。
 2。
 1。
 黒くなった画面に数字が流れ、荒い解像度の映像が映し出される。静かでおどろおどろしい音楽。暗い部屋。背中を向けているタキシード姿の紳士と、仮面舞踏会のようなマスクをかけたスーツ姿のインタビュアーが映っている。
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