来世譚 ❀ 朝の光

文字数 627文字

悪い夢から覚めると、アリエッタは見知らぬ教会の長椅子に腰かけていた。

ここはどこかしら?
すると、教会の入口から鳩が飛んできて、祭壇にとまった。
くるっぽぅ
あら、あなたは……

席を立ち、鳩に触れようとした。


 カツン、コツン……


教会の入口から、足音が近づいたので振り返る。

文通相手が遠すぎて、距離を縮めたくなりました
リカルド……
迎えに来ましたよ、アリエッタ

リカルドは、アリエッタの前にひざまずいた。


手の甲に口づけをし、彼女を見つめた。

リカルド、甘い花の香りがするわ……

はい、懐かしいあの庭の

わたしたちに縁のある花なのね

そのようです

甘い花の香りで、ジョンが目を覚ますと、そこは自室のベッドの上だった。

どこからか、そよ風が……
カーテンの開いた窓辺で、椅子に腰かけていたのは。

アリエッタ……。

これは夢ですか?

これはまだ夢ですよ。

ジョン・リンデン

そうですか……。

僕は、すべてを思い出しました……

つらい思いをしたわね……

大丈夫ですよ。

見たものすべて、僕の過去だと受け入れました。


あなたは……咲良さんの守護霊なのですか?

私は彼女のそばにも、あなたのそばにもいますよ。

リカルドも同じです

お二人で僕たちを守ってくださっているのですね

でも、誰よりも咲良を守ってくださるのは、あなただわ

僕は、そんな……

私、嬉しかったの。

涙雨が止む時、あなたは咲良の元へ駆けてくれた。

本当にありがとう

お礼を申したいのは僕の方です
そよ風とともに長いは明け、朝の光がジョンを迎えた。
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登場人物紹介

帯刀 咲良  (たてわき・さら)


 高校2年生、剣術道場の娘。

ジョン・リンデン


イギリス人

インターポールの捜査官。

天羽 理々(あもう・りり)


高校2年生、咲良の親友

合気道部

ラルフ・ローゼンクランツ


ドイツ人

インターポールの捜査官。

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