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文字数 1,181文字
たどり着いた家の戸を、老紋様術師、イグネフェルの作り主たるナーシュが叩く。
家の中から女のものとわかる足音が聞こえ、薄い戸のすぐ向こうで止まった。
その呼びかけで戸が開いた。
大きく戸を開け放ったのは、15か6かという年頃の少女。
機嫌が悪く、睨むようにイグネフェルを凝視してから答えた。
少女の目が凍りついていることに、イグネフェルは気がついた。
親類を
苛立ちながら捲し立てようとした少女は、しかし耐えかねるように言葉を詰まらせた。
孤独な者の沈黙。
人に言葉が届かないことを知っている者の沈黙。
その後、何もかもが面倒だとばかりに、肩でため息をついた。
少女が戸口からどく。
父に続き、イグネフェルもその小さな家の中に入っていった。
ナーシュは窓から遠い二つのスツールの片方に勝手に座り、隣にイグネフェルを座らせた。少女は立って壁にもたれる。
ミクリラはどこか見下げた調子だった。
ミクリラはイグネフェルに話しかけた。
バーカ、その前に準備ってものがあるでしょうが。
いい?
あんたは自分が使う武器を手に入れに行くの。
死んだイグネフェルが最後に自作した紋様兵器よ。遺作ってわけね。それが保管された場所まであたしが連れて行ってあげる。
そう言って、ミクリラは手早く腰に短剣を差し、短いマントを壁掛けからとった。
それで、出かける