文字数 243文字

 白い大きな気球に、人は乗っていなかった。すくなくとも見えるかたちでは何者もそれらから降りてこなかった。

 地球から死が消えたことに人々が気づくと、死刑制度が廃止された。死刑執行しても死なないのだから、制度存続に意味がないのだ。
 極限の火刑に処しても、灰は風がなくとも舞い上がり、元の姿形に復元され人は生きつづける。
 それに殺人という残酷な犯罪が不可能になった以上、死刑に存在意義があるだろうか?

 政治犯の定義もがらりと変わった。
 それどころではない。価値観はすべて、以前のものではない。
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