第1話

文字数 1,320文字

おう!ワイや!
来月から野球の仕事、始めます。清原和博や!
楽しみやなぁ。お前らもそうやろ?清原劇場の第二部開演やでェ!
そんなお前らも、どーや未来の事、考えてみんか?
「名君賢将の動きて人に勝ち、成功の衆に出るゆえんの者は、先知なり」
「孫氏」の一説や。まぁ簡単に言うとやな、情報を先に手に入れたやつが勝ち!や。
詳しくは、11/22の毎日新聞にのっとるから、そっち読むんやでェ。
つまりは青田買いってあるやろ?って話や。
野球のドラフトでも、小豆の先物買いでもええけどな。
ちょっと未来に投資、というかな。
わし、この人ら、ちょっと未来っぽいと思うんやで。”令和”的というかな。
なんでかっちゅうとな、歌ってる奴、ぼんやりしとるんや。なんちゅうかな、誰にあててるわけでもない、特定のだれかの話でもないっていうかな。
例えば、スターがいて、特定のシチュエーションで特定のだれかに向けて歌う。
簡単にいうと、私(歌手)と彼の世界やったな。ワイの時代ってそうなんよ。シンプルやな。
ドキドキしたわ。みんな、ダーリンを自分の事と思って聞いとったわ。
まぁ、”彼”は実在してなくてもええんやし。
具体的にいつ頃かっていうとやな、ワイがKKコンビ組んでた頃やな。
で、次にワイが覚えてるっちゅうとな、彼の存在がだんだんぼんやりしてきよったんや!
彼のディティールが描写されなくなったちゅうかな。
これが、大体ワイが調子良う西部で打っとったあたりやな。
相手のディティールが描写されんようになってきてのう。
とうとう最近、「彼に抱きしめてほしい」とか「君とどうした」みたいな状況の舞台装置になったなぁ、と思っとった。
ワイも引退したし、いろいろあったわ。
矢先にコレや。
もう、自分の存在もぼやけてきよったわ。
「僕の予感」
な? 確定事項なんもないわ。
ワイが「清原和博の予定」って言い変えたらやな、ものすごい信頼感やでェ。
最長でも一か月先くらいの感覚あるやろ?
何?予定と予感じゃ大分違うやと?……ええやないか!近い言葉なかったんじゃ!アホ!


こんなん、ゆうとるけどな。嫌いなわけではないわ。
理解が追い付かないんや。ピカソの絵、初めて見た時みたいな感じに思うとる。
脳で見るっちゅうのができんかったんと同じや。
初めて見たときはわからんのやけど、後追いが出てきたり、解説見たりして、こういうことなんやなって思ったりのう。
例えば、”泣く女”って絵あるやろ?
あれとか、彼女と出会って別れるまでが一枚の絵の中に入ってるわけやんか。
多分、そんなん。
ワイみたいなおっさんには、ピンとこないけどなんとなく引っ掛かりを覚える言葉選びには
今の若者には通じる何かが混ぜ込まれてるんやろう。
これから、後年この時代ってそうやったんやなって思う曲なんやと思うわ。
聞いててしゃらくさい感じするのもそうなんやろ。
多分、多分やけどな。
スマホって存在が懐かしく感じる頃にこの曲の真価が発揮されるんと思うわ。
今思うと、チャットモンチーやパフィーが懐かしいようにやな。
その頃までやってて欲しいなってワイは思うで。


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