穴ウサギ
文字数 482文字
白い虎の子は雌で、スジャーニと名付けられた。スジャーニの前足には赤い傷跡が残ったが、怪我が治ると、チルトとスジャーニはよく森へ出かけるようになった。スジャーニのために穴ウサギを捕まえるためだ。穴ウサギはとても目がよく、夜に動く。そのため昼間は巣穴の中でじっとしている。穴ウサギの巣は木の根元や平らなところにあり、必ず複数の出入り口がある。巣穴ならば子供のチルトでも簡単に見つけられる。スジャーニが巣穴の近に身を潜める。このあたりは土が固く深い巣穴は作れない。チルトが1つの穴から、天敵である蛇に似せた棒を突っ込むと、数匹の穴うさぎが勢いよく別の穴から飛び出す。そこをスジャーニが捕まえる。子供のスジャーニだ。空振りも多い。だが、捕まえたからといって食べるわけではない。スジャーニの未熟な犬歯ではまだウサギの皮を裂くことできない。これは、スジャーニが独り立ちするための狩りの練習なのだ。警戒心が強く素早い穴ウサギが捕まえられれば、どんな動物も簡単に捕らえることができるだろう。
その様子を時折一匹の茶色の穴ウサギがルビーのような赤い目で茂みの奥から見つめていた。
その様子を時折一匹の茶色の穴ウサギがルビーのような赤い目で茂みの奥から見つめていた。