第４１話　令和三十年十二月　再び大阪①

NHK朝ドラ159作目が9月末から始まった。
大阪NHK制作で、ヒロインのモデルとされる女性は昭和から平成にかけて活躍した夫婦漫才出身のコメディエンヌで、過去NHK朝ドラにも出演したこともあるため、リバイバルもされている。

ヒロインの女優は、京都出身で、昨年のウェブCMがハマり一躍知名度を上昇させた、志水里香である。

現在、東京住まいであるが、朝ドラの撮影があるため、この8月から事務所の用意した谷町四丁目のタワーマンションの一部屋に住んでいる。
男性マネージャーがついていたが、この朝ドラのために新しく女性マネージャーがつき、この女性マネージャーも同じマンションに階違いで住んでいる。

志水里香は、朝、女性マネージャーとともにタワーマンションから徒歩で大阪NHKのスタジオに通い、撮影によって帰りの時間はマチマチだが、夜遅くにスタジオから自宅へと帰る。帰りはマネージャーと同行することもあるし、一人で帰ることもある。

一人で道を歩いていても、朝ドラ出演中の志水里香だと気づく人はほとんどおらず、変装もしていない。

マンションと、スタジオの行き来しかできない生活は苦痛で、特に楽しみがない。

楽しみといえば、自宅で学生の時からの大好きな落語VRを流すことぐらいだった。