01 従姉妹が来た
文字数 394文字
昭和四十九年、俺が高校二年の夏、八月のお盆前に従姉妹がひとりで遊びに来た。俺は夏休み中で今は部活も無く家で朝から晩までダラダラとしていた。従姉妹は二つ隣の県の剣見市に住んでいるが、そこがどんな所なのか知らないし、従姉妹と言っても会った事もないし話をした事もない。夏休みに入った七月の下旬に家に一本の電話が入った。その日も暑い午前も昼に近い時だった。従姉妹の母からだ、お盆前に従姉妹の仕事の都合がつき母である私の実家に行かせたいとの内容だった。従姉妹一人で電車で行くけど駅からは行き方が分からないから駅まで迎えをお願いしたいとの事だ。父は快諾して迎えは兄が車で行くよう手配をした。日にちと電車の時刻が分かったら再度連絡するとの事だ。俺はその事を聞いた時にはフーンと言う感じで気には止めなかった。当時俺達家族が住んでいた所は太平洋に突き出た青沼岬から北へ十キロくらい離れたしがない田舎町だ。