総評

文字数 994文字

 今回の評論はアルバムの新録曲のみにフォーカスした評論であることを今更ながらご了承いただきたい。過去曲のライブ音源より、アルバムのみに収録されている曲の方が、そのアルバムの方向性やテーマを形作っているという持論に基づき、あえて過去のライブ曲は取り上げなかった。

 これらの新曲たちの感想は正統派の青春ロックと言った印象。少年時代におけるパステルカラーに彩られた光景や出来事、感情などの断片を集めてそのままサウンドにしたような曲で構成されていた。粗削りで重厚さとは無縁の曲が、聞く人の耳を楽しませてくれる。『ブラックホール』は他のアーティストとのフィーチャリング曲と言う事もあり、少しオルタナ風味な感じを出して青春ロック色の強いアルバムの中でいいアクセントになっている。
 あえて気になった部分を指摘するなら、『ブラックホール』以外の曲はシャウトとやや散らかったようなギターを多用しすぎな感じがする。若々しさや未完成さを演出してはいるが、人によっては残念な部分として印象に残るかも知れない。個人的な意見としては、もう少し叫びを抑えて少し「話を聞かせる」事を意識してもいいと思う。まずは落ち着いて一つ一つ説明するのも、曲の意味や世界観を表現するには大切な部分だ。内容を語るうえで自然と叫びが出るのはいいが多用するとマイナスな印象を与えてしまう。曲の主題、主人公が若年であるほど、初々しさと共に少しばかりの謙虚さも必要である。本作品は『少年たちの予感』というタイトルだが、あまりにも子どもらしさ、初々しさを前面に出し過ぎると、かえって不自然さが増してしまう。悪くはないが、人によっては稚拙な曲だという印象を持たれるだろうし、詰めが甘いと言われるかも知れない。
 今後このグループから、一皮むけて成長し物分かりが出来るようになった『思春期の予感』が生まれ、それが確固たる信念を持ち自立した目的と行動が出来るようになった『青年たちの予感』へとステップアップしてゆくならば期待したい。その変化や音楽性を組み立てるだけのエネルギーと技術は、収録曲からはっきりと感じることが出来た。この場をお借りして、今企画を通じ彼らの音楽を知り稚拙ながらも評論が出来た事を嬉しく思う。

 最後に、私の評論がNITRODAYのメンバー、そして皆様の音楽性や感性を豊かにする一端を担ってくれれば幸いである。

(了)
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