26. 身悶えしちゃいそう❤

エピソード文字数 3,818文字


 私、ティラ・ウィンターラビリンスがスフレ達と組むようになったのは、ちょうど一年前のことだったわ。

 その日、私達は調理実習を受けていて、公平なくじ引きの結果、三人で班を編成することになった。
 この頃からスフレの《The Sky of Magician》における実力の高さは一目置かれていた。彼女とつるんでいるレモーネだって、スナイパーとしての才能があるとクロック先生が言っていたのを耳にしたことがあった。
 だからって、別に対抗意識を燃やしていたわけではないの。ただ、接点がなかったから、その頃の私は二人と会話を交わしたことがなかったってだけ。

 その日私達が作っていたのは簡単なウインナーカレーと野菜サラダで、レモーネは不慣れな手つきでジャガイモを切っていた。
「このお芋、まな板の上で逃げて切りにくいデス」
「危ないわね。ちゃんと手を丸めて切りなさいよ」
「でも切りにくいデス」
 仲よさげに並んでいる二人を、私は流し台を挟んで反対側から眺めていた。
 スフレとレモーネはこの死後の世界に来てまだ一月もたっていないはずだった。なのに、二人は肩と肩が触れ合うほどの距離で立っていて――きっと生前からの付き合いだったんでしょうね――私にいろいろな妄想をさせてくれた。
 たとえば、二人は幼稚園時代からの幼馴染だとして。
 ベッドの上でワイシャツ姿になっているレモーネが、
『眠れないデス』
 なんて、同じくワイシャツ姿のスフレの肩をぎゅっと掴むの。
『仕方ないわね。ほら、私を抱き枕代わりにしなさいよ』
 そしたら、スフレがぽんぽん、とレモーネのサラサラな金色ヘアーを撫でて。
 気持ちよさそうに目を細めたレモーネが、ぎゅぎゅーっとスフレに抱きつく。
 布団の中で二人の体が密着して、ああ、季節は夏がいいわね。熱い夜に布団をかけてくっつきあっていれば、こう、汗がだくだくっと溢れてくるわけじゃない?
 少女二人分の汗がこもった布団の中。
 イイ!
 乙女のサンクチュアリね!
 ででで、あまりの気持ちよさに眠ってしまったレモーネの頬に、chu!と甘いキスをするの。
『クスクス。可愛い寝顔。待ってて? すぐ私も眠りに落ちるわ。そうしたら、続きは夢のなかでしましょ?」
 なんて。
 いや~ん、最高❤
 鼻血モノよ!
 そんな妄想をしながら、私は必要な道具を洗っていた。
 鍋を流し下の棚から出そうと屈んだところで、ダンッ! という包丁で強くまな板を叩いたような音が聞こえた。
「あうっ」
 レモーネの可愛い悲鳴が聞こえたので、立ち上がって様子を伺ってみる。
 レモーネは人差し指を斬りつけてしまったらしく、血をどくどくと流し床を汚していたわ。
「ほら、いわんこっちゃない」
 スフレは「仕方のない子ね」、とでも言いたげにため息をついた。かと思えば、驚いたことに、レモーネの手首を掴んで口元へと引き寄せ――
「はむっ」
 傷口をくわえた。
 傷口をくわえたの!
「んぁっ、スフレ、強く吸いすぎデスゥッ」
 ああああああああああん!!
 それだけでも興奮するっていうのに、なんてことなの!
 ちゅぱちゅぱといやらしい音をたてて、レモーネの血を吸い始めたわ。
 血を吸ったのよ!
 レモーネの血液が、スフレの中に、中に挿入って、ひぅぅぅんっ!
 やがてスフレが指から口を離すと、唾液の線がつぅーっと二人を繋いだ。
「はぅあぁぁぁっ」
 その光景を前に、私は鼻血を吹いて後ずさった。
「な、なにっ、どうしたの!?
 目を丸くして私を見るスフレ。
「ハァ、ハァ……だ、だだ、大丈夫。大丈夫よ。食材にはぶっかけてないわ」
 片手で熱くなっている鼻をおさえ、もう一方の手のひらを向けて問題ないことをアピールする。
「大丈夫じゃないでしょ。いきなり鼻血を吹くなんて、病気なんじゃないの?」
「スフレ、この世界には病気なんてないデスヨー」
「そういえばそうだったわね」
 レモーネに突っ込まれ、落ち着きを取り戻したらしいスフレ。
「本当に平気、平気よ。ただ貴女たちの行為に百合百合っぽさを感じて、興奮して吹いちゃっただけ。吹いちゃっただけよ」
「ナニに興奮したの!?
「あー、違う意味での病気は存在したみたいデス」
 私の言ったことを理解したのか、レモーネが呟く。
 その瞬間、私の中の熱い百合百合センサーがけたたましい音をたてた。
「私、決めたわ。貴女たちとチームを組む」
「はい?」
 突然の宣言に、スフレがきょとんとする。
 鈍いのね。
「貴女たちの側で、貴女たちのことを見ていたくなったの!」
 公衆の面前であんなことをする人がリアルにいたなんて。
 このチャンスを逃すわけにはいかないわ。
 それにそれに、《The Sky of Magician》のチームメンバーは探していたしね。
「言ってる意味がわからないのだけれど」
「要するにティラは変態ということデス。面白そうデス、チームを組んでもいいんじゃないデスカー? どうせ、ワタシとスフレの二人だけじゃ試合には出られマセン」
「イエス。わかってるわねレモーネ♪」
 私は親指を立てて、ウインクしてみせたわ。
 私の百合観察趣味を理解しながら受け入れてくれるような可愛い女の子、ますます逃すわけにはいかなくなってきたわね!
「そうね。私としても上を目指す以上、三人目のメンバーは望むところだわ。けれど、弱い奴を入れるつもりはないの」
「弱くないってことを、証明すればいいのね?」
 ニヤリと笑う私。
 こう見えて、昔からスポーツは得意だし、いろいろな武術もかじっているのよね。

 私達は一対一の決闘をすることに決め、放課後、練習用のフィールドで剣を片手に向かい合ったわ。
「私と同じ武器でいいの?」
 私が訊ねると、
「ええ。いいわよ」
 とスフレが挑戦的な笑みを返す。
 確か授業で見たスフレは、銃を使って戦うのを得意としていたはずだけど。
 まあいいわ。
 本人がそれでいいっていうんだもん。
 私が剣を構えると、
「そちらからどうぞ?」
 なんてスフレが手招きする。
 舐められているわね。
 先生達にちやほらされて、天狗になってるみたい。
 その油断が命取りよ!
 私は一気に加速し、横薙ぎの剣撃をスフレに浴びせた。スフレは斬撃を自分の剣で受けると、力ずくで私を後ろに吹き飛ばす。
『力はスフレの方が上みたいデスネ』
 数メートル離れた地点で観戦しているレモーネの声が、頭の中に直接響いた。
 可愛い声。
 身悶えしちゃいそう❤
「次はこっちから行くわよ」
 スフレが距離を一瞬で詰め、長剣を上下左右あらゆる方向から立て続けに振るった。
嵐のごとく浴びせられる斬撃を、私は的確に剣を操り防ぎきってみせる。
「やるじゃない、ティラさん」
 スフレが一旦距離を取り、再び接近してくる。
 今度は最初に私がやった時のように、加速しながらの一撃。
 ただ違うのは、横方向からの攻撃ではなく、振り上げた剣から放つ縦の一閃だということ。
 剣を振るう速度は先ほどまでの攻撃より、二倍ほど速いように感じられた。
 だけども、私はギリギリ攻撃をかわせる位置へと身体を右にスライドさせる。
 スフレの剣が私の回避行動に合わせて、振り下ろされながらも斜めに動きだす。
 けれど、私の方が速かった。
 スフレより後から振り上げたはずの剣が、スフレの剣身を上から叩き、彼女の手から獲物をこぼさせた。
「えっ」
 スフレの口から漏れる驚愕。
 流れるような動きで、私は回転斬りに移行したわ。
 スフレは寸前のところで身を低くさせ、横一閃をかわすんだけど、惜しいわね。
 実はその斬撃、囮なの♪
 逆方向から同時に放った回し蹴りが、スフレの横腹に炸裂!
 ずっどーん! ってね。
「うっ」
 斜めに吹っ飛ばされるスフレ。
 スフレは空中で一回転し、なんとか体制を立て直したわ。
 でも、もう遅い。
 スフレが私を見るのと、私の投擲した長剣がスフレの眉間に突き刺さるのは同時だった。
「はい、私の勝ち♪」
 目を見開いたままの表情で、スフレが光の欠片となって散った。

 その後、
「強いのね。びっくりしちゃった」
「銃を使われたら、こう簡単にはいかなかったわよ」
 なんてお互いを褒めあう時間もあって。
 晴れて私は二人とチームを組むことになったわ。

 誤算だったのは。
 スフレってば、レモーネと付き合っているわけではなかったみたいで、ファンの女の子に次々手を出してはデートにキスにと好き勝手する女ったらしだったということね。
 レモーネはそれを知っていながら、なにも言わないし。
 おまけに、二人は幼馴染ではあるんだけど、レモーネの方が二つ歳上だった。
 同い年だと思ったのに。
 違うにしたって、スフレのほうがお姉さんしている感じだったのに。
 と、最初はがっかりしたんだけど――今では年上に甘えるお姉さんってシチュエーションで妄想させてもらっているわ。
 というわけで、私の望んでいた展開ではなかったんだけど、おかげでいろんな女の子の恍惚そうな顔を見ることが出来るようになったし、やっぱり組んで良かったって思うわ。
 そんなこんなで、私のスフレ盗撮画像フォルダは日々潤っていくのでした♪
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登場人物紹介



名前:向日葵ヒカリ (主人公1)



性別:女



年齢:15歳



死因:事故死 (飛行機墜落)



体型:太ってはいないが太腿とかほどよく肉がついていてちょっとエロい感じ。身長155、胸は中程度、腰やおしりなどスタイルは結構良い



髪型:金髪のセミロングでサラサラ、通常時はペンギンの帽子も



服装:活発なので動きやすい服装。でも女の子なので可愛い服。脇とへそは見えるけど谷間は魅せない感じ。



備考:高等部F区画 1年3600組所属。超ポジティブ。行動力とコミュ力の塊。ちょっとおばかに見られがちだが礼儀正しくいい子。ドジ。努力家。いつも笑顔。庇護欲を感じさせる。影響を受けやすい。落ち着きが無い。心が綺麗。色気がある。強い意志を持っている。みんなを引っ張る存在。荷物はウインドウに出し入れできるのでカバン持ち歩く必要ないけどヒカリはペンギンのリュックで登校する。





名前:氷姫つらら



性別:女



年齢:13歳



死因:首吊り自殺



体型:貧乳、全体的に小柄で身長は145、眠そうな目



髪型:白銀(かなり白に近い感じ)、ロングのストレート、右側のサイドのみ編みこみ



服装:黒系のゴスロリ。全体的にふわふわしてるけどみるくと比較して甘さ控えめに



備考:クールだが人見知りなだけ。わりと恥ずかしがり屋。身体はちっちゃい。心の傷が深い。静音と百合華が少し苦手。ヒカリに受け入れられ死のトラウマを乗り越える。



ぬいぐるみ集めが大好きでややオタク気質。そのためか黒系の服を好みゴスロリファッションをしている。打ち解けてからはみるくの推薦を受け真逆の明るい甘ロリにもチャレンジ。口を抑える癖あり。わりと女子力ある。





名前:天ノ河みるく



性別:女



年齢:15歳



死因:心臓病



体型:とにかくちっちゃい。身長137。白い肌。つるぺたな胸。華奢。



髪型:明るいピンクのセミロング(やや長め)、ウェーブが強くかかっていてもふもふしている。通常時はツインテール、就寝時は髪を解く



服装:甘ロリ。ピンク系を好み、フリル、リボン、羽(出し消し自由)が特徴的な服をまとう。全キャラ中最も甘ったるい服装。



備考:明るい。元気。素直でなんでもすぐ信じる天使。素直故に毒を吐くこともあるけど悪気はない。寂しがり屋で負けず嫌い。ボケっぽくみえてツッコミ要員。リアルでは病弱だった。甘ロリファッション大好き。翼とフリルをまとった姿はまさに天使そのもの。どう見ても幼女なロリ。現実では病弱だったので、自由に動ける死後世界を誰よりも満喫している。だが一方で残してしまった両親のことを気にしていて、幼くしてこの世界に来てしまった子どもたちのために奉仕をしている。小さいのを気にしていて、つららにはお姉ちゃんぶる。スイーツ全般が大好き。





名前:雪桜 百合華



性別:女



年齢:17歳



死因:圧死(鉄骨が降ってきた)



体型:身長163。巨乳。スタイルが良い。



髪型:濃い紫、ツインテール



服装:ロリパンク+ヘッドホン+シュシュ(露出やや多め)



備考:気さくな喋り方をする。マイペースで軽いが実は周りをよく見ている。静音の親友で彼女のことを心配している。スタイル抜群。ヒカリのことを姫ちん、他はつららっち、みーちん、しずちんと呼ぶ。女の子をエスコートするのがうまい。



孤児院育ちで、将来の夢はバンドで金稼いで孤児院を大きくすることだった。面倒見いいからか寂しそうな静音を放っておけず彼女のツンツンにもめげずにしつこくつきまとい心を開いた。とんこつラーメンとロックが好き。運動神経は高いが何か一つのスポーツにこだわるということはない。静音が殺された際、助けられなかったことを非常に悔やんでいた。だから死後の世界で再会出来たことを非常に喜んでいて、今度こそ静音を護ってみせると誓っているが、言葉には出さない。





名前:水無月静音



性別:女



年齢:16歳



死因:刺殺



体型:吊り目だが困り眉。身長160。胸は中の上。



髪型:黒のロング、ストレート



服装:普段は制服をきっちりと着る。私服は肩を出しているという以外はきっちりとしたラフだが派手さのない服装。露出控えめだが、寝間着は少し露出増やして大胆に。スカートよりパンツ。自分の体がエロいということを欠片も理解していない。



備考:不良から女の子を助けて刺された、正義感の塊。死後の仮想世界をよく思ってない。真面目。運動神経抜群。スタイルもよくイケボ。女の子にモテるタイプ。実は可愛いもの大好きで恥ずかしがり屋。仕切り屋に見えていじられ体質?



私服ではスカートを履かないが本当は可愛い格好がしたい複雑な乙女心。両親は教師。





名前:スフレ・チョコラテシュガー



性別:女



年齢:17歳



体型:身長は155だが厚底のブーツで高く見せている。胸は中程度。



髪型:水色のセミロング。サイドが犬耳みたいになっている。



服装:ポップで黄色系。奇抜ファッションタイプ。



備考:女の子にモテまくりで親衛隊までいる。満更でもなくガチ百合。面倒見のいい先輩。ポップ系アバターブランド《キャンディゴブリン》を立ち上げた。派手さは個性!イギリス人。





名前:春風カフィ



性別:女



年齢:一万超え



体型:おっとり系巨乳お姉さん。タレ目。



髪型:薄い茶色でウェーブがかったロングヘアーを大きめのリボンでポニテにしている。



服装:ケープ、ロングスカート、ブーツ



備考:《ホワイトメイオール》の管理人。ゆるく見えていろいろ考えてはいる。



《ホワイトメイオール》において唯一の生者だが既に生身は存在しない。はるか昔、母星の消滅を前に三人の仲間と共に宇宙へと飛び出した。多くの星や生命体に触れていく中、ある結論に達する。



すべての知的生命体が平等に楽しく暮らし続けるには仮想世界を使えばいいのだ、と。



たとえ宇宙が崩壊しても世界が壊れないよう、彼女らは別の空間に仮想世界を築く。そして東西南北の銀河を各々で担当し、そこに住まう悪人以外の知的生命体が死後自分の管理する世界で再生されるよう、宇宙の仕組みを作り変えた。いわゆるロリ巨乳タイプです。



名前:黒井アゲハ



性別:女



年齢:13



死因:入水自殺



体型:胸は小さいが無ではない。身長143。ドSっぽい目つき。牙。



髪型:黒髪ロングで毛先が広がっている。猫耳。



服装:黒い軍帽と軍服、ジャケットは前全開で胸だけを隠した露出度の高いもの。同色のミニスカ(かなり際どい短さ)、ブーツ。白い手袋。



備考:つららを自殺に追い込んだイジメグループのリーダー。生前はお嬢様で、そのため取り巻きがたくさんいたが、見限られるのが怖くて強がっていた。実は同じ勇者ペンギン好きであるつららと仲良くなりたかっただけ。だが、取り巻きの前では根暗扱いされていたつららと普通に接することが出来なかった。つららを死なせてしまった後悔と罪悪感から後追い自殺をしている。自分がどうすれば可愛く見えるかを理解していて、とにかくあざとい。見栄っ張り。煽り耐性皆無。ヒカリ、過去を乗り越えたつららの両者と関わることで勇気を持ち始める。



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