第37話 代わりの、かけがえのないモノ
文字数 3,599文字
ミエ君の上京、JAM国際鉄道模型コンベンション出席のための便を探すことになった。
豊岡ー東京便の運休は決定事項であった。
京都まで出てバスか、豊岡から列車で出て新幹線か。私は便を探しました。
その時ワタクシもミエくんのためにJRバスの関西-東京便を探しておった。
なにやってるんですか。ミエさんが自分で探すから任せるべきですよ。時間無いのに。
今回は設営時からミエくんが参戦する。しかしその予定で組んだのにミエくん不在ではさらに崩壊しかかっておる計画がさらに崩壊する。それでワタクシは憔悴しておったのだ……。
また一人で搬入物品の山の中で遭難するワタクシの姿がフラッシュバックしておった。
覚悟の上とはいえ、あれはキツかった……。
今年はああなりたくないと思うてしもうた。
でも無事、京都発新宿行のバスが見つかりました。大崎着の予定だったんですがバスタ新宿着になったので、新宿駅のロマンスカーカフェで時間を潰してからビッグサイトへ向かうことにしました。
ワタクシもそれに合流するプランを立てた。バスのさらなる運休を予期してさらなる代替便の確保も考えたのだが、その必要はなさそうであった。
そこまで考えるなんて……。設営日の一人設営はそれだけきつかったのですわね。
軟弱と笑いたければ笑うがよい。一向に減らぬ梱包箱、山と残ったチェック項目、さらに設定項目もどっさり。
まさにあれは絶望そのものであった。
そしてJAM開催前夜となった。この図面を見てワタクシは驚いたのだ。
A01が我々の出展ブース位置である。
うえっ、なんですかこの端っこに隔離されたような配置! ひどいっ。
でもけっこうアバウトな図ですね。これほんと、大丈夫なんですか?
事務局がそう通告するのだからどうにもならぬのだ。
どういう判断だったのかはわからぬが、我らはこの逆境に甘んじるか、これを機に目一杯精一杯やるかのどちらかしかないのだ。
そうですわねえ……。でも、これはとらえようかもしれませんわ。
もともと事務局のレギュレーションでは建物の高さ制限1メートルもありましたし、スピーカーの使用についても制限がありましたわ。
でも、これならもう遠慮なく精一杯できますわね。
さふなり。むしろこの配置図の件で、ワタクシの沈んでいた心は燃え上がった。
遠慮なくやらせてもらうのだ。もう遠慮する相手もない。壁に遠慮はいらぬであろうからの。
ひいいい、総裁、ここまで遠慮してるつもりだったの?
それが遠慮なくやるってどうなっちゃうの!? ひどいっ。
総裁の眼が完全に赤く燃えてる! ひいい! 止められない!
イキオイのあまり、ミエくんに検討してもらうためにアップした動画を一瞬一般公開にしてしまうミスをしてしまうほどである!
そういえば、このようなものが出ているのをわたくしはみていたのですが。これはなんでしょうか。
ひいい、この「鉄研でいず!」、マンガになっちゃってたんですか! しかも絵が下手でひどいっ!
非難ゴーゴーですよこれ。なんのためにこんな血迷ったことしてるんですか。
む、これもJAM出展の告知目的に著者をして描かせた、我が著者初めてのマンガなのである!
なにやってんですか。でもこれ、pixivでランクインしちゃったなんで。500位以内になったとか申し訳ないですよ。
わたくしも各方面各位のみなさまに謝っておいたほうがいいと思いますわ。
でもなんだかワチャワチャしてるのがいかにもこの鉄研っぽいですよ!
たしかにマンガのぼくたち、めっちゃ楽しそうですね。
メーワク鉄の問題も取り上げて、冗談みたいなヘタヘタマンガなのに読みどころもありますわね。
うむ。実際菜々センパイにはウケておるのう。マンガはその場で読んでもらえてその場でリアクションがわかるのが、じつに楽しいのであるな。
小説ではそういう事はまずありませんから、それが目の前で自分の作品を読んだ人が「ぷっ」と吹き出すのを見るのはまさに快感ですわね。
なかなかそのマネジメントが難しいのだ。どれを優先すべきでどれを後回しにすべきかの判断をつねに問われるのだ。しかもそれが正しかったかどうかなかなかわからない。
これはカスタムキャストを使って作られたワタクシなのである。なかなか繊細なモーションで動くぞよ。
ユーザー作成のアクセサリーがまだインポートできないので代わりにそうなったのである!
これはJAM本番でブースで上映する動画のナビゲーター役に使うのである。クロマキー合成が簡単にできることに気付いて急遽登場となった。
バーチャルYouTuberのような感じですわねえ。今のトレンドですわ。
そこまではうまくいかなかったのだ。所詮ケータイアプリであるからのう。カスタムキャスト。
でもこれからの可能性は感じられますわ。発展すると色々できて楽しそうです。
でももう著者さん貧乏で3Dモデリングに使ってたShade3Dのライセンス更新諦めちゃいましたね。これからどうするんでしょう。
うぬぬ、3Dモデリング、DMMでの出力販売の3Dプリント鉄道模型信号機がポツポツ売れておったのだが、データの更新はしばらく諦めねばならぬのだ。継電箱などはもっとモールドをはっきりさせたいのであるが。
あれはメーカー製のものが未だにグリーンマックスの2種類しかないところに6種もセットに投入したのは素敵でしたわ。継電箱、実際は都心に近いと線路脇に大量に置いてあってそのバリエーションも多いのでそれを再現するには好適ですわ。
企画としての狙いは成功であったように思うのであるが、扉の取手がいまいち遠慮がちすぎて造形としてのパンチにかけておる反省がある。
そうだよね。もっとメリハリついた方がいい感じだよね。
去年の大洗駅モジュールでも使いました。なかなかキメのところでも使えてよかったですよ。
まさにニッチニーズをもう少しでガッチリ掴めそうですね。
なんとかまたデータの改良をしたいのだが…。ライセンス解約の時、なんとベンダー側から「早期のライセンス再開にはペナルティーがかかります」と言われてしもうた。
まさにイミがわからぬ。また解約手続きも送付したPDFに捺印してスキャンしたものを送れとあった。
で、総裁、このノベルデイズ版鉄研、また公開に間があきましたね。何かあったんですか?
うむ。ここまでの大量の字数から言って、この話、書籍化はまず無理と思えておるのだ。
前回も厚さ3センチ以上、完全に鈍器になるほどの分厚さなのだが、今回はそれ以上になりつつあるからの。
さふなのだ。もう著者も無収入の活動をする余裕はなくなってしもうたのだ。背に腹は代えられぬ。
ここまで実家の支援でなんとかやってきたが、とうとう年貢の納め時、もう一つの軍資金作戦も実施せねばならぬ。そのためYouTubeライブも定期放送が無理かもと弱気となったのである。
でも臨時放送化と言いながら定期に近いペースでやってますよね。
それは廃止の近づく寝台列車と同じなのである。徐々に危うくなっていき、定期列車から臨時列車となり、最後は臨時列車で廃止サヨナラ運転となるのだ。
ワタクシも軍資金作戦が少しずつ成功しつつあると言っても、このビンボーぶりの重圧でおかしくなりそうであるのだ。
でもpixivファンボックスの収益も投入できますわね。支援者さんのご支援、ほんとうにとてもありがたいですわ。
これだけの期待と支援をいただいてもお金の収支には焼け石に水なのだクククク。
ああっ、総裁が壊れかかってる! しっかりして総裁!
ええっ、このまま出展搬入日当日の朝になっちゃうの?! ヒドスギル!!
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