わたしたちの複々線時代

文字数 4,748文字

風祭駅モジュールの話ですね。今度は。
ところが、それの前に今回の JAMの展示の趣旨と見所になる一つのコンセプトについて話したい。
えー。でもええよー。
っ、って自分で省略しないで。ヒドイッ。
ともあれ、我が架空鉄道のモデルは小田急である。そして小田急の今年のトピックは新ロマンスカーGSEと複々線なのである。
でも普通に複線レールを二重に敷けば複々線になりますよね。そこで工夫が必要ですね。
さふなり。なおかつ平面的に複線を強いたところで見栄えは大して変わらぬ。
それで高架レールの採用ですね。
さふである。しかし、高架レールはKATOのものにしても人気が良くない。
たしかに高架レールセットV13はAmazonでも36%引きになってますもんね。直線高架レールでも32%引き。高架駅セットも32%引き。軒並み値引きがすごいですよね。
高架レールは使い方が難しいのでしょう。ちょっと大きな引き込み線を作るのはすごく困難です。高架だけでは引き込み線は作りにくいし、地平に作った引き込み線と接続するには勾配区間が必要です。その勾配区間は車両にも負担がかかりますし作りこむのも困難です。
まさに三重苦……ヒドイッ。
普通は高架は敬遠しますよね。高架橋もいくら値引きされてても高いし、高架橋買ったら今度は橋脚がどっさり必要になります。それもまた金銭と労力の負担になりますね。
さふである。高架は普通はやりたくない。しかし!私はその高架に魅力を見出してしもうた!現代の鉄道風景に高架は欠かせぬのだ!
そうですわ。新規着工の線路については高架か地下化による立体交差が条件で、新規で踏切を作ることはほぼ国交省に認められないのです。それ故建設費がとんでもなく高騰して、小田急多摩線の延伸は計画段階で頓挫しているのですわ。
作ったところでそれが払えるほど運賃収入見込めないもんね。少子高齢化で定期券収入は減る一方だし。ヒドイッ。
その状況はかなり前から続いておる。しかも小田急の複々線化は高架が地下化ではなく、地下化しか認められない時期があった。高架で良いとなるまで長い間複々線化の工事もろくにできなかった!
その間ぎゅう詰めで小田急混んでて京王線に逃げる人多い感じだったもんねー。
ところが!その苦難を乗り越えて小田急はついに長年の悲願、代々木上原から登戸までの連続立体高架化複々線化を2018年3月に達成したのだ!
それで小田急の本当の悲願、ロマンスカーが新宿-小田原間所要時間60分以内を土休日の「スーパーはこね」で達成できたんですよね!
さふである!列車の速達化は単なる利便向上ではなく、車両運用の回転率を上げて収益の改善に大きく寄与する。SE車開発もこの60分以内を目指したのだが果たせず、その次のNSEは展望席設置の豪華化だけでなくSE車以上に高速性能も狙い、SE車が67分かかったところをNSE時代には62分にまで詰めたのだ!
でもそこから途中駅でのダイヤの都合がどんどん出て「急がないロマンスカー」になっていったんですよね。
その利便性向上に舵を切ったところで生まれたのがLSE車であるのだ。LSEは加速力を向上させるためにモーターパワーを上げたが設計平坦線均衡速度は145キロ。しかしNSEのそれはなんと170キロだったのだ!
冷房増強前のNSEを見ると当時国鉄在来線の切り札381系のようなスパルタンかつレーシーなデザインに見えますもんね。381系の湖西線実験の速度記録はいまだに塗り替えられない179.5キロ。NSEも国鉄線で速度試験したらすごかったでしょうね。とはいえ速度試験したのはSE車、乗り心地などの性能試験をしたのはLSE車でしたが。
でも小田急の途中駅の混雑でNSEからLSEと加速性能よりになっていくしかなかった。さらには現在最新鋭のGSE車に至っては設計最高速度まで抑えてしまいましたね。その分素晴らしい乗り心地を実現しましたし、その性能でも59分ダイヤのスーパーはこね運用を易々とこなしますね。
それだけ複々線化の混雑緩和速達化効果が大きいのだ。まだ小田急もその乗客もその革命的な変化に慣れられずダイヤも正直煮詰まってはおらぬし混乱も生じておる。とはいえそれもいずれ慣れて日常にこなれていくであろう!
で、その時代を表現するのが今回2018年 JAMの我々の展示コンセプトの一つなんですね。
いかにも。高架のもたらすダイナミックさ、複々線区間の密度感ある運転。まさに現代鉄道の醍醐味を余すことなく発揮したい。そしてその高架のダイナミックさ、高低差は風景にも大きな効果をもたらすのだ。
それがこの風景なんですね。アーチ橋とか築堤とか。
確かに風景作りに高低差は正義ですものね。立体感が豊かな表現をもたらしていますわ。
うむ。この展示は著者の職場での展示で、台風の接近で2時間しか展示できなかった幻の展示なのだ……。
「台風のやったことでは仕方ないですよねえ」
「無論だ。天災なら致し方ない」、って、映画パトレイバーのセリフ真似ヒドイッ。
でも今年は8月10日がパトレイバー記念日になりましたね。パトレイバーのブーム、また来そうですね。
うむ。その件にもワタクシの著者がいささか関与しておるので複雑であるのだ。
そうでしたよね。
え、関わってたんですか。
途中まで、ではあるがな。だが、関わったことは事実であるので我が著者にはその部分では胸を張れというておる。何があったかは別にして。
ほんと、残念な途中離脱でしたね。離脱せねばならなくなったとはいえ、かなりあそこで頑張ったのに。
まあよいのだ。我が著者もワタクシもパトレイバーが好きなのは変わらないし、パトレイバーは他の誰でもなくヘッドギアのゆうきまさみ先生や出渕先生、高田先生、伊藤先生、押井先生のものであることは少しも変わらぬ。そしてそのヘッドギアのパトレイバーに対しての権利関係をゆうきまさみ先生に問い合わせ、KATOのグループに繋いだのも我が著者である事実は変わらぬ。
そのあとで悲しいことになりましたけどね。
しかし、その件には我が著者の脇の甘さもあるし、そのことがパトレイバーとKATOの製品化レイバーに関係ないこともまた事実であるのだ。

事実は揺るがぬ。

もしかすると、それって、前の「鉄研でいずトークメーカー」の途中で不自然に出てたレイバー関連のことじゃ……。
正直、さふであるのだ。そのための活動で何度もKATO本社にも通ったのであるし、あのまま何事もなければ関わり続けたかもしれぬ。かといってそれはできなかったので、いうても詮無いことなのだ。
そんな、ヒドイッ。
だが、にもかかわらずパトレイバーはヘッドギアとその権利管理会社のものであり、著者も我々もただのファンでしかない。その点については何もいうことはできぬ。それが著作権というものなのだ。原著作者の権利が一番大きく強い。そしてどうあってもファンの活動は原著作者へのリスペクトによって原著作者によって「許されて」おるに過ぎぬものなのだ。
ゆうき先生の事務所の人も素敵でした。でも、ファンの……。
ミエくん、それ以上は言うな。瑣末だ。
だって、だって……。
瑣末なことで原作への愛を曇らせるのはファンとして最悪なのだ。そしてそれもあって離れたのだ。あのままはいられなかったのもまた事実である。
総裁、それでいいんですか?
原作、パトレイバーという作品への愛はどうあっても曇らぬ。それはワタクシの著者がパトレイバーを心に沁みて常に深くリスペクトしている「鉄研でいず」と「プリンセスプラスティック」の原著作者であるからなのだ。
本当にパトレイバーが好きな故の苦しみなのですわね。そう拝察しましたわ。
うむ、詩音くんにそう理解してくれればワタクシも著者もそれでよいのだ。ほかの事は全て瑣末なのだ。そしてパトレイバーがNゲージとして商品化されることが嬉しいことも、いささかも変わらぬのだ。
そういえばうちの著者、パトレイバーの二次創作もしてましたね。「ファストリブート」ってPixiv小説にアップしてましたね。
あれも何とかせねばであるが、きっとパトレイバーの新作が出てくれるであろう。8月10日のパトレイバー記念日化はきっとそのためであろうの。さすがパブリシティのプロのやることである。ファンはファンに過ぎぬ。そして原作へのリスペクトを失ったファンはその資格を失うのだ。
せっかく途中までやって、ダメになっちゃったんだねー。残念だなー。
うむ。しかしそれは、にもかかわらず瑣末であるのだ。
全ては記憶の彼方、ですね。
ゆえ、ミエくん、君にもわだかまりはあるかもしれぬが、原作への愛を決して曇らせてはならぬぞ。
そうですね……けものフレンズも複雑になっちゃったけど……。
にもかかわらず、つねに作品の良きファンであることが大事なのだ。
そうだねー。そういうファンが作品を著者とともに育てていくんだよねー。
華子はえらいのう。我が著者はファンであることも、原作者であることもできたので、十分幸せであるのだ。
あっ、このレイアウトプランは!?
 JAM出展用のレイアウトプランである。JW-鉄道模型とjw-CADを使って作図したものなり。まだ初期案なのでここからいろいろ変更したのであるが。
jw-CADは使い方に癖のある古いソフトですけど、画面上でレールの接続をじっくり検討できる利点は大きいですね。
このプランではこの部分が擬似複々線になる。ここを小田急の新複々線区間風味にしたかったのだ。
そしてこうした。
カーブの部分ごと複々線トンネルで隠したんですね。梅ヶ丘-世田谷代田の下北沢トンネルに入るアプローチみたいです。
でも梅ヶ丘からはすごい急な下り坂ですよ。これは勾配がない。やっぱりお座敷運転用に勾配なしにしたんですか?
さふなり。勾配はトラブルの元であるからのう。
そのかわり両脇を傾斜地形にしたんですわね。
地下化した元の線路の部分が公園なのは同じですけど……何ですかあのレイバーは!ほんと好きなんですね。ヒドイッ。
これは「あじあ号」の食堂車じゃないですか。これ、付帯施設作って保存車両レストランのストラクチャーにしたんですね。
マイクロエースの「あじあ」号食堂車が偶然手に入ったのだが、あれは広軌なのに1/150スケールでどでかくて、ほかの車両と連結しても違和感しかないのだ。
その解決としての保存車両というのはいい解決ですわ。
わ、可愛い蒸気機関車! これも保存機にしちゃったんですね。ヒドイッ!
これは私が総裁にプレゼントしたんですよ。元々動力を別に用意して走行可能にしようと思ってたんですけど無理だと判明して、ディテーリングだけしてプレゼントしたんです。
可愛い公園のマスコットになってくれたぞよ。感謝なり。
たしかに「あじあ」号食堂車、大きいですね……。
おおー!!
やっぱり複々線は迫力ありますね。いかにも現代風ですね。
しかし、この風景でさえも、今から永遠に続くものではないのだ。だから模型にする価値がある。そしてこれもまた日頃からの観察に意味があるのだ。
そしてやっぱりレイバーなんですね。
これもKATOの製品レイバー登場で役目を終えたかもしれん。しかし、ワタクシのいろいろな気持ちの詰まった、オンリーワンの作品なのだ。出来は拙くとも、パトレイバーへのファンとしてのワタクシの心の発露であることはかわりない。
そうですわ。もっと手をかけて胸をもっと張れるように大事に育てていく。それもまた模型のステキな愛し方ですわ。
それもまたテツ道の一環なのである!
ほんとそうだねー。
複々線、高架もまた今回の JAMのテーマでもあるのだ。


ちょいと話が逸れたが、次こそ風祭駅モジュールの話をするぞ。

あいあいさー!
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登場人物紹介

長原キラ ながはらキラ:エビコー鉄研の部長。みんなに『総裁』と呼ばれている。「さふである!」など口調がやたら特徴ある子。このエビコー鉄研を創部した張本人。『乙女のたしなみ・テツ道』を掲げて鉄道模型などテツ活動の充実に邁進中。


*総裁のびっくりヒミツ能力(順次公開)

・隠れオッドアイ。安いラノベのキャラだと思われたくないので視力は悪くないのにカラーコンタクトをはめて眼の色を合わせている。しかしこのオッドアイのその眼を見てしまうと自白させてしまう作用がある。あまりにも危険なのでそれを抑制するためにもカラーコンタクト。


 ほかにもまだまだあります。

葛城御波 かつらぎ みなみ:国語洞察力に優れたアイドル並み容姿の子。でも密かに変態。しかしイマジネーション能力は随一。

武者小路詩音 むしゃのこうじ しおん:鉄研内で、模型の腕は随一。高校入学が遅れたので、実は他のみんなより年上。鉄道・運輸工学教授の娘で、超癒し系の超お嬢様。模型テツとしての腕前も一級。

芦塚ツバメ あしづかツバメ:イラストと模型作りに優れた子。イラストの腕前は超高校級。「ヒドイっ」が口癖。


中川華子 なかがわ はなこ:鉄道趣味向けに特化した食堂『サハシ』の娘。写真撮影と料理が得意。バカにされるとすぐ反応してしまう。

鹿川カオル かぬか カオル:ダイヤ鉄。超頭脳明晰で、鉄道会社のダイヤをアルバイトで組んでしまうほどの『ダイヤ鉄』。プロ将棋棋士を目指し奨励会所属。王子と呼ばれるほどハンサムな女の子。電子回路やプログラミングが得意。

田島ミエ たじまみえ:総裁の古くからの友人。凄腕の模型テツ。鉄研のみんなと一緒に大洗などを旅行したものの、関西在住で滅多に会えない。なおかつその実像は不明。

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