第01話「葡萄の実る丘」
文字数 351文字
ゴツゴツとした岩が階段のように積み上げられた段々畑を、葡萄の葉を揺らしながら秋の風がさわさわと吹き抜ける。
抜けるような蒼空に広がるうろこ雲が、南へ向かって静かに流れて行く。
豊かに実る葡萄畑に、小さな少年が眠っていた。
傍らには少年より少し年上の、しかしやはり幼さの残る少女が立ち尽くすように祈りを捧げている。
遠くで牛飼いが歌い、牛達が家へ帰る鳴き声も、まるで幾重にも重ね合わされたハーモニーの様に耳に届く。
銀色の髪の少女は祈りを終え、ゆっくりと膝を折ると、微笑みを湛えたような表情のまま少年の頬に口づけた。
「ごきげんよう」
真っ白なワンピースをクルリとひらめかせ、少女は歩み去る。
眠り続ける少年の上を散り散りになった小さな雲の影が、幾つも幾つも通り過ぎていった。
抜けるような蒼空に広がるうろこ雲が、南へ向かって静かに流れて行く。
豊かに実る葡萄畑に、小さな少年が眠っていた。
傍らには少年より少し年上の、しかしやはり幼さの残る少女が立ち尽くすように祈りを捧げている。
遠くで牛飼いが歌い、牛達が家へ帰る鳴き声も、まるで幾重にも重ね合わされたハーモニーの様に耳に届く。
銀色の髪の少女は祈りを終え、ゆっくりと膝を折ると、微笑みを湛えたような表情のまま少年の頬に口づけた。
「ごきげんよう」
真っ白なワンピースをクルリとひらめかせ、少女は歩み去る。
眠り続ける少年の上を散り散りになった小さな雲の影が、幾つも幾つも通り過ぎていった。