文字数 1,326文字

カシャカシャと無機質な機械音が絶え間なく流れ続けている、薄暗くて広い部屋の中。
大型の巨大なモニターに、街の各地の様子がリアルタイムで次々と映し出されていく。
大きな街だ。事件、事故も多い。コドモマモルシステムは、今日も正常に動いている。

下校時間なのか。カバンを背負う小さな少女が交通ルールを守り、歩道を歩いている。
そこへ人工知能が暴走したのか、一台の自動車が異常なスピードで突っ込んでいった。
自動車の存在に気づき、とっさに両手を目の前にかざし。彼女なりの防御を試みるが。

物理的にその程度の防御力で、高速で衝突する金属の固まりに対抗できるはずもない。
少女の周囲にいる人間たちの悲鳴が聞こえそうな騒然とした無音のモニター映像の中。
暴走した高速の自動車があと数メートルほどで彼女にぶつかるというギリギリの瞬間。

彼女の目の前の地面に、細かなヒビのような直線が走ると同時に地面が一気に隆起し。
一瞬にして巨大な地面の壁がそびえ立った。と同時に、壁の表面が周囲の状況を察知。
表面を衝撃吸収材に変えて、彼女と車それぞれを取り囲む形で壁を新規作成していく。

モコモコフワフワの衝撃吸収材の壁で自動車を握りしめるような形で強制停止させる。
少女の側もケガもなく問題なさそうだ。フワフワした壁で恐怖感も軽減できたろうか。
下校時間の少女、そして自動車内の主婦と幼児。合計で3人の子供を救う事ができた。

次は銀行か。ぼんやりモニターを眺めていると、ピストルを手に持った人間が映った。
出入り口で、錯乱状態で高齢の女性を人質に取っているようだ。非常に危険な状況だ。
要求された硬貨を入れた手さげ袋を持ち、人間の男性職員が近づいていった次の瞬間。

ピストルの角度。それを持つ指、手、全身の筋力。人質の位置、ならびに周囲の状況。
もろもろ全てを把握した上で、最悪の状況を避けた最善に近いパターンを瞬時に計算。
強盗から死角になっているすぐ横の壁の一部が、瞬間的に鋭く細い棒状の形に変形し。

ためらいなく一気に突き刺す。ミリ単位の狂いも無くピストルを弾き飛ばすと同時に。
他の数本たちが、強盗の全身の関節部分たちに彼が動けなくなる程度の打撃を与える。
足は骨が粉々になってしまい過剰だったかもだが、ある程度は見せしめも大事だろう。

高齢の女性も無事に保護され、警察もやってきた。珍しく人間の警察官もいるようだ。
ピストルもマシンガンも大砲も小型印刷機で簡単に作れてしまうとは恐ろしい時代だ。
何にせよ。強盗の中年、人質の老女に男性職員の青年と。合計で3人の子供を救えた。

ガリガリガリと無機質な機械音が絶え間なく流れ続けている、薄暗くて広い部屋の中。
大型の巨大なもにたーに、街の各地の様子がりあるたいむで次々と映し出されていく。
子供たちを危険から守る。コドモマモルシステムは、何も変わらず正常に動いている。

私が作りあげたこのシステムは。今日もこの街の、そして世界中の子供を守り続ける。
子供な大人もいる。大人な子供もいる。ドコから子供で大人かなど誰にモわからない。
ならばいっそ大人など存在しないほうがよほど謙虚で誠実な理想の世界になるのでは。

その理念のモとに、私はコれからモ。子供を守り続ける。ドコまでモ、コドモとして。
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