第2話(8)

エピソード文字数 2,348文字

「色紙クンっ。そんな爆弾が存在してますのっ!?

 麗平さんが、更に身を乗り出してきたにゅむ。
 にゅむむん? にゅむむん?

「色紙クン。そういう爆弾がある、もしくはあったんですのね?」
「う、うん、そうだけど。それがどうしたの?」
「……ガレの能力『記録閲覧(きろくえつらん)』は、過去に全次元で起きた全ての出来事および存在した者や物のデータを自動的に読める――自分のものにできて、瞬時に弱点を突けるようになりますの。そしてヤツは封印中も意識はあり多分ウチを監視してるから、封印が解くと同時にソコを攻められる――その爆弾を出して爆発させ、こっちを全滅させられるんですのよ」
「「「……………………」」」

 俺ら、沈黙。どこかで、チーンって音が聞こえたよ。

「にゅ、にゅむぅ。あたしたち、倒せないねー……」
「全員、英雄ですものね……。という事は、従兄く――」
「待った! ビーストテイマー召喚士の傍には、俳句ワールドの第一王女がいるぞ!」

 タンザ・クーは非英雄で、爆弾の影響はなし。あの人(?)に頼めば楽勝だっ。

「……残念だけど、従兄くん。クーさんには任せられないわ」

 ΘΓΦχ? 楽勝、じゃないの?

「にゅむー。クーちゃんは、お水に濡れたら力が半減しちゃうんだよー」
「あの人は、短冊だからね。水分に弱いのよ」
「そ、そうなのか……。そうなんだ……」

 要するに、英雄以上に突きやすい弱点をお持ちなのね。今度会った時は、ラミネート加工を提案してみよう。

「…………なぁ、シズナさん。橙式ちゃんって、他の強い生き物を召喚できないの?」
「それは無理ね。初代伝説の召喚士は二股をかけられた経験があり、同時に二体は喚べないように設定しているのよ」

 そりゃあ、なんとも私的な理由だ。初代、私情を持ち込むなよバカ。

「そ、それじゃあ麗平さん。封印されてるガレのところに行って、目覚める前にぶっ殺すのはできないの?」
「この封印は空間を完全に隔離するから、解けるまでは誰も干渉できませんわ。『封印の壁がエネルギー供給モードとなる解除1分前に、聖剣から再封印のエネルギーを注ぎ込む』、もしくは『封印が解けたガレを倒す』。この二種類しか方法はありませんの」

 ぁ~、そっかぁ。それらしかないのかぁ……。

「私達の知り合いに、致命的じゃない弱点を持つ者は居ない。封印中に攻撃は出来ない。という事は、従兄くん」
「うん。やっぱり、生きるか死ぬかの宝探しがスタートするんですね……」

 発見できたら人類全員生存、発見できなかったら人類全員死亡。究極のゲームの幕開けだ。

「俺達に残された時間は、2日弱。見つけられるかな……?」

 ミラルが千年近く探し続けても発見できなかったモノを、およそ48時間で発見しないといけない。マイナス思考になりたくはないが、早くもレッドランプが点灯です。

「…………時にレミアちゃんや。英雄の中に、隠した物を見つけられる方はおりませんかね?」

 レッドランプが点灯中なので、とりあえず問うてみる。
 どう、かな? まーダメですよねー。

「にゅむぅ、いないよー。シズナちゃん、そんな能力(のーりょく)はなかったよね?」
「間違いなく、そういう能力はないわ。助けてくれる力は、ないあったわ!」

 まさかまさかの、超高速掌返し。そんな人がいるのかよっ。

「英雄って、アンタらの親友なんでしょ? ずっと付き合いがあるのに、どうして忘れてるのさ」
「その人――現『伝説の侍』は、誰かに頼まれた時しか英雄の力を使わないの。私達はその話を聞いただけだから、ど忘れしていたのよ」
「ああそういうことね。しかし尋ねといて言うのはなんなんだけど、よくそんな変わった力があったねぇ」
「初代の侍さんは無類の刃物さん好きで、それがこーじて名刀名剣に反応できる能力が生まれたんだよー。好きって気持ちはすごいよねーっ」

 確かに、スゴイな。うんスゴイ。
 究極奥義の内容を盗み聞きされたから、紙のみで伝えるようにウソを吐く。二股かけられたから、一体のみにする。今代もそうだが、初代もかなりの酷さだ。

「うんざりしてしまう――が、今回はそれに助けられるんだもんな。深謝の念を送ろう」
「その英雄クンの力を借りれば、楽々解決しますわね。伝説の侍クンって人は、すぐに呼べるんですの?」
「地球の危機なんだし、一人来てくれる予定だったから調整は可能でしょ。シズナ、連絡してみてよ」
「従兄くん、世の中はギブ&テイクよ。『夜に太腿を撫でながら怒る』、で手を打つわ」

 シズナは左頬に手を当て、ニコッと笑う。
 この女、解決方法が見つかるやバカをやりやがった……! いやまぁ、見つからない時からバカやろうとしてたんですけどね。

「どうしますか、従兄くん。やりますか、やりませんか?」
「あーはいはい、やりますよ。やりますんで連絡してください」
「うふっ。心得ました」

 変人は嬉々として俺達に背を向け、壁に向かって何かを喋る。どうも『遠シリーズ』を使い、誰かとお話ししているようだ。

「もしもし、私よ。派遣予定の英雄を確認したいのだけど…………そう、それは都合が良いわ。はい、はい…………はい、はい、またね」

 通話、終了。変人1号は姿勢を180度変え、元の体勢になった。

「にゅむ。どーだったの?」
「運よく、伝説の侍が担当になっていたわ。明日の朝には来られるそうよ」

 おおっ、そりゃラッキーだ! なんか上手くいき過ぎてて無性に不安だけど、それは考え過ぎだよね。

「にゅむん? にゅむむーん?」
「レミア? どしたん?」
 ??? どしたんだにゅむ?
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

空霧雲海 16歳の少年


頼れる兄貴系の容姿と性格を持つ優星の同級生であり、悪友であり、重度のオタク。

作中に登場する名曲(迷曲)を作った人。

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