現代日本にやって来た、サキュバス達(2)
文字数 2,029文字
人狼は次から次へと拳を繰り出し、止まることを知らない、連打。
人狼の猛攻を、かわし続けるアイリン。
だが、次第に動きが鈍りはじめ、ガードで防戦する一方に。
人狼の渾身の一撃を、ガードの上からくらい、体ごと吹き飛ばされる。
少々、物足りなないと言う様子の人狼。
こちらの世界に移民して来て以来、人間男性から精気を奪うことを止めるという制約を自らに課し、食物を口径摂取するのみで、エネルギー補給をし続けて来たアイリン。
戦闘で、本来の力を出すには、明らかにエネルギーが足りていない。
弱ったサキュバスを、まるでいたぶるかのように、拳を振り回し続ける人狼。
アイリンは、これを、人狼の腕を掴み、流れに逆らわず後ろに飛ぶことで、衝撃を和らげ、受け流す。
派手に飛ぶので、人狼は面白がって、さらに猛追して、拳を振り回す。
何度も片膝をついて立ち上がるアイリンの姿を目にし、勝利を確信する人狼。
だが、アイリンの目は諦めておらず、むしろ眼光の鋭さは増して行く。
アイリンが、人狼の攻撃を受けつつ、後ろに飛んで乗り切る、それが何度も繰り返された後。
飽きて来た人狼は、アイリンにトドメを刺さんとばかりに、大きなモーションで振りかぶる。
そう言って、拳を振り下ろそうとした瞬間。
崩れ落ちて、片膝を着いたのは、今度は、人狼のほうだった。
立ち上がろうとする人狼、だがその足元はフラフラだ。
フラフラになりながらも、向かって来る人狼。
アイリンは、その土手っ腹に、綺麗な弧を描いた回し蹴りを決めた。
人狼は腹を押さえて、その場に崩れ落ちる。
アイリンは深呼吸をして発する
――淫夢 ・攻
いつの間にか、弱った人狼の体には、拘束具、口には猿轡が。
そう言う、アイリンの手には、巨大な、極太の鞭が握られていた。
『鞭打ち千回の刑』
アイリンは、その太く長い、巨大な鞭を高速で振り回し、拘束され、身動きが取れない人狼の背中を、何度も打ちつける。
ビシッ!!
空を切り裂き、ビュンビュンと唸る鞭。
ビシッ!!
猿轡で声を出すことも出来ず、呻き声のみを上げる人狼。
ビシッ!!
背中の毛は抜け落ち、皮膚には大きなミミズ腫れが、無数に浮かぶ。
失神して、体をピクピク痙攣させる人狼。
女子高生を家まで送り届けたリリアンは、状況を確認するように言った。