第4話

文字数 1,027文字

あれから、1ヶ月たちました。
2匹のネコは今日も漁港の堤防に寝そべっています。
野良ねこは言いました「家ネコも大変よね」
家ネコは言いました「野良ねこも大変よね」
以前話していた、お互いの不満を今度は野良ねこと家ネコがまったく同じ内容の話しをしています。
また交換する?
やっぱり元に戻った方が良さそうね。
まだ、前の生活の方がましなような気がするわ。2匹の意見は一致しました。
そうして家ネコは、元の家ネコの家に帰っていきました。

次の日、家ネコは言いました。
「やっぱり、家にいるのが落ち着くわ。
カリカリも久しぶりに食べてみると美味しく感じたし、毛が汚れていたから泡あわの後は、さっぱりしたし。泡あわって気持ちいいものだったのね。
久しぶりに撫でられて、気持ちが落ち着いたし、なんか不思議だわ」

野良ねこは言いました。
「久しぶりに食べた魚はやっぱり最高だった。
毛はふわふわだったけど、自分の匂いじゃない
匂いがついて気になってたの。
それより何より久しぶりに星空を見ながら寝る事が出来て最高よ。
2匹は以前話した不満など忘れたように
幸せそうに話していました。

それからまた1ヶ月たちました。
いつもの場所に2匹はいます。
「あー幸せって何処にあるのかしらニャアー
もう野良ねこになるのも嫌だし、家にいるのも
なんかしっくり来ないのよねー」
「なんか、わかるニャアー」
2匹は日向ぼっこをしながらあいも変わらず
以前と同じ話をしています。
そして声をあわせ、幸せになりたいニャアーと
ニャアーニャアーニャアーニャアー鳴くのです。

そんな2匹の横を 1匹の三毛猫がゆっくりと
通り過ぎて行こうとした時、
家ネコが話しかけました。
「ねえあなた、そこのあなた」
「わたし?」
「あなた、幸せ?幸せになりたいと思うわよね」
三毛猫は「幸せ?そんな事初めて聞かれた。
ちょっとびっくり。幸せ?
幸せ、、今、不幸でない事は確かだけど、
幸せ、、、、、、、、、」
三毛猫は困ったようにしばらく、うつむきながら考えていました、、、、、、、、そして
ふっと空を見上げました。
「今日の空は、とっても綺麗。
そうね、こんな青空を見られて私、幸せかも」
じゃあね、とテクテク歩いて行ってしまいました。
残された2匹のネコは顔を見合わせて???
ねえちょっと、空を見上げて幸せかもってある?
ないない、聞いた相手が悪かったみたいね。

そう言うと、お互いの毛づくろいをしながら
ゴロゴロと のどを鳴らし
青空の下で2匹は体を投げ出し
幸せそうに日向ぼっこをしていました。
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