第１５話 地下の最下層
文字数 3,494文字
日本国 東京都港区 汐留駅付近
ワトソン重工の日本支社ビル地下シェルター
2025年3月某日 明け方前
田森元総理は大変満足していた。
人間 以上になった自分の体が大変気に入った。
感覚が磨かれたのと筋力は普通の人間 より遥かに凌駕していた。
見た目も若返り、最初は50代前半まで変わったが、主 歓迎会中、更に3人の女性を餌食にしたことで、若返り現象はまた進んだ。今は30代後半から40代前半にまでなっていた。
若い人間 時代にはスポーツ万能で力強い男性だったが、こんなに強く、たくましい体と筋肉を持ったことはなかった。
数日前まで常に死への恐怖で怯えてた老人から若くて、強い新人者 に転化した。
そして田森自身も気付いてた、ただの新人者 ではないことを。
口から出る3本の伸び縮み可能な触手のような舌、その先端に鋭い牙、並外れたジャンプ力、極限まで磨かれた5感、普通の弾丸を弾かれる皮膚など、食物連鎖の頂点の存在になったと感じていた。
ワトソン重工の日本支社役員の小島さんによると、自分が特別になったのは約10年前から100倍薄められた主 の血を元に作られた血清を常時飲用していたからのようだ。転化してもすぐに数十年若返りなどせず、大体転化した歳のままになる新人者 が多い、長寿者 になればある程度若返るが、流石に40数年若返る者はいない。
宴は終わって、ワトソン重工従業員の人間 たちが会場を掃除していた。彼らはいずれ血による祝福を受ける予定で自ら食物連鎖の頂点の者たちの配下になっていた。
生贄になっていた者の遺体は片づけられ、台車に乗せられていた。田森は遺体がどこへ運ばれるのは気になっていたので近くでロージの高級ハンカチで口を拭いてた小島純次に声をかけた。
「小島さん、この食べ残った遺体どもはどこへ運ばれるのか？」
田森が質問してきた。
「おや、田森先生、これは、これは、失礼しました、気になるのであれば、お見せしましょうか？」
高級ハンカチをポケットに隠しながら小島が田森を誘った。
「是非案内してほしいね。お願いできるか、小島さん？」
田森が言った。
「小島と呼び捨てで良いですよ、田森先生。先生は主 の右腕になったので、これからこの私と私の部下は先生の配下になった。案内しますので私について来ていただきたい。」
謙遜しながら、笑っているようで笑ってない蝋人形のような笑顔で小島は答えた。
2人は会場を出て、2人の人間 たちが押している1台の台車の後ろを追った。
業務用のようエレベーターの前に止まり、そしてその内部に入った。そのエレベーターは更に地下深く下りて行った。
一番下までの階に到着し、全員は下りた、危険マークとバイオハザードマークのついた頑丈で大きな扉の前に止まると、人間 の作業員たちは入館証カードを読み取り専用パネルにかざした。扉が開いた。
薄暗い正五角形 通路が見えて、全員そこを歩いた。その正五角形 通路には天井と壁の他、斜め下は両側大きな窓グラスになっていた。窓グラスの裏には更に地下にある暗い部屋とその中に動く無数の影が見えた。奥まで進んだ後、作業員は両側の斜め下にある危険マークとバイオハザードマークのついた小さな扉の片方を開き、滑り台になっている通路に遺体を投げ始めた。
小島は小さな扉の上の壁にあった電気スイッチを付けた。更に地下にある片方の部屋の蛍光灯が付き、内部が見えた。
数十体の屍 が滑り台口から落ちる遺体に群がって、貪り食っていた。
作業員は遺体の投げ込みが終わると来た道を辿って、遺体回収に再び戻って行った。
田森は驚いた顔をして、地下にある屍 を恐怖の目で見ていた。
「これは何ですか、小島さん？」
質問してきた。
「田森先生、これはですね、あなたが飲んでいた血清を作るための必要な実験参加者ですよ。身寄りない人、失踪した人、家出人、不法滞在者の外国人、若いホームレスなどほとんどですね。我が主 の血の祝福は強い過ぎて、どのぐらい薄めば、飲用可になるのを実験、観察、時間が必要不可欠でした。10年前の先生なら、原液を薄めずに主 の血を飲めれば、即座に屍 化していたことは間違いない。」
小島は柔らかい声と決して笑ってない嘘の笑顔で答えた。
「一体何人使った？私はこのことをまったく知らなかった。」
田森が小島を問い詰めてきた。
「合計105名を実験に使ったのですよ。まず10倍に薄めた血清を作り、その後少しずつ薄める具合を上げてきました。この片方の地下実験場に合計70名いる。85倍までに薄めた血の血清ですぐ屍 化し、特殊能力を有せず、動きが若干鈍く思考能力を失うことが判明した。それ以後はまた面白い結果が出て来たけけどね。」
小島が自信に満ちた柔らかい声で答えた。
「残りの参加者はどうなったか？」
田森が聞いてきた。
「こちらですよ。」
と小島は反対側の電源スイッチを入れて、もう片方の部屋を見せた。
中には素早く走り、壁を登ろうとする数体の何かが居た。
「これは屍 じゃないな。」
田森がつぶやいた。
「はい、その通りです、流石田森先生。これは一種の喰種 です。吸血鬼への転化の段階に稀に誕生する出来損ない種です。屍 同様、思考能力がないか極端に少ないか、但し吸血鬼の特徴はいくつかある。スピード、腕力、耐久性、耐久力などですよ。」
小島が答えた。
「何人ここにいる？。」
田森が質問してきた。
「34人ですよ、田森先生。」
小島再び答えた。
「残りの1人はまさかだとは思うが、私か？」
田森はまた小島を問い詰めた。
「いいえ、それはないですよ先生。最後の1人を今から呼びますよ。」
小島は答えた。
小島は天井にある監視カメラに向けて、呼び出すような手のしぐさをした。約1分後、入り口の大きな扉が開いて、1人の男が入って来た。その男は身長が高く、角刈りした髪と筋肉質な体をしてた。
「お呼びでしょうか？小島情報セキュリティ総責任（CISO）。」
男が聞いてきた。
「はい、小橋君、来てくれてありがとうね。」
小島が男に向けて話した。
「彼は？」
田森が聞いた。
「血を99.5倍に薄めた血清を飲んだ、あなたが飲む前の最後の志願者ですよ。」
志願者と言う単語に力を入れながら小島が田森に答えた。
「はい、私は志願者です、田森先生。」
男が話した。
「志願者なのか？」
田森が男に対して確認のため質問をした。
「はい、私は全身癌の末期患者で余命1ヶ月でした。余命を言い渡されたのは31歳の時で、死の宣告を受けたその日の夜、病院の先生の紹介で小島さんと出会い、この実験を知り、自ら志願した。死にたくなったし、ダメ元で生き残れればと思ったのです。」
小橋と呼ばれている男が答えた。
「彼はこのビルのセキュリティー部の責任者です。そして半吸血鬼ですよ。」
小島が田森に説明した。
「はい、吸血鬼より昼間活動ある程度出来る、そして少しの血で回復力が一気に上がる。先生のように完全は食物連鎖の頂点の存在になりませんが、少なくても250年間は生きられるとここの科学者に言われている。」
小橋が田森に話した。
「我が主 は先生を完全な食物連鎖の頂点の存在にしたかったので、彼を実験材料に使った、そして数日で命が尽きると言われてた男がこうやって10年元気に生きていますよ。」
小島が付け加えた。
「そうか、そうか。そういことだったか。」
田森が喜んでいた。
「長い、長い時間がかかって、申し訳ございません、田森先生。我が主 はあなたを右腕にしたかったので、確実に、そして主 の次に強い存在にするため、少しずつ血清を飲ませる必要があった。」
小島が田森に説明した。
「君に感謝しても、感謝しきれない。」
田森が小橋に伝えた。
少し雑談した後、小橋は両方の地下部屋の電気を消して、3人で地下実験場を後にした。
小島は地下シェルターを後にし、ビルの最上階にある太陽の光を通さない特別加工された分厚いカーテンと特殊シャッターの役員臨時宿泊室に入った。
小瓶に入ってた透明な液体を一気に飲んで、ノートパソコンを付けて、ビデオ通話用のソフトを立ち上げた。画面に男のシルエットが映った。
「創設者 であり預言者 であり、本当の我が主 よ。あなたの預言詩篇 通り、ことが進んでいる。」
小島がシルエットの男に向けて言った。
「最終結果報告が楽しみです、小島よ。」
微かなフランス語訛りの日本語でシルエットの男が小島に言った後、画面が消えた。
転化役員専用棺型ベットに入りながら、小島は喜んでいた。後少しであの大統領の影響から脱出が出できる。思考が読まれないための血清を飲まなくて済むことになる。
「あの腐れ外道にこれから訪れる死に様が本当に楽しみだな。」
久しぶりに心からの笑顔と笑い声が溢れて来た。
ワトソン重工の日本支社ビル地下シェルター
2025年3月某日 明け方前
田森元総理は大変満足していた。
感覚が磨かれたのと筋力は普通の
見た目も若返り、最初は50代前半まで変わったが、
若い
数日前まで常に死への恐怖で怯えてた老人から若くて、強い
そして田森自身も気付いてた、ただの
口から出る3本の伸び縮み可能な触手のような舌、その先端に鋭い牙、並外れたジャンプ力、極限まで磨かれた5感、普通の弾丸を弾かれる皮膚など、食物連鎖の頂点の存在になったと感じていた。
ワトソン重工の日本支社役員の小島さんによると、自分が特別になったのは約10年前から100倍薄められた
宴は終わって、ワトソン重工従業員の
生贄になっていた者の遺体は片づけられ、台車に乗せられていた。田森は遺体がどこへ運ばれるのは気になっていたので近くでロージの高級ハンカチで口を拭いてた小島純次に声をかけた。
「小島さん、この食べ残った遺体どもはどこへ運ばれるのか？」
田森が質問してきた。
「おや、田森先生、これは、これは、失礼しました、気になるのであれば、お見せしましょうか？」
高級ハンカチをポケットに隠しながら小島が田森を誘った。
「是非案内してほしいね。お願いできるか、小島さん？」
田森が言った。
「小島と呼び捨てで良いですよ、田森先生。先生は
謙遜しながら、笑っているようで笑ってない蝋人形のような笑顔で小島は答えた。
2人は会場を出て、2人の
業務用のようエレベーターの前に止まり、そしてその内部に入った。そのエレベーターは更に地下深く下りて行った。
一番下までの階に到着し、全員は下りた、危険マークとバイオハザードマークのついた頑丈で大きな扉の前に止まると、
薄暗い
小島は小さな扉の上の壁にあった電気スイッチを付けた。更に地下にある片方の部屋の蛍光灯が付き、内部が見えた。
数十体の
作業員は遺体の投げ込みが終わると来た道を辿って、遺体回収に再び戻って行った。
田森は驚いた顔をして、地下にある
「これは何ですか、小島さん？」
質問してきた。
「田森先生、これはですね、あなたが飲んでいた血清を作るための必要な実験参加者ですよ。身寄りない人、失踪した人、家出人、不法滞在者の外国人、若いホームレスなどほとんどですね。我が
小島は柔らかい声と決して笑ってない嘘の笑顔で答えた。
「一体何人使った？私はこのことをまったく知らなかった。」
田森が小島を問い詰めてきた。
「合計105名を実験に使ったのですよ。まず10倍に薄めた血清を作り、その後少しずつ薄める具合を上げてきました。この片方の地下実験場に合計70名いる。85倍までに薄めた血の血清ですぐ
小島が自信に満ちた柔らかい声で答えた。
「残りの参加者はどうなったか？」
田森が聞いてきた。
「こちらですよ。」
と小島は反対側の電源スイッチを入れて、もう片方の部屋を見せた。
中には素早く走り、壁を登ろうとする数体の何かが居た。
「これは
田森がつぶやいた。
「はい、その通りです、流石田森先生。これは一種の
小島が答えた。
「何人ここにいる？。」
田森が質問してきた。
「34人ですよ、田森先生。」
小島再び答えた。
「残りの1人はまさかだとは思うが、私か？」
田森はまた小島を問い詰めた。
「いいえ、それはないですよ先生。最後の1人を今から呼びますよ。」
小島は答えた。
小島は天井にある監視カメラに向けて、呼び出すような手のしぐさをした。約1分後、入り口の大きな扉が開いて、1人の男が入って来た。その男は身長が高く、角刈りした髪と筋肉質な体をしてた。
「お呼びでしょうか？小島情報セキュリティ総責任（CISO）。」
男が聞いてきた。
「はい、小橋君、来てくれてありがとうね。」
小島が男に向けて話した。
「彼は？」
田森が聞いた。
「血を99.5倍に薄めた血清を飲んだ、あなたが飲む前の最後の志願者ですよ。」
志願者と言う単語に力を入れながら小島が田森に答えた。
「はい、私は志願者です、田森先生。」
男が話した。
「志願者なのか？」
田森が男に対して確認のため質問をした。
「はい、私は全身癌の末期患者で余命1ヶ月でした。余命を言い渡されたのは31歳の時で、死の宣告を受けたその日の夜、病院の先生の紹介で小島さんと出会い、この実験を知り、自ら志願した。死にたくなったし、ダメ元で生き残れればと思ったのです。」
小橋と呼ばれている男が答えた。
「彼はこのビルのセキュリティー部の責任者です。そして半吸血鬼ですよ。」
小島が田森に説明した。
「はい、吸血鬼より昼間活動ある程度出来る、そして少しの血で回復力が一気に上がる。先生のように完全は食物連鎖の頂点の存在になりませんが、少なくても250年間は生きられるとここの科学者に言われている。」
小橋が田森に話した。
「我が
小島が付け加えた。
「そうか、そうか。そういことだったか。」
田森が喜んでいた。
「長い、長い時間がかかって、申し訳ございません、田森先生。我が
小島が田森に説明した。
「君に感謝しても、感謝しきれない。」
田森が小橋に伝えた。
少し雑談した後、小橋は両方の地下部屋の電気を消して、3人で地下実験場を後にした。
小島は地下シェルターを後にし、ビルの最上階にある太陽の光を通さない特別加工された分厚いカーテンと特殊シャッターの役員臨時宿泊室に入った。
小瓶に入ってた透明な液体を一気に飲んで、ノートパソコンを付けて、ビデオ通話用のソフトを立ち上げた。画面に男のシルエットが映った。
「
小島がシルエットの男に向けて言った。
「最終結果報告が楽しみです、小島よ。」
微かなフランス語訛りの日本語でシルエットの男が小島に言った後、画面が消えた。
転化役員専用棺型ベットに入りながら、小島は喜んでいた。後少しであの大統領の影響から脱出が出できる。思考が読まれないための血清を飲まなくて済むことになる。
「あの腐れ外道にこれから訪れる死に様が本当に楽しみだな。」
久しぶりに心からの笑顔と笑い声が溢れて来た。
