第48話 断捨離

文字数 883文字

 親しかった友人がジワジワと離れていく感覚がありました。コロナのせいでしょうか。それとも……

 今まで毎日のようにやりとりをしていた友人からのメールが、途切れ途切れになった。しばらくはブログのように送っていた私だが、返信の言葉に(トゲ)がある。「送ってこないでくれ」 とストレートにもらった時点で、関係は切れるのに。でも、そこはアラ還。真綿?オブラート?沈黙?などのニュアンスで、それとなく気付かせる心遣いというか、ズルさというか。とにかく、はっきりしないが、限りなく嫌っている素振りに一票。

 数年前から年齢を機に、年賀状を辞退したい旨が届くようになった。辞退=縁切りである。なぜなら年賀状が唯一の付き合いだったから。数十年も会っていなければ、これからも会うことはないだろう。私の座右の銘は「来るものは拒まず、去る者は追わず」

 だが、歯に衣着せぬ友人は、そう簡単にできるものではない。多くできるものでもない。何年もかかるし、相性もある。だからこそ、この縁を絶やしてはいけないと守りに入る。そう思っていたのに、サラサラと崩されていく感覚があった。残念だが、この縁を諦めなければならない。そう思わされ、徐々にその友人の影を消した。

 数ヶ月経ち、新しい趣味に没頭していた私に、影を消した友人からメールがきた。以前と変わらぬ文面。でも私のテンションは低い。そして苦痛を感じた。何年もかけて築いた絆。数ヶ月で簡単に終わらせていいのか?私は逆の立場になっていた。

 人間関係の断捨離。付き合い浅く、永遠に会わないであろう年賀状の相手のような人が対象だと思っていた。でも私は、もしかしたら捨ててはいけない人を、捨てようとしているかもしれない。客観的には理解できても、心が捨てろと言ってくる。このまま、騙すように縁を繋ぐか、フェードアウトしていくか。とにかく今は気分がのらない。コロナ禍を理由に会わないままが続けば 、 まともな会話もできなくなりそうだ。度量の狭い私は、自分のコントロールができない。

悩んでいます、とっても。今は時間を味方につけて、悔いのない流れになってほしいと思っています。
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