第50話 ルール説明(2) Game Rules
文字数 1,657文字
「逃げる人はいない? いませんね? さすがは集いし勇者たち! それではみなさん! みなさんには、これから契約を結んでいただきます。それぞれのネコの前に進んでください」
クリケットの目の前には、ずらり等間隔で、大小様々なネコが並んでいる。彼らにはカメラがついていて、各選手の動きを追うことができるようになっている。ザ・ゲーム設立時に、ネコとヌコの王、百萬猫に協力してもらって作られたシステムだ。
ネコは百萬猫から派遣される。パートナーがいれば、そのネコがやってくる。
ーーチャタローチャタロー。
サオリは、先ほどネコが行進してきた時から、チャタローの存在に気づいていた。
チャタローはサオリのパートナーだ。茶色い雑種。まだ子猫なので、12匹の中で一番小さい。だが、一番威張ろうと背筋を伸ばし、ツンとした顔で座っている。もちろん、アイゼンとギンジロウのパートナー、白猫と黒猫の、ワヲンとノブナガもいる。
サオリは小走りで、チャタローの前まで歩いていった。
ネコはランダムに並んでいるのかと思っていたが、チーム同士で並んでいるようだ。初対面とはいえ、先ほどの出場者一覧を見たので、各チームの特徴は覚えている。ここまで近づくと、さすがにみんな、どのチームの誰なのかがわかった。
サオリたちの左にいるお坊さんたちは真言立川流だ。全員安そうな袈裟を着ている。
出場者一覧表に170センチ58キロと書いてあったので、一番小さい蛇のような顔の男がカンショウだ。
180センチ82キロの顔立ちが整ったお坊さんはカンレン。
192センチ100キロの、ラグビー選手のような体格をした、ぬっぺりとした顔のお坊さんはジャクジョウだろう。全員坊主だが、体型が特徴的だ。間違いようがない。
自分たちの右側にいる白人たちは、異様な大きさを誇っている。熱気が凄い。彼らの周りだけは冷房が効いていない。3人ともが白いスーツで白い帽子をかぶり、赤いネクタイを締めている。この白人たちは、リリウス・ヌドリーナだろう。
220センチ200キロの岩のような男がタンザだ。太っているのに弛んでいるようには見えず、キザでモテそうだ。金髪でもみあげが太い。香水も使っていて、清潔に感じる。
239センチ158キロの男はビンゴ。細いのかと思っていたが、近くで見ると分厚い。さすが239センチの体を支えているだけのことはある。2人とも、不敵な面構えをしている。この大きさでは、今まで敵らしい敵などいなかったのだろう。
その奥には、169センチ27キロの男がいるようだが、同じ白いスーツを着ていることもあり、影に隠れてよく見えない。27キロは書き間違いだろうが、それなりに細そうだ。
その奥が、黄金薔薇十字団に違いない。
161センチ60キロのオシャレなおじさんがオポポニーチェだろう。色こそカラフルな単色だが、ジェームズ・モンゴメリーの米軍募集ポスターのような服装だ。杖をつき、びっこをひいている。ガチャ目でどこを見ているのかよくわからない。
後ろにいる双子が、フォーとシザーだ。185センチ70キロ。太陽と月の模様が散りばめられたスーツで決めている。髪は金髪の7:3分け。顔は綺麗だが、これといった特徴がない。モデル風で明らかにイケメンなのだが、動きの一つ一つが鈍い。頭の悪さを露呈しているような気がする。
サオリの頭上では、真言立川流に向けて、ビンゴとタンザの2人がバチバチと視線を飛ばしている。お坊さんは知らんぷりだ。いや、1人だけ。背が一番低い坊主、カンショウだけは、興奮を抑えきれていなかった。目こそ合わせていないものの、暗闇で暗く光る細い瞳は、爬虫類のそれを思わせる。
ーーアタピ、この人嫌い。
サオリは第一印象で、本能が拒否する嫌なものを感じた。
黄金薔薇十字団のオシャレおじさん、オポポニーチェは、上半身を直角に傾けて、出場者全員を睨め回している。猟奇的だ。右を向いても左を向いても気味が悪い。サオリは目が合わないように、慌てて真正面だけを見ることにした。
クリケットの目の前には、ずらり等間隔で、大小様々なネコが並んでいる。彼らにはカメラがついていて、各選手の動きを追うことができるようになっている。ザ・ゲーム設立時に、ネコとヌコの王、百萬猫に協力してもらって作られたシステムだ。
ネコは百萬猫から派遣される。パートナーがいれば、そのネコがやってくる。
ーーチャタローチャタロー。
サオリは、先ほどネコが行進してきた時から、チャタローの存在に気づいていた。
チャタローはサオリのパートナーだ。茶色い雑種。まだ子猫なので、12匹の中で一番小さい。だが、一番威張ろうと背筋を伸ばし、ツンとした顔で座っている。もちろん、アイゼンとギンジロウのパートナー、白猫と黒猫の、ワヲンとノブナガもいる。
サオリは小走りで、チャタローの前まで歩いていった。
ネコはランダムに並んでいるのかと思っていたが、チーム同士で並んでいるようだ。初対面とはいえ、先ほどの出場者一覧を見たので、各チームの特徴は覚えている。ここまで近づくと、さすがにみんな、どのチームの誰なのかがわかった。
サオリたちの左にいるお坊さんたちは真言立川流だ。全員安そうな袈裟を着ている。
出場者一覧表に170センチ58キロと書いてあったので、一番小さい蛇のような顔の男がカンショウだ。
180センチ82キロの顔立ちが整ったお坊さんはカンレン。
192センチ100キロの、ラグビー選手のような体格をした、ぬっぺりとした顔のお坊さんはジャクジョウだろう。全員坊主だが、体型が特徴的だ。間違いようがない。
自分たちの右側にいる白人たちは、異様な大きさを誇っている。熱気が凄い。彼らの周りだけは冷房が効いていない。3人ともが白いスーツで白い帽子をかぶり、赤いネクタイを締めている。この白人たちは、リリウス・ヌドリーナだろう。
220センチ200キロの岩のような男がタンザだ。太っているのに弛んでいるようには見えず、キザでモテそうだ。金髪でもみあげが太い。香水も使っていて、清潔に感じる。
239センチ158キロの男はビンゴ。細いのかと思っていたが、近くで見ると分厚い。さすが239センチの体を支えているだけのことはある。2人とも、不敵な面構えをしている。この大きさでは、今まで敵らしい敵などいなかったのだろう。
その奥には、169センチ27キロの男がいるようだが、同じ白いスーツを着ていることもあり、影に隠れてよく見えない。27キロは書き間違いだろうが、それなりに細そうだ。
その奥が、黄金薔薇十字団に違いない。
161センチ60キロのオシャレなおじさんがオポポニーチェだろう。色こそカラフルな単色だが、ジェームズ・モンゴメリーの米軍募集ポスターのような服装だ。杖をつき、びっこをひいている。ガチャ目でどこを見ているのかよくわからない。
後ろにいる双子が、フォーとシザーだ。185センチ70キロ。太陽と月の模様が散りばめられたスーツで決めている。髪は金髪の7:3分け。顔は綺麗だが、これといった特徴がない。モデル風で明らかにイケメンなのだが、動きの一つ一つが鈍い。頭の悪さを露呈しているような気がする。
サオリの頭上では、真言立川流に向けて、ビンゴとタンザの2人がバチバチと視線を飛ばしている。お坊さんは知らんぷりだ。いや、1人だけ。背が一番低い坊主、カンショウだけは、興奮を抑えきれていなかった。目こそ合わせていないものの、暗闇で暗く光る細い瞳は、爬虫類のそれを思わせる。
ーーアタピ、この人嫌い。
サオリは第一印象で、本能が拒否する嫌なものを感じた。
黄金薔薇十字団のオシャレおじさん、オポポニーチェは、上半身を直角に傾けて、出場者全員を睨め回している。猟奇的だ。右を向いても左を向いても気味が悪い。サオリは目が合わないように、慌てて真正面だけを見ることにした。