第7話 レジ袋
文字数 2,459文字
暑い時期にはジャージ上下、寒い時期にはレインウェア上下、ジョギングシューズもしくは長靴、豚革の手袋、バケツ、移植ゴテ、鎌、そして手提げのゴミ袋。
俺の、お散歩ゴミ拾いのフル装備である。
このゴミ袋には、いわゆるレジ袋を使用することが多いのだが、我が家ではもともとレジ袋はもらわない主義なので、拾ったレジ袋を使用している。
だが、レジ袋は単体で落ちていることは少ない。ペットボトルや空き缶、弁当の空き箱などが入れられ、結んで捨てられていることが多く、ほどく際に破れて使い物にならなくなったり、内容物で汚れていて使用に耐えなかったりすることもある。
落ちているものは、車に踏まれたり、カラスにつつかれたりしてどこかが破れていることも多く、そうなるとゴミ袋としては使用できない。
ねらい目は何も入ってない袋で、そういうのも数日に一枚くらいの頻度で落ちている。
これを持って歩き、拾ったゴミを入れるのだ。持って帰ったゴミは、十分くらいかけてすべて分別している。そして、やはり拾ったレジ袋に仕分けていくことになる。
燃やせるゴミ、燃やせないゴミ、プラゴミ、缶、瓶、その他金属、ペットボトル、乾電池が、俺の住む自治体の分類である。ウチは、犬小屋の手前の庇下が、ゴミの置き場所になっていて、月・木の燃えるゴミ。金曜のプラゴミ、水曜の資源ゴミ。火曜は二週間置きの燃やせないゴミの日に合わせて『出荷』していくのだ。
こうして、ゴミだけを利用してうまく回しているのだが、レジ袋が有料化された時には、もう落ちていないかも知れない、と思ったし、実際のところ、一時的には大幅に減った。しかし、次第にまた数が戻ってきたように感じるし、使い捨てにしなければ、拾った袋だけで十分ゴミ拾いに間に合う程度には、まだ落ちている。
金を払ってでも袋が欲しいヤツが、一定数いるというわけだろう。だが、ポイ捨てされているレジ袋に限って、中身は実に貧相かつ生活必需品でないもののゴミが多い。例えば、半額シールのついた総菜や弁当、スナックの袋が定番で、ほとんどの場合、ペットボトル、吸い殻とセットである。
レジ袋の有料化は、たしかにレジ袋そのものを減らす効果はあったと思う。
ゴミ拾いをしていると、よく分かる程度にはレジ袋が減っている。また、それに伴ってゴミ全体の様子も変わってきたといえる。
もちろん、変わってきた、といってもいい方向にばかりではない。ポイ捨て人間の『ポイ捨て魂』は、不屈なのだ。レジ袋なんぞなくても、決してポイ捨てをやめたりはしないから、かえって厄介なポイ捨て習慣を産んでもいるようだ。
食べた後の包み紙や袋、空き缶やペットボトル等をレジ袋に入れ、まとめてポイ捨てする習慣のあるヤツが一定数いる。同梱のレシートを読むと、ああ、昼飯もしくは朝食をコレで済ませたのだな、と分かる内容なのだが、そうやっていたヤツの中に、ゴミを細く折りたたみ、ご丁寧にもペットボトルに詰め込んでポイ捨てするヤツが現れた。
なんとしてもゴミをひとまとめにしたい、という熱い思いを感じるが、そこまでやるなら、普通にゴミ箱に捨てた方が、手間が少ないように思う。それでもやる、ということは、どうあってもポイ捨てしたいのだろうか? その情熱は理解不能だ。
これを分別するにはペットボトルを切って、中のゴミを取り出すしかなく、それが飲み残しにまみれていたりすると、改めて洗う必要もあって非常に手間なので、さっさとそういう情熱は無くしてほしい。
あと、スナック菓子などの個包装ゴミの散乱がよく見られるようになった。これまではレジ袋にまとめられてポイ捨てされていることが多かったのだが、最近では食べた端からポイ捨てするヤツがいるようだ。個包装は、風で広範囲に散る場合があり、拾い集めるのに苦労している。
余談だが、スナック菓子のメーカーは、個包装を考え直してほしいものだ。封を切ったものを保存する際に、残りが湿気ってしまうのを防ぐ効果があるのは分かるが、メリットはそれだけで、害の方が多い。
個包装のせいでかさばって、持ち運びに不便だし、空気を運んでいるようなもんだから輸送コストもアップしているはず。そしてそのコストアップを吸収するためか、単価も、個包装になってから、平均で数十円アップしたように思うし、なによりゴミになるものに金を払っている感がキツイ。
個包装よりも、大袋の方をチャック式にしてもらった方がよほどありがたい。それか、どうしてもというなら、一個一個でなく、三~五個くらいずつ分けておいてくれればいい。スナック菓子を一個だけ食うなんてことは、あまり無いと思うのだが如何か。
話が逸れた。レジ袋の件である。
レジ袋に入っているゴミは、鎌で引っ掛けて引き寄せやすい、ということもある。特に農地に放り込まれたペットボトルなど、単体ではなかなか引き寄せにくい。まあ、そもそもポイ捨てするなって話でもあるが。
この状況。レジ袋の分だけでも、ポイ捨てゴミが減っていい、と考えるべきか、結局何の効果もない、と判断すべきかは、データをとってみないと分からないように思う。
だが、どうもポイ捨てゴミの全体量は、変わっていないのではないかと思う。問題なのはやはり、どんな制度に変わろうとも、ポイ捨てを続ける底なしのバカどもの、火傷するほど熱い情熱を、どうぶっ潰すかなのであろう。
などと考えていたら、ネットニュースで『使い捨てスプーン有料化』のニュースが飛び込んできた。そう来たか。じゃあ、次はトレー禁止、個包装禁止からの包装そのもの禁止へのシフトだな。
もういっそ、あらゆるビニール包装を廃止し、食い物は紙か竹の皮で包むこと、飲み物はすべて量り売りか、ひょうたんに入れて売ることにしたらどうだろう。
コストも手間も増えるし、買う方も作る方も面倒になるかも知れないが、そこに新しいビジネスが生まれるかもしれんし。
そもそもビニール包装が存在しなくなれば、ポイ捨てしようがないわけだからな。
俺の、お散歩ゴミ拾いのフル装備である。
このゴミ袋には、いわゆるレジ袋を使用することが多いのだが、我が家ではもともとレジ袋はもらわない主義なので、拾ったレジ袋を使用している。
だが、レジ袋は単体で落ちていることは少ない。ペットボトルや空き缶、弁当の空き箱などが入れられ、結んで捨てられていることが多く、ほどく際に破れて使い物にならなくなったり、内容物で汚れていて使用に耐えなかったりすることもある。
落ちているものは、車に踏まれたり、カラスにつつかれたりしてどこかが破れていることも多く、そうなるとゴミ袋としては使用できない。
ねらい目は何も入ってない袋で、そういうのも数日に一枚くらいの頻度で落ちている。
これを持って歩き、拾ったゴミを入れるのだ。持って帰ったゴミは、十分くらいかけてすべて分別している。そして、やはり拾ったレジ袋に仕分けていくことになる。
燃やせるゴミ、燃やせないゴミ、プラゴミ、缶、瓶、その他金属、ペットボトル、乾電池が、俺の住む自治体の分類である。ウチは、犬小屋の手前の庇下が、ゴミの置き場所になっていて、月・木の燃えるゴミ。金曜のプラゴミ、水曜の資源ゴミ。火曜は二週間置きの燃やせないゴミの日に合わせて『出荷』していくのだ。
こうして、ゴミだけを利用してうまく回しているのだが、レジ袋が有料化された時には、もう落ちていないかも知れない、と思ったし、実際のところ、一時的には大幅に減った。しかし、次第にまた数が戻ってきたように感じるし、使い捨てにしなければ、拾った袋だけで十分ゴミ拾いに間に合う程度には、まだ落ちている。
金を払ってでも袋が欲しいヤツが、一定数いるというわけだろう。だが、ポイ捨てされているレジ袋に限って、中身は実に貧相かつ生活必需品でないもののゴミが多い。例えば、半額シールのついた総菜や弁当、スナックの袋が定番で、ほとんどの場合、ペットボトル、吸い殻とセットである。
レジ袋の有料化は、たしかにレジ袋そのものを減らす効果はあったと思う。
ゴミ拾いをしていると、よく分かる程度にはレジ袋が減っている。また、それに伴ってゴミ全体の様子も変わってきたといえる。
もちろん、変わってきた、といってもいい方向にばかりではない。ポイ捨て人間の『ポイ捨て魂』は、不屈なのだ。レジ袋なんぞなくても、決してポイ捨てをやめたりはしないから、かえって厄介なポイ捨て習慣を産んでもいるようだ。
食べた後の包み紙や袋、空き缶やペットボトル等をレジ袋に入れ、まとめてポイ捨てする習慣のあるヤツが一定数いる。同梱のレシートを読むと、ああ、昼飯もしくは朝食をコレで済ませたのだな、と分かる内容なのだが、そうやっていたヤツの中に、ゴミを細く折りたたみ、ご丁寧にもペットボトルに詰め込んでポイ捨てするヤツが現れた。
なんとしてもゴミをひとまとめにしたい、という熱い思いを感じるが、そこまでやるなら、普通にゴミ箱に捨てた方が、手間が少ないように思う。それでもやる、ということは、どうあってもポイ捨てしたいのだろうか? その情熱は理解不能だ。
これを分別するにはペットボトルを切って、中のゴミを取り出すしかなく、それが飲み残しにまみれていたりすると、改めて洗う必要もあって非常に手間なので、さっさとそういう情熱は無くしてほしい。
あと、スナック菓子などの個包装ゴミの散乱がよく見られるようになった。これまではレジ袋にまとめられてポイ捨てされていることが多かったのだが、最近では食べた端からポイ捨てするヤツがいるようだ。個包装は、風で広範囲に散る場合があり、拾い集めるのに苦労している。
余談だが、スナック菓子のメーカーは、個包装を考え直してほしいものだ。封を切ったものを保存する際に、残りが湿気ってしまうのを防ぐ効果があるのは分かるが、メリットはそれだけで、害の方が多い。
個包装のせいでかさばって、持ち運びに不便だし、空気を運んでいるようなもんだから輸送コストもアップしているはず。そしてそのコストアップを吸収するためか、単価も、個包装になってから、平均で数十円アップしたように思うし、なによりゴミになるものに金を払っている感がキツイ。
個包装よりも、大袋の方をチャック式にしてもらった方がよほどありがたい。それか、どうしてもというなら、一個一個でなく、三~五個くらいずつ分けておいてくれればいい。スナック菓子を一個だけ食うなんてことは、あまり無いと思うのだが如何か。
話が逸れた。レジ袋の件である。
レジ袋に入っているゴミは、鎌で引っ掛けて引き寄せやすい、ということもある。特に農地に放り込まれたペットボトルなど、単体ではなかなか引き寄せにくい。まあ、そもそもポイ捨てするなって話でもあるが。
この状況。レジ袋の分だけでも、ポイ捨てゴミが減っていい、と考えるべきか、結局何の効果もない、と判断すべきかは、データをとってみないと分からないように思う。
だが、どうもポイ捨てゴミの全体量は、変わっていないのではないかと思う。問題なのはやはり、どんな制度に変わろうとも、ポイ捨てを続ける底なしのバカどもの、火傷するほど熱い情熱を、どうぶっ潰すかなのであろう。
などと考えていたら、ネットニュースで『使い捨てスプーン有料化』のニュースが飛び込んできた。そう来たか。じゃあ、次はトレー禁止、個包装禁止からの包装そのもの禁止へのシフトだな。
もういっそ、あらゆるビニール包装を廃止し、食い物は紙か竹の皮で包むこと、飲み物はすべて量り売りか、ひょうたんに入れて売ることにしたらどうだろう。
コストも手間も増えるし、買う方も作る方も面倒になるかも知れないが、そこに新しいビジネスが生まれるかもしれんし。
そもそもビニール包装が存在しなくなれば、ポイ捨てしようがないわけだからな。