べらべらしゃべるお母さん

もう！　またスマホやってんの？　いい加減にしなさい！　
朝から晩まで、手にスマホがくっついちゃったっていうの？　
……まったく。あ、そうだ！　勉強はしたの？　まだ？　さっさとしちゃいなさ
いよ！　課題なんていくらでもあるでしょ！　
『あとで』って、何回言えば気がすむの？　
あとでって言って、やった試しがないじゃない！　
あんたの『あとで』はやらないって意味って、お母さん知ってるんだからね！　
ほらっ、勉強しないなら掃除する！　
部屋散らかしっぱなしじゃない！　
さっきから何してるのよ……。
休みだからって本当に気が緩みすぎっていうか……お母さんが仕事してるのを
いいことに、好き放題！　頭が痛い……。
えっ？　『ママがイライラしてるから嫌だ』？　
（気づいた様子で）……そうねぇ。私もちょっと言い過ぎたかもしれない。仕事
と家事が大変で。あなたに当たってたかもね。
でもね、あなたのためだから。学校始まって、勉強についていけなくなっちゃっ
たら、大変なのはあなたなのよ。
勉強ができなくて、学校行きたくなくなっちゃったりしたら、お母さん……。
心配なのよ、あなたが。
『心配しすぎ』？　でも……心配になっちゃうのは親心っていうのよ。
お母さんも勉強につまづいて、学校行きたくなかった時期があるから……。
（笑いながら）そのときは友達がいたからなんとか学校に行けたんだけどね。
懐かしいな、お母さんの学生時代。
やっぱりあなたと一緒で、おばあちゃんに勉強しろって言われてもしなかった
っけ。テストも赤点で……。

ふふっ、人のこと言えないわね。部活ばっかりしてた。
でも今は部活もなかなかできない時代になっちゃったのよね。
あなたが本当に心配で……（気づいたように）あっ。
これが心配しすぎで鬱陶しいのよね。
お母さんもキツく言い過ぎた。ごめんなさい。
そうだ。今日は日曜日だし、少しお互いスマホと仕事はお休みして、一緒に映画
でも見よっか？　
ほら、テレビの……あんた見たいって言ってたの今日あるでしょ？　それ。
なんだっけ？　
なんかアイドルの何とか君が出てくるっていう……笑わないでよ。
お母さん、アイドルそんなに詳しくないのよ。
これからあなたと一緒に勉強するから！　色々教えてね？　先生。
（「先生と呼ばれて恥ずかしい」）
いいじゃない、あなたが先生なのは変わらないでしょ！　
お母さんに何か教えるの嫌？　……お母さんと映画見るの、恥ずかしい？　（かわいく）こらっ。
そんなこと言ったら、今夜のハンバーグ、野菜炒めにするよ？　
恥ずかしがらないでよ。
お母さんはあなたと久々に映画見られるの、楽しみなんだからね！