第34話  ホルガローテン (Hårgalåten)

文字数 3,465文字




このスウェーデン民謡を訳詞する。

https://www.youtube.com/watch?v=FI3iX8WtzaM

本稿のアップはあることの公開に合わせたものです。

気づける方は気づいてください。


(1)

フィドラー(奏者)は、ヴァイオリンをケースから取りだした。
そして、昇る(安息日の)朝日に向かって、その弓を差し向けた。(←挑戦のジェスチャー)

この光景を前に、ハルガの人々は、なぜか(えらく)興奮してしまう。
そして、彼らは、神と、この世界、その成り立ちのことを忘れてしまう。


(2)

どこから来たの、奏者?。
誰があなたに、このワイルドでクレイジーなメロディーを教えたの?。

今、(演奏を)やめてくれないと、私たちの心臓は破裂してしまう…。
神よ、やめさせてー!。彼には(ひづめ)があるわーーー!!!。



(3)

谷に鐘の音が響きわたる。
そう、父と母、そして幼い弟たちは、教区の教会に今いるはず…。

でっ、じゃあ、ハルガの人々は今どこに?。
ああ〜神様… 。
彼らは今も、ずっと、奏者が奏でるあの旋律に興じて踊っています!

やめたくとも、体が言うことを聞いてくれない。もうやめられない。



(4)

彼らは操演にのって踊りながらハルガを登ってゆく。
ハルガ山の、その(いただき)に向かって。

涙が流されることになるのは、もうそう遠くない…。
踊っている間、体と魂、その両方は確かに彼らの身の内にあった。


(5)

フィドラー(詐欺師)!。 今、即座に、その操演をやめよ!!!。

踊らされる人のこころ

やがてには、魂は抜き取られ、骨の全部が大地に撒き散らされることとなる。

いいや…彼が、事の前に、このダンスをやめさせるわけがないのだ。

やがてに、みんな倒れ伏し、そんでもって、本当に、死んでしまうまでは…。



〈了〉




*意訳強。


教会に行っていない…、つまりは、
神への信仰に本気では至れない、よって庇護に恵まれない人々だけの話し。
原曲はスウェーデン語なのだが、英文の歌詞を掲載しておきます。

The fiddler pulled his fiddle out of its case and
Raised his bow to the rising Sunday sun
Then the people of Harga got excited
They forgot God and the whole world.

The dance took place in the meadows and slopes
High up on the peak of the Harga Mountain
They wore out both shoes and heels
Never getting the dance to stop.

Where do you come from fiddler?
Tell us who has taught you this wild and crazy melody?
If you don't stop now our hearts will burst
Oh God forbid, he has a hoof.

The bells rang in the valley and there went
Father and mother and brother to the parish church
Where can the youth of Harga be now?
Oh my God, they're still dancing!

They were dancing to the Harga song
High up on the Harga mountain peak
Tears aren't far off
While dancing, they wore through both body and soul.

Stop your bow fiddler, before we
Dance life and soul and all the bones out of our bodies
No, he won't stop the dance before

Everyone falls down dead.



現在、
この手の奏者が巷に溢れ出してきてる。
どこもかしこにも…。
みなさま、お気をおつけくださいまし。

奏者らも、自分は善意から、正しいことをやっているのだと思ってるところが怖い。
知らず知らずに片棒担がされているだけ。

正解は、目を耳を、そして口をも閉じていることなんだろうけどね…。

だけどね!。

この舞台が備えられている以上、少しばかり警報ぐらいはしておこう。
語るのも色々とめんどくさいので、次の抜粋から
我が意を汲んでいただければと思います。



Re: 魍魎の匣 より少し…。


「さあ、匣に入ろう」

胸が踊った。
なんだやっぱり可能なんだ、僕のはやり方が悪かっただけだったんだ…。
そして僕は匣に入った…。

頭の芯が蕩けるようで、暫くは(ぼう)っとしていた。
でも、いつまで経っても頭の霞はすっきりと晴れることはなく、
幸せと不安の境目をふらふらしている。

手も足も動かせない。声も出なかった。
匣の中は暗くて何も見えない。
轟音とダイナモの音と、どくどくと細管(チューブ)の中を流れる液体の音が聞こえるだけだ。

この状態が百年も千年も続くのだろうか。

息苦しい。
頭が痺れる。ビリビリと痺れる。
人を呼ぼうにも、声が出ない、喉がヒリヒリと焼けている。
腹に力を入れようにも、腹がなかった。
恐ろしくなった。これでは地獄だ。永遠に続く無間地獄の責苦じゃないか!。

一億年分の後悔と懺悔が押し寄せる。

そうだ。植物だ。植物だと思えばいい。植物の胡乱(うろん)な意識が幸せにしてくれる。
いや鉱物かもしれない。限りなく無機物に近い硬質な静寂が欲しい。

でも私は有機物だ。
いや、私は久保竣公だ。
それとも、私はもう人ではないのか。
私の中で、動物と、植物と、そして鉱物が同居して始めている。
久保竣公というのはもうなくなってしまった。
拡散する。
霧のように私は匣の隅々にまで充満する。
私は匣の形になる。
隅々まで、ぴったと匣の形になる。

ちっとも幸せじゃないじゃないか…。


〈暗転〉



美馬坂さん、いいか、意識は脳だけで作り出されているものじゃない。
人間は人間全部で人間なんだ。脳髄はただの器官だ。部分的に欠損した
場合は幾らだって補えるが、脳だけ取ったってなんも残らない。

身体と魂は不可分なんだ。

脳髄は部分だ。脳が人間の本体だなんて考えは、魂が人間の中に入っている
というのと変わりのない馬鹿馬鹿しい考え方だ。
この世がなければあの世があり得ないように肉体がなければ心もない。

〈略〉

脳は鏡だ。

機械に繋がれた脳が生み出すのは、
 脳の持ち主の意識ではなく、

だ。



抜粋終わり。





つけたり:


夢見られ、現在驚くほどの情熱、投資をもって現実化されようとしているVR。
そしてネット・シティー構想。(チップ云々のやつね)

これは悪霊によって仕立てられた

の最終完成形態なのだとの直感がある。

人格と同一化し、エゴがなんであるかの自覚がなければ、
このワンダーランドへ入場してしまうことは避けられまい。

多くの若い人々にはどハマりしてしまうぐらい魅力的なものと幻想がもたれてしまう。
そこが理想郷だと宣伝されるのは今に始まったことではない。

だが、閉じた世界なのだ。そこは…。

何が進化だ…。

終わる。



蛇足:

人間の体内には宇宙に存在するあらゆる物質が浸透している。
これを頼りとして、チャンネルとして、あちらの世界と接続することができる。
既に最初から、完成された、優れたインターフェイス・マシーンとして人間はある。
上を見ないで、手元ばかり見てるから行き詰まり、小細工ばかりを考えることになる。


どっかで見かけた。
「もうみなさんどんどんいきましょう〜」とか言ってた。
エンスーさんが…。

自然が一番。


もう一個思うことを残しておく。
なぜあの作品が生まれてきたのか?
どうやってあの主題歌が生まれたのか? あまりにそれはピッタリだった。

作者、作曲作詞家もさることながら、世界が生み出した、用意したとも言える。
そしてそれらの中に肝となるメッセージはちゃんと用意されている。
これはヒトに依らないがために疎かにすることはできない。

タイトルがまさにそれだった…

「アンインストール」(Un-install) 

https://www.youtube.com/watch?v=ps0_QRzlp9k






ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み