第54話 懇親会にて
文字数 481文字
その夜、市長をはじめ、支店主や番頭、一般ボランティアが集まって、市民会館で懇親会が開かれた。同じテーブルに着いた人たちと酒を飲みながら談笑していると、順々にテーブルを回っていた市長が、僕のグラスにビールを注いで話しかけた。
「どうや。なかなか盛大やろ」
「でも、わざわざ三セクの株式会社にしなくても、NPOでもできたんじゃないですか」
率直な感想を市長に伝えた。
「NPOを作れるまでに星野川市民は成熟してないで、しゃあないんや」
ささやくように言うと、市長は別のテーブルへと移った。
目の前には、サンドイッチや寿司、唐揚やサラダなどが並んでいたが、もちろん会費は一切徴収されていない。
懇親会が終わり、席を立ったとき、ひとりの男性に声をかけられた。見ず知らずの人であった。
「市議会議員の宇田さんが、倉知さんと話したいと言ってるんですけど、このあと時間ありますか」
突然の誘いに少し驚いたが、すぐに「大丈夫ですよ」と答えた。
会場を出たところで、宇田議員が待っていた。選挙公報で見たとおりの強面の顔は、一見すると政治家というよりヤクザに近かった。
「どうや。なかなか盛大やろ」
「でも、わざわざ三セクの株式会社にしなくても、NPOでもできたんじゃないですか」
率直な感想を市長に伝えた。
「NPOを作れるまでに星野川市民は成熟してないで、しゃあないんや」
ささやくように言うと、市長は別のテーブルへと移った。
目の前には、サンドイッチや寿司、唐揚やサラダなどが並んでいたが、もちろん会費は一切徴収されていない。
懇親会が終わり、席を立ったとき、ひとりの男性に声をかけられた。見ず知らずの人であった。
「市議会議員の宇田さんが、倉知さんと話したいと言ってるんですけど、このあと時間ありますか」
突然の誘いに少し驚いたが、すぐに「大丈夫ですよ」と答えた。
会場を出たところで、宇田議員が待っていた。選挙公報で見たとおりの強面の顔は、一見すると政治家というよりヤクザに近かった。