詩小説『忘文』3分の過去未来。変わりたい人へ。

エピソード文字数 523文字

忘文

想い出話は苦手です。
言葉に詰まれば、泪は寄り添う。

語り出せばほら、哀しい色に染まるだろう。
私の頬が誘っている。あなたのもらい泣き。

いまごろ郵便受けに落とされたはずよ。
故郷の両親に宛てた忘文。

手紙の最後に追伸として添えた。
会って欲しい人がいると。

封をした茶封筒。ポストへと落とすその時に、もう覚悟は決めていた。

幸福な食卓はパパとママ、妹、それからひとつ空いた椅子で囲まれた。

私といえば、ママのお財布から毎晩玄関に置かれる裸の千円札でお腹を満たした。

どんな顔して迎え入れるだろう。
まるで別人のように見違えった私に
驚くかしら?
それとも声を掛けれないくらい素敵な彼に
躊躇うかしら。

夜の街に溶け込み、雑踏の中彷徨ったの。そう、虚しさ埋めるためなら身体すら売り飛ばした。

もうお金なんてねだったりしないわ。
欲しいのはそう、愛だけなの。

降ろした窓になびく髪。私の街を走らせる。ハンドル握る彼が私を変えたの。

空に揺れて消えていく煙草の煙みたいに、忘れ去りましょう。あの日の影。

かつて毎晩、裸の千円札が置かれていた玄関で深々と頭を下げる彼。

認めてください。
不器用すぎる私の生き方を。
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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