めっちゃ諦めが悪い。5~車 2
文字数 712文字
祥は慌ててエンジンを掛けた。ライトが森を照らす。
林道を進む。めちゃくちゃな速さだ。
車が跳ねる。がりがりと下を擦っている。
「祥。擦ってる。下、擦ってる!」
祥は夢中でハンドルを取る。
「そんな事、構っていられるか!」
祥が怒鳴る。
「アブソーバーやられる!足回りやられる!」
「うるさい!」
道は少し下っている。
「祥!下り!坂、下ってる。下り!ブレーキ!ブレーキ!きゃあー!曲がっている。道!曲がっている!」
「うるさい!ナツ。少し黙れ!」
「ぎゃー!木にぶつかる!」
私は目をきつく閉じた。
祥が急ブレーキを踏んだ。
大木の数ミリ先で車はジャンプして止まった。
私達は目の前にある巨木のざらざらした皮を見詰めたまま固まった。ライトはその荒いごつごつした木肌に反射している。
それを見詰めたまま、息をごくりと飲んだ。
祥が大きく息を吐いて、エンジンを切ってライトを消した。
途端に車のエンジン音が響いた。
私達はぎょっとして後ろを振り返る。
「ナツ。急げ。リュックとそれにライトとナイフ」
慌ててナイフを探す。
ドアポケット。
指先に触れた金属を取り出すとスパナだった。
「祥。ナイフがない」
私はおろおろしてそう言う。
「ナイフは俺が持っていた。早く降りろ」
車の音は近づいて来る。
森をライトが照らす。
「まさか・・・この林道を走っているのか?怖 え!」
「ええええええーつ!」
あの速さで?!
んな訳ないでしょう!
どんな車だよ!
私はスパナを握り締める。
祥がリュックを背負い、私の手を引く。藪の中に走り込む。
車の音が近づいて来る。
凄い音だ。
「ありゃあ、5、6千位回ってんじゃないの?」
祥が呟く。
車の音とギラギラ光るライトが近付いて来る。
私は泣き出しそうになりながら、祥の後を追った。
林道を進む。めちゃくちゃな速さだ。
車が跳ねる。がりがりと下を擦っている。
「祥。擦ってる。下、擦ってる!」
祥は夢中でハンドルを取る。
「そんな事、構っていられるか!」
祥が怒鳴る。
「アブソーバーやられる!足回りやられる!」
「うるさい!」
道は少し下っている。
「祥!下り!坂、下ってる。下り!ブレーキ!ブレーキ!きゃあー!曲がっている。道!曲がっている!」
「うるさい!ナツ。少し黙れ!」
「ぎゃー!木にぶつかる!」
私は目をきつく閉じた。
祥が急ブレーキを踏んだ。
大木の数ミリ先で車はジャンプして止まった。
私達は目の前にある巨木のざらざらした皮を見詰めたまま固まった。ライトはその荒いごつごつした木肌に反射している。
それを見詰めたまま、息をごくりと飲んだ。
祥が大きく息を吐いて、エンジンを切ってライトを消した。
途端に車のエンジン音が響いた。
私達はぎょっとして後ろを振り返る。
「ナツ。急げ。リュックとそれにライトとナイフ」
慌ててナイフを探す。
ドアポケット。
指先に触れた金属を取り出すとスパナだった。
「祥。ナイフがない」
私はおろおろしてそう言う。
「ナイフは俺が持っていた。早く降りろ」
車の音は近づいて来る。
森をライトが照らす。
「まさか・・・この林道を走っているのか?
「ええええええーつ!」
あの速さで?!
んな訳ないでしょう!
どんな車だよ!
私はスパナを握り締める。
祥がリュックを背負い、私の手を引く。藪の中に走り込む。
車の音が近づいて来る。
凄い音だ。
「ありゃあ、5、6千位回ってんじゃないの?」
祥が呟く。
車の音とギラギラ光るライトが近付いて来る。
私は泣き出しそうになりながら、祥の後を追った。