魅惑のS字!!
文字数 2,850文字
あのメガネ型の短いトンネルが並んでて、それ越しにカーブをやってくる列車が見えるって、あそこですね!! ヒドイっ!
ボクも時々撮影に行くよー。渋沢と新松田の中間にあって、下り側の踏切から狙うのが定石のいかにも小田急って感じの名撮影地だねー。
さふなり。小田急の風景、といってこれほどパンチのある風景は外になかろう。
でもなぜ? ちょっと盲点っぽいけど、なぜここを作ろうと思いついたんですか?
それはミエくんとワタクシで鉄道模型合宿のシェイクダウン走行をポポンデッタ海老名のレンタルレイアウトをしているときだった。
複線トンネルを抜けるミエくんのLSE改とワタクシの371改。そこでふと思ったのだ。
「小田急って、複線トンネル少ないよなあ」と。
建設のときに費用の面で断面積大きいトンネル掘るの避けたのかもしれませんね。複線トンネルは断面積大きいもの。
トンネルの掘削費用は断面積によりますものね。小田急は開業当初からかなりの窮乏状況で、株も長い間無配だったと資料で読みましたわ。なんとも経営的に苦しかったと。
それをこらえて現在の複々線完成に至る小田急の社史はまさに私鉄のなかで経営のリーダーシップが一番問われたものであるとワタクシは思うのである。良くも悪くも私鉄イズム全開なのだ。
たしかに経営者が自分が乗りたいからと列車の行先からダイヤから車両まで設定させてしまって、それが現代に至るまで走り続けてるとか、私鉄でなければ絶対無理ですよね。
それに小田急の職員さん、みんなそれぞれどこか楽しそうー。あんまり苦虫噛み潰してる人見たことないー。子供が手ふると必ず手を振りかえしたりホーン鳴らしたりすごくフレンドリーだよねー。
それはそれで小田急にも経営判断ミスではないかと思われることもあるのだが、それも含めて小田急は私鉄的で楽しい会社なのだ。ゆえワタクシは小田急原理主義穏健派を名乗り、作る模型の架空鉄道は北急電鉄を名乗るのである!!
なにげに北大阪急行さんとか北越急行さんとかにもメーワクかけてそうですけどね。あと北急のコーポレートマーク、どこか阪急さんのいまのマークに似てる気も。
うむ、その点でもワタクシは自らを厳しく律してテツ道に邁進せねばならぬのだ!
で、その小田急愛で作ったその第2菖蒲トンネルって、どんな感じなんですか?
何しろこの説明のためにこの写真のライセンスを購入したのだ。さすがプロの写真、ドンピシャである!!この品質なら値段も納得と言えよう!!
しかしただでさえお金が足りないのにこんなことをして大丈夫なのですか?
いちいち姑息な方法をつかって説明用の写真を探したり不法行為をしてリスクを背負うことに比べればずっとリーズナブルなのである。この写真を撮るために現地に赴いてドンピシャに撮れるまで頑張って撮るなら、気持ちよく払って使わせていただいたほうが双方にとって幸せというものであろう!!
ホントそうですわね。権利というものはそうやって互いを守り、互いをリスペクトし、互いを幸せにするために使うべきものですわ。
さすが詩音くん、その観点はワタクシも同じなのである。
そこで、このトンネルの再現のためにワタクシはベニヤ板を用意した。かつてのよねカーブと名付けられた緩曲線を作るときにホームセンターでカットをお願いしたベニヤ板が4枚ある。そのうちの2枚めを使う。
これが「よねカーブ」ですね。こういうゆるい曲線は楽しいですよね。
Nゲージはカーブではどうしても曲線がきついと車体のオーバーハングが飛び出して格好悪いからのう。
うむ、華子は鋭いのう。
はじめワタクシはこのように線路を配置しておった。
しかし!!
華子くん、こうなるべきだと君は言いたいのではないか?
そうなのだ。ワタクシはカーブの向きを間違えておったのだ……。
これで線路配置は決定である。出口と入口でユニトラック規格にしてあるのでユニトラックの線路に組み込んで自在に楽しめるぞ。
このように線路の傾き、カントをつけていく。ゴム系接着剤で線路を固定するときに片側に厚紙を挟んで角度を調整するのだな。あまりきついと列車が転覆してしまう。しかしゆるすぎると格好良くないのだ。そして角度の変化に調和がないと列車の挙動が乱れてしまうのだ。
それが模型のレールにカントをつける効用のひとつであるのう。もともと模型の走行安定性を考えてカントをつけないという選択肢もあるのだが、ワタクシはリスクがあってもカントをつけたいと思うのだな。
でもトンネル、単線トンネルだけど背が高いですね。これは小田急のトンネルが背が低すぎるのかもしれませんね。これぐらいはないと模型車両のパンタグラフが引っかかりそう。
カオルくんも鋭いのう。そうなのだ。その理由も、そのための後の検討でもまた判明するのだ。小田急のいろいろな苦労が、たったこの一つのトンネルでもまた一つわかることになるのだ。
テツ道とはなにか、わたくしも思索してまいりましたわ。それで、もしかすると他人の苦労を理解することもまたテツ道の精神かもしれないと思い至りました。世の中に楽な仕事など一つもないこと、でもその仕事の中に楽しみを見出していく……そういう世界観に至るのもまたテツ道ではないでしょうか。
さすが詩音くん、それもまた一つであるのだ。深く洞察すること、掘り下げて考えることにより、物事のより良い理解に至るのもテツ道なり。
さふなり。ゆえ、この第二菖蒲トンネルの作成もまだ続く。
ストーン調スプレーを使って一気にバラスト面を作ってしまうのである。
紙粘土で整形して砂利面を作っておいて、スプレーで一気に仕上げるのだ。
レールをしっかりマスキングしてから吹かないと本当にヒドイことになるぞよ。
最近編み出された広い面積を一気にバラスト仕上げする手法ですね。下地に黒い紙粘土を使えばさらに時間短縮効果が大きいとか。
さふなり。しかしやってみてわかったのだが、このストーン調スプレー、スプレー缶の軸が非常に弱くて脆いぞ。折れて私の心も折れそうになった……。それでも吹いたのであるが。
そして様々な手法への挑戦もまた、テツ道の探求の手段でもあるのだ。
すごい粒状感!! これならバラスト撒かなくても結構イケますね! ヒドイっ!!
さらにバラストを少量詰めてバラスト面を安定させることで線路面はほぼ完了である。あと線路のレール側面は塗っておくとギラつかずに仕上がりが良いぞ。
というわけでこの工作、続くのである!!
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)