(二)-14

文字数 293文字

 授業はまだ始まっていなかったこともあり、保護者たちは知り合いの人たちや、初めて会う人と軽く挨拶を交わしたり、世間話をして多少ざわついていたりしたが、辰巳の大声でその話題はこの二人に切り替わったようだった。
「何、あの方は」「お仕事の途中だったのかしら」「授業参観を何だと思ってらっしゃるのかしら」「うちのクラスにあのような方の子どもがいるの?」などの声が聞こえた。
 そして、すぐ斜め後ろに立っていた黒いロングヘアーで、白で花柄のワンピースを着た若い女性が、レースのフリルが付いたピンクのハンカチで口元と鼻を押さえながら「失礼ですが、あなた、なにかにおいますよ」と不意に言われた。

(続く)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み