4-2. 神様嘘つかない
文字数 1,536文字
翌日、ユリアたちがオフィスに来ると、シアンはすでにユリアの星のデータをすべてバックアップの物に交代復帰 していた。
「おはよう! 準備はオッケーだよ!」
シアンはニコニコしてサムアップする。
「ありがとうございます。なんてお礼を言ったらいいか……」
いよいよ始まるユリアの逆転劇。ユリアは期待と不安で胸がいっぱいになりながら、シアンの手を取り、頭を下げた。
「お礼なんていいんだよ。頑張ってね」
「は、はい。全力でやってみます!」
「テロリストが関係しそうなものを見つけたらすぐに報告してね。間違っても戦ったりなんてしちゃダメだよ。まだユリアじゃ絶対勝てないから」
「はい、気をつけます!」
「それじゃ、いってらっしゃーい!」
シアンは手を振りながら二人をユリアの星に跳ばした。
◇
気がつくと、ユリアはジェイドと共に過去の王宮へと戻ってきていた。
花の咲き誇る美しい庭園、それは焼け焦げて畑にされる前の美しい姿を取り戻している。確かに過去へと巻き戻されたようだ。
白い大理石でできた荘厳な王宮、中では侍女たちが忙しそうに動き回っている。
「ふふっ、王宮はこうでなくっちゃ!」
ユリアは赤いじゅうたんの廊下を上機嫌に歩き、奥の王族の棟へと急ぐ。
すると入り口の警備兵がユリアたちを制止して言う。
「お待ちください。大聖女様でもここから先はご遠慮ください」
警備兵の目には困惑が浮かんでいた。
「分かったわ!」
うれしそうにそう言うとユリアはパチンと指を鳴らす。
その瞬間、時間が止まる。
パタパタと歩き回る侍女たちの足音も、かすかに流れていた音楽もピタッと止まり、完全な静けさが王宮を包む。
警備兵たちも目を見開いたまま静止して、まるでマネキンのようになってしまった。
「ふふっ、お疲れ様!」
ユリアたちは警備兵をすり抜け、ダイニングルームへと進む。
ドアを開けると、王様と王妃、そして、第一王子とアルシェが食卓で昼食をとりながら静止している。
ユリアは楽しそうにアルシェの後ろまで来ると、パンパンと肩を叩いた。
「えっ……? あ、あれ……?」
アルシェは時の呪縛から解放され、周りを見回し、困惑の声を上げる。
そして、美しい金髪をゆらしながら振り向き、驚いて言った。
「ユ、ユリアさん? ど、どうしたんですか?」
「今、少しいいかしら?」
「は、はい……。で、でもこれは……?」
王様たちがピタリと静止してしまっている異様な状況に戸惑う。
「私ね、神になったの」
「は? か、神……?」
エンペラーグリーンの瞳に困惑の色が浮かぶ。
「そう、神なの」
ユリアはうれしそうに言う。
「この……、みんなを止めてるのはその……神の力?」
アルシェは部屋を見回し、給仕の侍女もピタリと止まっているのをいぶかしげに見て言った。
「そうよ? 神だもん。でね、戦争が起こるわ」
「せ、戦争!? 一体どこで?」
いきなりキナ臭い話になってアルシェは焦る。
「ここでよ。公爵軍やオザッカが攻めてくるの」
「そ、そんなはずはないよ。もう何十年も平和な関係を築いてるんだから」
「アルシェ、私は神なの。全部知ってるのよ。この王宮が攻め滅ぼされ、庭園が焼け野原になるのをこの目で見てるのよ」
「ほ、本当に?」
仰天するアルシェ。
「私は神、ウソなんて言わないわ。そして、そんな戦乱が続く星は不要だとこの星を作った神様は考えてるの」
「不要!? ど、どうなるの?」
「巨大隕石を落とされて、この星丸ごと焼かれるのよ」
「はぁっ!?」
いきなり世界の滅亡を予言され、動転するアルシェ。
「隕石落とされたら困るわよね?」
「も、もちろん……。でも、そんなことを僕に言ってどうするの?」
「あのね、クーデター起こして欲しいの」
ユリアはニヤリと笑った。
「おはよう! 準備はオッケーだよ!」
シアンはニコニコしてサムアップする。
「ありがとうございます。なんてお礼を言ったらいいか……」
いよいよ始まるユリアの逆転劇。ユリアは期待と不安で胸がいっぱいになりながら、シアンの手を取り、頭を下げた。
「お礼なんていいんだよ。頑張ってね」
「は、はい。全力でやってみます!」
「テロリストが関係しそうなものを見つけたらすぐに報告してね。間違っても戦ったりなんてしちゃダメだよ。まだユリアじゃ絶対勝てないから」
「はい、気をつけます!」
「それじゃ、いってらっしゃーい!」
シアンは手を振りながら二人をユリアの星に跳ばした。
◇
気がつくと、ユリアはジェイドと共に過去の王宮へと戻ってきていた。
花の咲き誇る美しい庭園、それは焼け焦げて畑にされる前の美しい姿を取り戻している。確かに過去へと巻き戻されたようだ。
白い大理石でできた荘厳な王宮、中では侍女たちが忙しそうに動き回っている。
「ふふっ、王宮はこうでなくっちゃ!」
ユリアは赤いじゅうたんの廊下を上機嫌に歩き、奥の王族の棟へと急ぐ。
すると入り口の警備兵がユリアたちを制止して言う。
「お待ちください。大聖女様でもここから先はご遠慮ください」
警備兵の目には困惑が浮かんでいた。
「分かったわ!」
うれしそうにそう言うとユリアはパチンと指を鳴らす。
その瞬間、時間が止まる。
パタパタと歩き回る侍女たちの足音も、かすかに流れていた音楽もピタッと止まり、完全な静けさが王宮を包む。
警備兵たちも目を見開いたまま静止して、まるでマネキンのようになってしまった。
「ふふっ、お疲れ様!」
ユリアたちは警備兵をすり抜け、ダイニングルームへと進む。
ドアを開けると、王様と王妃、そして、第一王子とアルシェが食卓で昼食をとりながら静止している。
ユリアは楽しそうにアルシェの後ろまで来ると、パンパンと肩を叩いた。
「えっ……? あ、あれ……?」
アルシェは時の呪縛から解放され、周りを見回し、困惑の声を上げる。
そして、美しい金髪をゆらしながら振り向き、驚いて言った。
「ユ、ユリアさん? ど、どうしたんですか?」
「今、少しいいかしら?」
「は、はい……。で、でもこれは……?」
王様たちがピタリと静止してしまっている異様な状況に戸惑う。
「私ね、神になったの」
「は? か、神……?」
エンペラーグリーンの瞳に困惑の色が浮かぶ。
「そう、神なの」
ユリアはうれしそうに言う。
「この……、みんなを止めてるのはその……神の力?」
アルシェは部屋を見回し、給仕の侍女もピタリと止まっているのをいぶかしげに見て言った。
「そうよ? 神だもん。でね、戦争が起こるわ」
「せ、戦争!? 一体どこで?」
いきなりキナ臭い話になってアルシェは焦る。
「ここでよ。公爵軍やオザッカが攻めてくるの」
「そ、そんなはずはないよ。もう何十年も平和な関係を築いてるんだから」
「アルシェ、私は神なの。全部知ってるのよ。この王宮が攻め滅ぼされ、庭園が焼け野原になるのをこの目で見てるのよ」
「ほ、本当に?」
仰天するアルシェ。
「私は神、ウソなんて言わないわ。そして、そんな戦乱が続く星は不要だとこの星を作った神様は考えてるの」
「不要!? ど、どうなるの?」
「巨大隕石を落とされて、この星丸ごと焼かれるのよ」
「はぁっ!?」
いきなり世界の滅亡を予言され、動転するアルシェ。
「隕石落とされたら困るわよね?」
「も、もちろん……。でも、そんなことを僕に言ってどうするの?」
「あのね、クーデター起こして欲しいの」
ユリアはニヤリと笑った。