第61話 とんでもない女

文字数 991文字

 ウチがとっているのは、朝◯新聞。対抗馬の◯日新聞に比べて、チラシの量が少ないので、スーパーの広告も限られています。だからと言って、不自由に感じたことはありません。

 夏場は週に2回スーパーで食品を買う。その1回が今日。今朝は行きつけの店のチラシが入る日。A2サイズのカラー両面広告。表面扱いのトップには野菜と肉魚がドドーンと掲載されている。冷蔵庫の野菜室とチルド室を眺めつつ、特売品とのコラボメニューを想像。ゴルフレッスンのあとに立ち寄るのだが、正午近く空腹なので予定外の物をついつい買ってしまいがち。無駄遣いしないようにと、書き出したメモが泣いている。

 新婚当時の私は、経済観念のまるで無い女。そして夫は、物の値段の標準価格を肌で感じ取れる男。そんなふたりの生活が始まり、やがてエンゲル係数がやたら高いことに気付く、夫が。「何に使っているんだろうね〜」 なんて呑気に構えて好きな物を買っていた私に問題があった。若気の至りなんてものではなく、明らかに無知。私は物の値段を比較したことがなければ、相場や定価、特売価格を見て買物したことがなかった。

 サラリーマン家庭の娘として育った私だが、お金も行動も自由奔放にさせてもらっていた。そして結婚を機に、夫からの経済的な洗礼を受けることとなる。その1つがスーパーのチラシ。今まで真剣に見たことがなかった。物の値段を見ても安いのか高いのかがわからない。定価は分かっても、相場を知らなかった。だから、初めのうちは広告=安いと思っていた。夫から「しばらく見て、買っていけば、どれが得なのかがわかるから」 と言われたが、随分時間がかかった。

 未だなんだかんだと夫に対して不満を持つ私だが、この過去を思い出すたび「よくぞ離婚せずに我慢してくれた」 と頭が下がる。結婚当初、既婚した友人からよく言われたのが「財布を握られたら、苦労するよ」 だった。その通り苦労した。不自由な思いも沢山した。でも今となっては、経済が得意な夫に任せて良かったと思っている。楽だ。この気持ちになるまでの紆余曲折は、いつかまた書きたいと思う。

「不幸だ〜、嫌だ〜」 と思った事って、人生の肥やしになることが多いと思います。その時は、眠れぬ夜が続いたとしても……みんな、少しだけ頑張ってみない?
と言うわけで、私も明日からタイトルを変えて頑張ります。今後とも、よろしくお願いします。
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