第39話  白竹魔優視点 真夜中の訪問(魔優)

文字数 3,320文字


 ※


 喫茶店のお仕事が終わるとようやく一息入れます。

 美樹より先にシャワーを浴びた私は、自分の部屋に戻ってニコラの相手をしてました。


 いつもならこの時間が至福の時でしたが……

何だか前より冷めちゃった感じ。

やっぱり自分で集めないと、ズルしちゃったらダメだよね。

 とは言うものの、恋愛レベルマックスのニコラが囁く愛の言葉にニンマリしながらも、デイリークエストを消化する魔優なのでした。


 

うん。やっぱり素直に好きって言ってくれると嬉しい。


 素直といえば、蓮くんだって同じですよね。

 普通に喋ってて急にドキっとすることを言ってきたりするから……


 事前に聖奈ちゃんに聞いてた。すんごいストレートだって。

 確かにああ言われると、変な気持ちになっちゃうかも。

あふ~今日もお疲れちゃった。


 美樹がバスタオル一枚で入ってくると、私のベッドに倒れこみました。

 そんで顔だけこちらを向くと、

ねぇねぇ魔優。坂田さんは大丈夫そうですね。

うんうん。これでまた一人アルバイトが増えて本当に助かるわっ。

だけどね、魔優。

学校でお話してた仮に付き合うってお話なのですが……


もし魔樹と聖奈ちゃんがお付きあいするようになれば、坂田さん……

美樹も気が付いた? 私もバイトの時にそう思ったのよ。

だから……彼女には正直に「ニセコイ」だって喋ってもいいかなって。

うにっ、そうしましょう。

だけど……私達の本当のことを喋るわけにもいかないし……

そうね。

だけどもこれじゃ根本的な解決にはならない。


こればかりは彼女の気持ち次第だし、しょうがないよ。

 思わず溜息が漏れる。

 その時ふと思い出した。


 蓮くんが染谷くんのことで悩んでいるのを。

 私もその気持ちが今……すごく分かる。


 お友達として仲良くなるにつれて、傷つけたくないと思ってしまう。

 

 二人で沈んだ顔になってると、急に美樹のスマホが鳴り始めました。

 慌てて画面を見た美樹は「聖奈ちゃん?」と首を傾げます。

こんな時間にどうしたのでしょうか?
もひも~ひ。美樹ちんでし。どうしたのでしょ「

ちょっと美樹!

楓蓮から聞いたわよ。どういうことなのよっ!

ふぇう!
 スマホから聞こえた大音量。私はすぐさま美樹の横に張り付きました。
まぁいいわ。後もう少しでアンタの家につくから。待ってなさい。

 一方的に電話を切ってしまった聖奈さん。

 なんだかめっちゃ怒ってます。


ちょと魔優! な、な、なんで聖奈ちゃん怒ってるですか!

なんで私……怒られるようなことをした覚えは無いのに。


 楓蓮さんから聞いた? なんのこと?

 あれ? もしかして……


 ニセコイの話?

まさか、楓蓮さんが聖奈さんに言って……何だか怒っちゃったパターン?

ど、どど。どうしよう! もうすぐ家に来るって。

 そんなタイミングでピンポーンってインターホンがなりました。

 その瞬間、美樹が飛び跳ねて私の布団へ潜ってしまったのです。

聖奈さん。早すぎでしょ。

 何か誤解されてる可能性があるのなら、正直に喋ればいい。

 大丈夫よ。


 ※





あ~ら。聖奈ちゃん! こんな夜分にいらっしゃい。

なんなら泊まって行ってもいいわよっ! 私達家族は大歓迎、コテツも大歓迎よ!

お邪魔します。じゃあ遠慮なく泊まらせてもらうわね。
あいつは来てないの? 平ちゃん。
もう帰っちゃいました。朝方迎えに来てくれます。

あらら、残念だわっ。せっかくコテツを見せてあげようと思ったのに。

見せてあげるついでに、ボッコボコにしてあげようと思ったのに、残念だわっ! 無念すぎるわよ!

平八くんのとこの子じゃな、美優魔優がお世話になっておるでな。

まぁゆっくりしていきなされ。

はいっ! ありがとうございます、遠慮なしに行きますね

 笑顔の聖奈さんを連れて私の部屋に招き入れます。

 すると美樹は正座をして待ってました。

あら、今の時間男なのね。

何でショーツ一枚なの? ふふっモコっとしててエロいわね。

あにょ。お風呂さんあがりでして……

 私が部屋のドアを閉めると、鍵を掛けます。

 じゃないと勝手にお母さんが入ってくるから。

美樹。

せ、聖奈ちゃん。わ、わたひ、何か聖奈ちゃんに悪い事をしたですか?

もしそうなら、ごめんなさい。


だけどわたし、全然身に覚えがなひのです。本当でしっ!

聖奈さん。美樹が何かしました?

私達に教えて欲しい。誤解はされたくないのでちゃんと正直に言いますから。

さっき楓蓮から電話があってさ……

 聖奈さんが突然来た理由は、やっぱり仮に付き合うってお話でした。

 楓蓮さんから聞くと、聖奈さんもそのニセコイ作戦に二つ返事で賛成したそうです。


 やっぱり聖奈さんも男の子に言い寄られるのはイヤらしく、その方法なら丸く収まると。

 私達と同じような考えに、ほっとするのですが…… 

で。美樹。何で反対なの?


しょ、しょれわ……

美樹。蓮が言ってたけども……


私にそんな気を使わなくっていいから。

別に蓮とあんたが仮に付き合うくらいで私は何とも思わないわよ。

つまり。こういうことでしょ?

 最初はちょっと怖かったけど、次第ににこやかになる聖奈さん。

 ようやく美樹も毛布に包まって座り始めます。

 

言い寄ってくる男には毎回うざかったし、これはあんたや魔樹にも良い方法だわ。

だから気にしなくていい。この案で行きましょうよ。

美樹。よかったじゃない。

ほらね。聖奈さんはきっと分かってくれるって言ったでしょ?

魔優。聖奈ちゃん……あひ。わかりましたっ!

 良かった。一時はどうなることかと思ったけど、この件はあっという間に解決した。

 

 後は……いつから付き合うのか、どんな風にクラスの皆を納得させるかを話し合ってると、私が気になってた「坂田さん」への配慮も伝える。


 

それは構わないけど、あんた達、最終的には坂田さんにカミングアウトするつもりなの?
 私は美樹と顔を合わせると、具体的にはまだ決めてないと告げる。

ただ、彼女は色々とお世話になってるし、美優も楓蓮さんとも仲がいいし……

最終的にはそうなるかもしれない。だから大事にはしたいと思ってます。

まぁまだ静観が正しいわね。

あんた達だってやたら滅多らにカミングアウトするのは避けたいでしょうし。


様子を見ましょう。私も彼女をよく見ておくわっ。

うんうん! 坂田さんはね、美優にも優しいし学校でもよく喋ってくれます。



 こうやって喋ってると、蓮くんと同じくらいの優しさに安心する。

 美樹だって聖奈さんに心を開いているのを見てると、彼女も私達にとってとても頼りになる存在だと思った。


 蓮くんも凛ちゃんも彼女に信頼を置いているのが分かった気がするのでした。

 一通りの問題が解決すると、その時急に部屋のドアが蹴破られるとママが入ってきました。

いいわね。あなたたち。青春だわ。青春すぎて羨ましいわよっ!

ねぇねぇ。ママも変身して学校に行ったらどんなキャラを演じればいい? 


もうっ! 勝手に入って来ないでよ! 出て行って!

 部屋の真ん中でクルクル回ろうとするママを引っ張って部屋の外に追いやります。

あ~~れ~~ま~~~。

私も遊びたいのよ。みんなとっ! フレンドリーになりたいわっ!

いいから! 来ないで! 学校に来たら本気で怒るわよ!

 ああもうっ! またドアが壊れちゃった!

 また鍵を買わないと、いつでも部屋に入ってくるからイヤなのよ!

ふふっ平八が言ってたわ。あんた達のお母さんは面白いって!
面白くないでしゅ。もう……変な事ばかりする変態さんなのです。

そそ。頭おかしいのよほんと。

聖奈ちゃんに何かするかもしれないから、私がちゃんと面倒見ておきますからね。


 だけど今のタイミングで入って来たのは良かったかも。


 聖奈さんも笑ってくれたし、美樹もやっとテーブルの前に座り始めました。

 ちょっとした緊張感を無くしてくれたのには感謝しなくちゃ。


 だけど……

 聖奈さんは「そうそう」と前置きしながら、美樹の横にくるとこんな事を言うのです。

美樹。前から聞きたかったんだけどさ、正直に言いなさい。

はふ?
あんた。蓮が好きでしょ?
はにぃ?

 その時の美樹の表情でくくっと笑っちゃった。


 聖奈さんも直球で質問してくると、私はこの後一体どうなるのか、ワクワクしてしまいました。

――――――――


次回。真夜中の訪問 2

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登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

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