2_未知の病

文字数 1,168文字

あぁもう、身体中ゾワゾワする。

そばかす治したのに今度は蕁麻疹。


こんなんじゃ彼氏も出来ないよ!

川沿いの遊歩道で黄昏れるナナ。

頭上の鉄橋を都電が走り過ぎていく。


そろそろ日が落ちる。

門限を守らないと叔母さんが怖い。

……帰るか。

渋々立ち上がり、帰路へつこうとするナナ。

ふと背後で水が跳ねる音がして反射的に振り向く。


全身緑の未確認生物が陸に上がるところだった。

間抜けなポーズで固まっている生物と目が合ってしまう。

みぃ~た~なぁ?











管理人さんに尋ねましたが、やはりナナさんは中二病のようです。


さっきも症状が出て訳の分からないことを口走っていたとか。

もし我々との接触にも原因があるなら、何とか治療に貢献出来ないだろうか?

201号室の浪人さんも発症経験があるそうです。


治療法を知っているかもしれません、訊いてきますね。

確かガイナーには友好的だったな。


頼むぞ。

――コンコン。
はい……


あ、ガイナさん!

こんにちは、浪人さん。


実は少しお伺いしたいことが……

ちょ、ちょっと待って下さいね!
一旦扉を閉め、慌ただしく部屋の中を掃除する201号室の住人。
お待たせしました!


立ち話も何ですから、どうぞ中へ!

お邪魔します♪

ペコリと深くお辞儀をし、巨乳がぷるんと揺れる。

思わずその谷間を見て鼻の下を伸ばす浪人生。


相棒の手際をこっそり見届け、関心する青年。

さすがだな、ガイナー。


コミュニケーション術はすでにマスターしているようだ。

俺も見習わなければ。

中二病の治し方?


ガイナさん、中二病なんですか?

え~っと……兄が。

な、なるほど。

あのお兄さんが……。


そうですね、僕の場合は人の振り見て我が振り直せって感じでしたね。

郷に入れば郷に従え、と似たようなルールですか?

ああ、つまり同じ中二病患者を見せるのですよ。

そしてその人が恥ずかしく感じれば成功です。


せっかくだし……ちょっと練習してみますか?

お願いします、浪人さん。
あ、あの……


僕の名前は”統べる”と書いてスバルと読むので……

ではよろしくお願いします、スベルさん♪
(外国人には発音が難しかったかな?)
諦めて参考用の蔵書を引っ張り出してくるスバル。
こんな風に腰をひねって……そう、そんな感じです!
「太陽に代わってお仕置きよ!」
客観的に説明するために写真撮りますね!

恥ずかしいほどいいんですよね?

露出を増やせばいいのでしょうか?


「ゴムゴルの仕業よ!」

太腿を露出し、胸の谷間を強調するガイナー。

イイ……!

最高ですよ、ガイナさん!


次はこのポーズをお願いします!!

もはやただの撮影会と化していた。

はっ。


邪悪のゴヅマをキャッチしました。

では行ってきますね。

え?


良く分からないけど、頑張って!

スバルの部屋を後にし、テレパシーで相棒と通信するガイナー。

『ゼロ、亜空間の振動を検出しました。


何者かがこの惑星に干渉したようです』

『そのようだな。出動する』
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登場人物紹介

天乃川ナナ


都会暮らしに憧れ、叔母が管理人を務めるアパートに越してきた高校一年生。

ご近所トラブルに頭を悩ませている。

宇宙野(うつの)ゼロ吉


203号室に住んでいる訳ありの外国人(?)

宇宙野(うつの)ガイナ


203号室に住んでいるゼロ吉の妹(?)

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