魔素の話

文字数 502文字

いっそのこと、森に住んだらどうだ?

命の源、魔術の源の魔素が多い環境に身を置いた方が、

魔術師としてはやりやすいと思うぞ。

そうですね。

オラシェの空気に含まれている魔素は少なくないですが、

やはり森の中と比べると薄く感じますね。

森での生活か。

確かに、魔素を多量に消費する人間がいない場所の方が

たくさんの魔素には触れられるんだろうが……。

アレースはそれで生きていけるの?

自炊とか、できたっけ。

パンとチーズでなんとかなる。
駄目じゃないですか……。
それに、数日とか数週間とか、そういう規模の話ではないでしょうに。
それが問題だよな……。

キャンプで居座るにも限度があるし……。

うんうん。
だからといって、あの辺りに住んでいる知り合いはいな――
目の前にいますけどー!?
あ。
そうだった……。
酷くない? ねえ、酷くない?

俺、家に招く気、満々で喋ってたよ?

それは楽しそうですけれど……、

アレースさんは研究旅行とか、いいんですか?

個人でやってることだからな、予定はどうにでも調整するよ。

それより、生粋の魔術師から魔術を学ぶチャンスか……。

あ、教えはしないよ?

というか、感覚的すぎて教えられるものでもないし。

え。
(どうなることやら……)
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登場人物紹介

スハイル-アルワズン

 魔術事務所世界/現代の主人公ポジ。

 代々魔術師を生業とするアルワズン家の次男。性格は温厚で、人当たりのいい好青年。

 出身はリエースの森。オラシェ街中の学校を卒業し、市街地の一画にある建物に部屋を借りて魔術事務所(便利屋)を営んでいる。

 魔術の腕は天才的だが、兄のレゴールがそれを上回るため、自分は凡庸だと思っている。が、難易度の高い魔術を使っている自覚はある。

 果物や紅茶が好物。口の中をズタボロにされたため、硝子魚は苦手。

 こんな顔をしているが体力は底なし。体もしっかり鍛えている。

レゴール-アルワズン

 代々魔術師を生業とするアルワズン家の長男。明るく賑やかな性格で、弟のスハイルを大切に思っている。

 オラシェ街中の学校を卒業後、リエースの森にあるアルワズン邸で暮らしながら魔術師協会からの依頼をこなしている。

 魔術の天才であり、発動速度もアルワズンの家系で1,2を争うほど。親しいものの前以外では魔術の行使を控えている。

 好きなものはナッツ。酒も好きだが、主に飲むのは紅茶。

 森から街まで歩いてくる。

アレース

 オラシェに住む魔術研究者。情熱とやる気はあるのだが、不器用なため魔術を使えたためしはない。

 基本的にニハルの経営する酒場「ヴィノー」に入り浸っているが、諸外国の魔術関係の史跡を巡る旅に出ることもある。持ち帰ってくる品々は品質が良く、本職の魔術師も垂涎もの。

 昔、旅の途中で自分を助けた魔術機関のことを気にしている。

 酒には強く、完全なるザル。エルムルイカの臭気は宿敵。

ニハル

 オラシェの裏通りで営業している酒場「ヴィノー」のマスター。意外とドジなところのある、無口でシャイな青年……なのだが、この4人でいるときには割と喋る。

 近年珍しい魔術師の孤発例。派手な魔術は使えないが、魔素そのものを弄っていろいろと遊んでいるようだ。

 アレースとは長い付き合いで、彼の希望で酒に魔素を溶かして提供している。意図せず飲み過ぎるアレースの体が心配な今日この頃。

 好物はエルムルイカ。日干しにしたものが店の奥に保管されている。

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