大宮寿能城
文字数 3,142文字
「一宮氷川神社の隣に築かれた寿能城は、宗教的権威としての『
火山爆発とアトランティス伝説
―見沼代用水とフランス革命は「天明の浅間山噴火」で結ばれていた―
古代ギリシャ、アテネ都市国家の倫理学者プラトンは、その著書『対話篇』において、かつて大西洋に存在したと云う「アトランティス」島の文明に言及している。アトランティス伝説との関連を指摘されるのが、エーゲ海のサントリニ島である。当時、地中海ではエーゲ文明クレタ王国が繁栄していたが、紀元前1628年にサントリニ島が大噴火し、津波・気候変動・食糧不足という壊滅的被災を受けた。クレタ人の精神も退廃し、吸血鬼など邪教が流行する中で、前1470年、再びサントリニ噴火が襲い掛かり、遂にクレタ文明は滅亡した。
一方、エジプト新王国では、こうした火山灰が太陽光を遮断し、寒冷と不作に悩まされていた。そこで、アメンホテプ四世イクナートン国王(ツタンカーメン国王の父君)は、唯一の太陽神を信仰し、その復活を祈るアトン教を創始した。この一神教に影響されたのが、当時エジプトに服属していた、預言者モーセを始めとするヘブライ人(ユダヤ人の祖先)であり、彼らは「我々も天主の御心と、約束の地イスラエルを取り戻そう!」と決意し、紀元前13世紀に『出エジプト記』の戦いが始まった。その途上、噴火や地震が発生し、大津波で紅海の水が動き、これに乗じてヘブライ人は、エジプト軍の追撃を振り切って脱出できたので、モーセの奇跡として謡われる事になった。
そして1783(天明三)年、我が国で天明の浅間山噴火が発生し、その火山灰は、見沼代用水の機能を破損し、更に全国的な天明飢饉を引き起こして、遂には幕府老中の田沼意次を失脚させた。同年にはアイスランドも噴火しており、浅間山とアイスランドの火山灰は、ヨーロッパを中心に世界的な食糧不足を引き起こした。追い詰められた市民達は、豪華なベルサイユ宮殿の王制政治を憎み、遂にフランス革命が勃発した…このように自然環境変動の観点から、神話と歴史、文明の興亡を読み解く仮説が研究されている。
「火山噴火と小天体の類似性」要約・加筆