ぷろろおぐ
文字数 467文字
女は後ろを向いた。微かな衣擦れの音がしたかと思うと、項 から右の肩あたりまでの膚 が露わになった。
一点の穢れなき乙女の雪の膚が、羞恥で桜色に染まっている。
鬢 のほつれが行灯の明かりを受けて光り、えも言われぬ艶 かしさだ。
ごくり、と男の喉が鳴った。
蠱惑 的な芳香が鼻孔を撲 つ。髪油でも、この年齢の娘に特有の甘い膚の匂いでもない。これはそう――
雪白の膚の下を熱く流れる乙女の血潮の香。
脳が沸き立つようで、ともすれば理性が吹き飛びそうになる。
「よ、よいのか。し、しかし――」
「女に何時 までも恥を見せるものでは……は、はやく……」
絶え入りそうな声だった。
男の身体の奥底から、嵐のように荒れ狂う衝動が湧き上がる。それはどこかに放出しなければ、己の身を滅ぼしかねぬ凄まじい威力を有していた。
ふっと行灯の燈 が消えた。
漆黒の闇が部屋を閉ざす。
刹那。
「――あぁっ」
小さい悲鳴が上がった。
やがて、微かな欷歔 の声が闇の中に溶けてゆく。
奇妙なことに、それは苦悶の声というより、むしろ何処 か甘えるような、切ない響きを帯びているようだった。
一点の穢れなき乙女の雪の膚が、羞恥で桜色に染まっている。
ごくり、と男の喉が鳴った。
雪白の膚の下を熱く流れる乙女の血潮の香。
脳が沸き立つようで、ともすれば理性が吹き飛びそうになる。
「よ、よいのか。し、しかし――」
「女に
絶え入りそうな声だった。
男の身体の奥底から、嵐のように荒れ狂う衝動が湧き上がる。それはどこかに放出しなければ、己の身を滅ぼしかねぬ凄まじい威力を有していた。
ふっと行灯の
漆黒の闇が部屋を閉ざす。
刹那。
「――あぁっ」
小さい悲鳴が上がった。
やがて、微かな
奇妙なことに、それは苦悶の声というより、むしろ