第77話  内緒の関係  2

文字数 3,007文字

ただいま! お兄ちゃん!
おかえり。今日は遅かったな。大丈夫だったか?

 今日のお兄ちゃんはすごく笑顔だった。だからすぐに何かあったのか聞くと、僕が元気そうだからだって。もうっ。僕は学校でも良い事があったのかなって思ったのに。

ねぇねぇ。今日。アルバイトは?

ふふっ! 今日は……休みだ!

 そうだったんだ。なんでそんな誇らしげに言うんだろう。

 実は、お姉ちゃんがアルバイトにいったら、虎にぃに連絡して家に来ない? とか言おうとしたんだけども。

飯でも買いにいかねぇ? プラスももまろの散歩に行こうっ!
うん! いいよ!
 僕は部屋に戻ると、女の子になって外に出かけるお洋服を探してた。
 
まった悩んでるのかよ
いーじゃん。たまにしか出掛けられないもん

 お姉ちゃん準備早すぎ。いつも短パンとシャツだし。髪型だって変えたらいいのに。


 まぁいっか。今度聖奈お姉ちゃんが教えてくれるよ。
 今度、お姉ちゃんを捕まえて女の子っぽく改造しようって言ってたから、今日は何も言わないであげる。




 お姉ちゃんとももまろでお弁当を買いに行く事になった。

 

 仲よく手を繋いで歩くのは昔から。
 僕がまだ幼稚園とかの頃からずっと……もしかしたら僕が覚えていない、もっと前からかもしれない。


今日の弁当はゴージャスでもいいぞ。鰻でもOKだ。


ほんと? どうしよう。何にしよーかな? でもお金大丈夫なの?
まぁな。染谷君にも借りは返したし、週末にはまた給料入るし、心配ねぇから
 染谷くん。そんな単語が出てくると、この前言ってた事を思い出していた。
ねぇ。染谷君のお兄ちゃんって、お姉ちゃんが好きなの?
何でそんな話に……ま、まぁ。気のせいかもしれないしな
お姉ちゃんはその……好きって言われたらどうするの?
……断るしかないだろ? 俺は……男だぞ
そうだよね……

何で華凛がそこまで知ってんだよ。

こりゃ聖奈が言いやがったのか?

だけど、いい友達だからさ、なるべく傷つけたくないし、どうしようか考え中。ってかお前に話しても分かんないだろうけど
んも~子ども扱いしないでよ!
おい。そんな怒るなよ。まぁ……どうにかなるさ
 どうにかなるさ。そう言うときって、答えを言わない。上手くはぐらかされてる気がする。
 でもお姉ちゃんもきっと、色々考えてるんだよね。

 こんな状態で……

 染谷君のお兄ちゃんも入れ替わり体質だって教えたら……
 きっと大変なことになるのは僕にも分かった。

 ※


 その時、大きな公園が見えてくると、グラウンドの中に見えたのは赤木達だった。

 男ばかりで六人。ドッジボールをやってた。




 学校の休み時間のようなノリで、大声出したり、楽しそうにしているのを見ると……凄く腹が立つ。
 と同時に……あんな奴でも楽しそうにしてるのが、悔しいのにも関わらず羨ましかった。

 僕だって、入れ替わり体質じゃなければみんなと一緒に遊べたかもしれないのに。

どうした? 知ってる奴がいるのか?
うん……ちょっとだけ
華凛。今は女なんだぞ
分かってる

 お姉ちゃんに引っ張られて公園から離れる。

 その後、曲がり角から急に現れたのは、なんと虎にぃだった。

おわっ。あ、あれ? 楓蓮さん? 華凛ちゃん!
 うわっ! 見つかってしまった。
 僕は咄嗟にそう思ったけど、
あれ? 虎ちゃんじゃない。こんばんは
 お姉ちゃんはすぐに女の子っぽく喋り出したんだ。
こんばんは。どこかお出かけですかい?
 虎にぃも、僕と接する感じじゃなくて、映画館へ行ったときのように受け答えしていた。
夜ご飯買いに、お弁当屋さんに行く所だよ
マジ? じゃあ俺も一緒に行っていい? 飯買ってかえろっかな

いいよ。一緒にいこっか。

ほら、ももまろ。大人しくしなさい。この子も怖くないおねーちゃんだぞ。

 そう言うと、虎にぃも一緒に行く事になったんだ。

ウソだろ……


マジでこの人が……蓮の兄貴なのかよ。

参ったぜ……同一人物なんて全然わかんねーや。


凄まじく女らしいし、美人だし……

 僕の心臓はバクバクしちゃってて、大丈夫なのかずっと心配だった。
 だって。こんな急に出てくるなんて思いもしなかったから。
 すると虎にぃは僕だけにしか聞こえない声で「作戦成功」と言うと、お姉ちゃんが前を向いてる隙に虎にぃはこちらを向いた思えば親指立ててニヤニヤしていた。

 何の事か分からず無視していると、あっという間に弁当屋さんが見える。


 お姉ちゃんと虎にぃは一言二言話しながら普通に喋ってて、出口で手を上げる虎にぃは物凄いスピードで走り去ってしまった。

ったく元気な奴だなほんと
 虎にぃが居なくなった途端、男っぽくなるお姉ちゃん。
 僕は「そうだね」と言うしか出来なかった。
華凛。どうだった? 虎ちゃんは怖くないだろ?
え? あ、う、うん!

 そっか! お姉ちゃんの頭の中だと、僕が虎にぃを怖がってると思ってるんだった。※

 散々「あの人怖い」って言っちゃったから。
 あぁ良かった。何も言わなくて正解だよ。 

今度はさ、勇気を出して喋ってみろ。

あの子はきっと優しい。お前の友達になってくれるかもしれんぞ

……うん

 実はもう……優しいのは知ってるし、凄い友達だし義兄弟なんだけど。
 まだそのお話は、お姉ちゃんに言えない。


 一緒に手を繋いで帰ろうとすると、僕のスマホがブルブルした。
 お姉ちゃんの手を離して、画面を見ると虎にぃじゃないか。

ん? お前ラインしてんの?
あ、うん!
誰だよ。あ……聖奈か?
う、うんうん!
 うわっ。お姉ちゃんの顔が凄いことになってたから、咄嗟に嘘ついちゃった。
 必死に作り笑いをしてて、顔が歪んでるよ。
ど、どんな内容?
だめだよぉ! お姉ちゃんには秘密だもん!
 そう言うとやっと諦めてくれた。
 僕は早速虎にぃからの伝言を開いてみると、
《楓蓮さんと徐々に仲良くなって、華凛との仲を認めてもらう作戦開始。そうすれば、華凛ちゃんに限って堂々と会うことが出来るかもしれねぇだろ?》 

 あっ!


 そっか。楓蓮姉さんだったら虎にぃも知ってるし、ここから普通に仲良くやって行けば……

 仲良くなっていくのを見てもらえば……


 す、凄い! 凄いよ虎にぃ! それならいけるかも!

どんな内容ですか? お姉ちゃんは気になるんだぞ
ダメだよっ! 僕と聖奈お姉ちゃんの秘密だよ

 しゅんとするお姉ちゃん。「へむ~」って変な声が出ちゃってる。



 ごめんね……
 きっと全て話せるように、それまで待ってて。

 再び公園の前を通ると、赤木達はまだドッジボールをやっていた。

 人数は減ったけども、さっきと同じで楽しそうにボールを投げ合っている。

 僕は勇気を出して、お姉ちゃんに言ってみた。
お姉ちゃん。ちょっと遊んじゃダメかな?
お前。あれの中入るつもりなのか? お前は今女なんだぞ
分かってるよ
でも華凛。喋れるのか?
ちょっと試してみたいんだ
 お姉ちゃんはじーっと僕を見る。
 こんな時、お姉ちゃんは何を考えてるか、いつも分からなかった。
わかった。みててやるよ。ボールを当てられて泣くんじゃねぇぞ
うん! 大丈夫!

 ふふっと笑顔を見せる楓蓮お姉ちゃん。
 許可を貰うと、僕はグランドに入っていった。



 僕はただ遊びたかっただけだ。



 だけど赤木がいるし、楽しくやられるのが何となく嫌だった。

 ドッジボールだし、思いっきりやればいい。僕はそう思ったんだ。
 

――――――――――――


僕が虎にぃを怖がってると思ってるんだった。※


第一部 第76話  蓮と華凛は従兄妹 4より。

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登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

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