第27話 まつ毛美容液

文字数 863文字

 おはようございます。今朝はどんより曇り空。昨日、デパートの人波にもまれ疲れたのか、1時間ほど長く寝ました。いつものように、起き抜けにトイレ、そして洗面所へ。

 目元がなんだか淋しい。ジィーッと鏡を見つめる。老眼が入り始めて早10年ほどになる。対象物と距離を置けば焦点が合うが、細かい所は確認出来ない。虫めがねと老眼鏡のコラボで初めて現実を知る。
「まつ毛、少ないじゃん。それに短い」
どこの毛も淋しくなるお年頃。分かっちゃいるがは、うわべだけ。

 半年くらい前『良く効くまつ毛美容液』なるものを、子どもに教えてもらい使い始めた。コロナ禍、目元が顔の全てを表すかのような風潮になって久しい。おそらく口紅よりもアイシャドーやアイラインの方が売れているだろう。老いたる私も、ご多分にもれず、まつ毛を育てている筈だった……

 始めて、ひと月。目の周りがなんとなく、じんわり黒い。「()えてきた?」 3ヶ月もするとそれは確信に変わった。「スゴイ スゴイ」 付けまつ毛もいいけど「やっぱり自まつ毛よね〜」 毎朝、鏡を見てはニヤニヤ。

 そんなある日のYouTube。まつ毛美容液の比較動画が、ニヤけた顔を凍らせた。
「私の使っているやつ、ダメじゃん……」 
涙袋が着色している。動画では効果があるものほど、着色があるようだと結論づけていた。そう言えば、なんとなくアイシャドーをつけたような影に見える。一度そう見始めたら、そうとしか見えない。「ここまで伸びたから、良しとするか」 と言うわけで、使うのをやめた。その後も効果は低めだが、着色しないとされる美容液を、伸びたまつ毛保護のためにつけたり、つけなかったりした。

 が、しかし前述の今朝である。涙袋まで着色させたのに、元の木阿弥(もくあみ)。ただ、着色した涙袋はほとんどわからなくなった。さあ、どうする?私。一重まぶたの私には切実な問題だ。

 以前のお話で写真は鏡で見るよりも……という内容で書いたことがありますが、着色されたであろう時に、涙袋を自撮りしてみたら、鮮明に色が写っていました。本当に写真て、怖ろしい(泣)


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