海に潜む魔物
文字数 1,078文字
クーちゃん！ さっきルードハーネちゃんの悲鳴が！
ハルカ先生！ 大変なんだ！ ルードハーネが何かに足をとられたみたいで……！
げほっ……助け……て……！
あれは……スライムがルードハーネちゃんに絡みついてる!?
仰向けで泳いでたから、うっかり蹴っ飛ばしちゃったのね。
スライムも相当気が立ってるみたい……！
スライムも相当気が立ってるみたい……！
えーと、確かスライムは炎魔法に弱かったはず――！
くらえ、ファイアーボール！
くらえ、ファイアーボール！
――ダメだ、距離が遠すぎて届かねぇ！
ええっと……どうしようどうしようどうしよう……。
波に押されて近づいたときに……は、引き潮だから無理だし……
満ち潮になるまで待ってたらルードハーネちゃんが……！
どうしようどうしようどうしよう……。
波に押されて近づいたときに……は、引き潮だから無理だし……
満ち潮になるまで待ってたらルードハーネちゃんが……！
どうしようどうしようどうしよう……。
げほっ……もう……ダメ……。
フレイムピラー！
ルードハーネがいる海中から炎の柱が噴き出して、驚いたスライムは逃げていった。
はぁ……はぁ……助かった……？
ルードハーネ！ 大丈夫？ 今浅いところまで引っ張ってってあげるから、ちょっと待ってなさい！
――やれやれ。危ないところだったね。
――あっ!?
まったく、頭が回るのはいいけど、考えすぎで動けなくなるのはハルカの悪い癖だな。
ルードハーネちゃんを足すけてくださって、ありがとうございます。
えーと、ハルカ先生の知り合いですか？
えーと、ハルカ先生の知り合いですか？
フフフ。初めまして。僕はクラウド。ハルカの兄です。
ハルカ先生のお兄さん!? すげーイケメンじゃん！ かっけー！
う、うちのお兄ちゃんは普通なのに……うらやましい……！
え、ちょ、ちょっと待って!?
（クラウディア姉様!? なんでここに……それになんで男装!?）
（クラウディア姉様!? なんでここに……それになんで男装!?）
しーっ。
（いくら何でも次期女王がこんなところに来ていたら騒ぎになるだろう。変装だよ、変装。
――というかハルカはなんで素のままで誰にも騒がれないんだ？）
（いくら何でも次期女王がこんなところに来ていたら騒ぎになるだろう。変装だよ、変装。
――というかハルカはなんで素のままで誰にも騒がれないんだ？）
（むー。王族オーラがないことぐらい知ってますよー）
このたびは助けていただいてありがとうございます。何とお礼すれば良いか……。
いやあ、そんなことはいいんだよ。それより、君たちは……？
ハルカ先生が担任しているクラスの生徒です！
そうか。夏休みなのに一緒にいるなんて、生徒に慕われているようで安心したよ。
ハルカが先生だなんて、ちょっと想像つかなかったからね。
ハルカが先生だなんて、ちょっと想像つかなかったからね。
ところでクラウド兄様、わざわざこんなところに何をしに……？
いや、実家のみんなが、ハルカが本当に夏休みに帰ってくるか、心配していてね。
先生になることを反対されて、実家がイヤになったんじゃないかって。
先生になることを反対されて、実家がイヤになったんじゃないかって。
まあ、ハルカは約束を破るようなことはしないって、僕は信じてるけどね。
もちろんだよ！ 七月はまだこっちにいるけど、八月いっぱいは王都に帰るから！
