第69話 正直すぎるメイちゃん・その二

文字数 1,490文字

 同じく冬の話。
 クリスマス前に、電気屋さんのおもちゃコーナーへ行った時のこと。
 おそらく、これは焼き芋の次の冬。裁判の冬のクリスマスプレゼントは、アンパンマンのパソコンで、次の年はプリキュアの服をサンタさんへリクエストしたから。
 突然の強制執行を避けて、週末はあちこちドライブへ出ていたし、ちょっとの時間を使って、公園や図書館、おもちゃコーナーへも寄った。その冬は、サンタさんへ何が欲しいかを決めるのに、おもちゃを見に行って、自由に遊べる小さなおもちゃスペースで一時間ぐらい遊んだりした。
 そこへ、同い年ぐらいの女の子が来た。
 同じぐらいの片言の友達に会って、大はしゃぎ。
「サンタさんに、なにをいうの?」
「きてー、わたしはこれー」
 プリキュアのコーナーへ友達を連れて走っていく。
 その頃はまだ保育園へ行けてなかったから、寒い日は家の中で、じいちゃんと一緒にDVD鑑賞。最初の冬は、マイメロディから始まった。
「マイメロになりたい」
 娘が初めて口にした、将来なりたいもの。理由は、「リボンがついていて、かわいいから」。
 次は、同じくマイメロに出てくる空手家の赤い髪の女の子。
「あかいおねえちゃんになりたい」
 DVDの影響で次の年の雛祭りに、マイメロディのお店屋さんテントハウスをネット通販で探して購入した。ショッピングセンターで私が買ってきたマイメロのぬいぐるみは、どこへ行くのも一緒で、ピンクと白が次第にくすんでいった。
 昔のDVDだったから、もはや入手困難なマイメロの絵本をネットで見つけて、ポチッとして金を振り込んだら在庫なしの表示。ネット通販で騙されて、仕方なく関係ない本を買ったイヤな思い出。ちょうど嘘つき家事審判をやっていた時だから、どちらも苦い記憶。
 その後のお気に入りDVDは、リロ&スティッチ、プリキュア、ゲゲゲの鬼太郎、怪談レストランなどなど。レンタルDVDショップでは、毎回キャンディーを一つもらった。
 スティッチを見て、家族という言葉を覚えた。
「オハナは家族。家族はいつもそばにいる。なにがあっても。」
 当時、娘の中で家族は、おとうさん、じいちゃん、ばあちゃん、犬のクーちゃん。新しい家庭のために用意した新築の家はなくなり、両親が揃った娘の家庭は、戦争や災害、事故や病気などの不慮の出来事ではなく、母親の傲慢さと家裁の不正によって崩壊した。
 リロ&スティッチがお気に入りだったけど、なぜか話し方や身振りを学んだのは、いじめっ子のマートル。
 クリスマスプレゼントを探しにおもちゃコーナーへ行った日。
 友達になった女の子には弟もいて、両親は向こうで家電を見ているらしい。二人は片言で家族について突然のぶっちゃけトーク。
 いつものように腰に手を当てた、自慢げなマートルポーズ。
「わたしはおとうさんと来てるのー。おかあさんはいないのー。もうだめなのー」
 いや、そこは自慢しなくていい話。
 そこに、その子の両親が来て、バイバイと手を振る。
 保育園には行けてないけど、つかの間のお友達ができた日。
 家に帰って、両親と、娘の正直さについて笑い合った。

「オハナは家族。家族はいつもそばにいる。なにがあっても。」
 どんなに離れていたって、家族は家族。
 心はいつだって一緒。
 家庭裁判所みたいな弱っちい不正組織には切ることはできない。
 今が一生続くわけじゃない。
 将来どうなるかは、誰にも分からない。
 大丈夫。家族はいつもそばにいる。

 でも、メイちゃん。
 なんで、お友達と話す時は、マートルだったの?
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