第三話『我とジェノと友達と』

文字数 1,732文字

茶色い戦士を召喚したミリリ。

相棒として共に学園生活を歩んでいくため、寮の自室で

これからのことを話し合うことにした。

とりあえず、大将って呼ぶのもアレだし、

名前を決めようか……。

おう!なるべくカッコいい感じにしてくれよな!

クックック。

それに関しては問題ないぞ。

貴様の二つ名は『ジェノ・サインダー』で決まりだ。


ほっほー!

ずいぶんとイナセな名前じゃねえか!

いいねいいね!気に入ったぜ!

フッフッフッ、そうであろう。

我に感謝するが良い。

ミリリが胸を張って得意げな顔をしていると、

ドアをノックする音が部屋に響いた。

少し間を置いて、ミリリの部屋のドアが開かれる。

おーっす。もう全クラス儀式が終わったみたいだな。

ってことで、ミリリの相棒を見に来たぜ。

ゲッ、ライナちゃん……。
おいおい、何だよその反応……。

で、お前の相棒はどこにいるんだよ。

いや、その、それは……。
なんだ、友達か?

……!?


えっ……?うん……こ……?

えっ、形容しがたい何かが喋った……?

俺がミリリの相棒だぜ!
……えっ。

…………えっ?

マジ……?え、マジですか……?

大変、悲しいことですが、

ごらんの通りです……。

……ンフッ!!

名前はジェノ・サインダーって言うんだぜ!

ま、いっちょよろしくたのむぜ!

ブフッ!!フヒヒ……グググ……!

(何だよジェノ・サインダーって……。

 うんこだぞ!?うんこにジェノ・サインダーって……だめだ、意味がわからん……)

……笑ってる?
わっ……笑ってない……笑ってない……んくく……!

そうかそうか。ならいいんだ。

フフフ、どうだ、終焉を描くような、素晴らしい二つ名だろう?


ブフッ!!プピッ!

(終焉を描くってなんだよミリリ……!

(食物か!?それは食物を意味してるのか!?

 確かに食べ物は最後にうん……だ、だめだ……)

悪い、ちょっと野暮用が……。

ライナと呼ばれた女性は、部屋を出た後、

寮の廊下に響き渡る程の声で大笑いしだした。

そして5分程経過した後、再び部屋に戻ってきた。

ふぅ~。すっきりした。

えーと……あれ……?なんだっけ……?

あ、思い出した。ジェノか。うん、良い名前だな!!

ねえ、さっきまで大声で笑ってなかった?


いや、そんなことはないぜ。

ミリリの耳がおかしくなったんだろうな。

なんだ、あたしの耳がおかしいだけか。

それで、ライナちゃんのサーヴァントは?

サーヴァント?ああ、相棒のことか……。

おう、こいつだ。入れ入れ。

どうも、こんにちは!

私、この度ライナ様の使い魔となりました

マンマルーでございます!

また珍妙な魔物だね……。

あたしより全然まともだけど。

あー、だから名前も適当につけた。

周りの奴等から『変なの』とか言われたけど

お前の相棒を見たら、まだ普通だということを実感したぜ。

こりゃまた随分と若そうな奴だな。

俺はジェノ・サインダーってんだ!

同じ魔物同士だ、仲良くしようぜ!

ブフッ!!

ま、まって……!そのフルネームの自己紹介やめて……!

そして我は、闇を統べし者、ミリリ・アルベールだ!

混沌から現れたジェノ・サインダーの主である。


フヒッ!クフッ……!

(だからなんでこのタイミングでキャラを作るんだよ……!

 ていうか混沌から現れたってなんだし……!意味分からん……。

 便所から現れたの間違いだろ……フフッ……便所の使者……)

ミリリ・アルベール様にジェノ・サインダー様でありますね!

よろしくお願いいたします!

混沌から現れたとは……!

ジェノ様は凄い魔物なんですね!

それに闇を統べし者……!

ミリリ様も凄い方なのですね!

ブフォッ!

ばっかやろう、マンマルーお前……ヒヒヒッ……!

凄い魔物……!ヒフッ!凄いって……!!

確かにある意味凄いけどさ……フヘヘッ……!

闇を統べし者……フフッ……ミリリ……!

闇のうんこってか……ブフッ!

あーもうだめ!ヒハハハハハフヘヘヘ……!

フハハハハハハハ!イーッヒヒヒヒヒヒ!

ミリリの部屋にライナの笑い声がこだまする。
ライナちゃん、殴っていい?

もしくは顔面にジェノを投げつけていい?

あの~……。

なぜライナ様は笑っておられるのですか?

ま、そう言う年頃なんだ。

よく言うだろ、箸が寝転がってもおかしい年頃ってよ。

それを言うなら、箸が転んでもおかしい年頃だから。

箸が寝転がるってなんだよ……。トドかよ……。
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登場人物紹介

ミリリ・アルベール


15歳。

中ニ病ぎみな女の子。

よくわからない事を呟いてカッコつけているが、

事あるごとに素の口調に戻ってしまう。

また、友達と一緒の時も素の口調であることが多く

中ニ病に入門したてと言ったところ。

胸が小さく、そこを突っ込まれると怒る。

幼い頃、猫の集団に襲われたことがあり、猫は大の苦手。

見かけるとトラウマが蘇ってヘタレる。

ジェノ・サインダー

『我が操るは、混沌から現れた強大な悪夢』

ミリリの相棒である魔物。

形容しがたい形と色と感触をしている。

強大な悪夢、というのはあながち間違いではない。

すし屋の大将で、歴戦の戦士という

よくわからない経歴を持っている。

ネオン・ライナーン


15歳。お金持ちのお嬢様。

事あるごとにミリリに嫌味を言ってくるミリリのライバル的存在。

……と本人は思っているがミリリには影が薄いと思われており、

その存在を中々覚えてもらえない。


自分の相棒は世界一の魔物と思い込んでおり、

色々な生徒に自分の相棒を自慢して周っている。

生徒達からは『何言ってんだこいつ』という目で見られているが、

本人はそのことに気づいていない、ある意味幸せな子。

金持ちの癖に頭が悪い。

ローズマリー


ネオンの使い魔。♀。

顔に合わない口調で喋る壺。

壺なので割れると絶命するが、

破片を集めると生き返ることができる。

ライナ・バーバレン


ミリリの友達。

中学生の時から一緒で仲が良い。

男のようなガサツな言葉遣いをして、

下品な言葉も平気で口にする残念な女の子。

めんどくさいことが大嫌いで、

自分の使い魔の名前すらも適当につけてしまった。

やることなすこと大体適当。

マンマルー


ライナの使い魔。

ライナに絶対的な忠誠を誓っている。

基本的に温厚な性格だが、ライナを侮辱する者や

攻撃する者には口調が荒くなり容赦がなくなる。

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