第47話 決裂
文字数 674文字
「俺はケインには返しきれないほどの恩義がある。だから彼の仕事を手伝う。が、俺たち悪党にも流儀がある。俺たちは殺しはやらない。絶対にだ」
梨華はラルフをまっすぐに見つめ、
「ラルフ、あたしたちをここから帰して」
「はあ?」
呆れたようにラルフは梨華を見つめ返す。この嬢ちゃんは突然、何を言い出すのか。
「今に母さまと水軍のみんながあたしたちを助けに来るわ。そうしたらあんたたちなんか、こてんぱんにやられちゃうんだから」
「父さま、じゃなくて母さまかい?」
「もちろん父さまも強いわよ。でもうちで一番強いのは母さまなの!」
大真面目に話す梨華に、ラルフは声を上げて愉快そうに笑う。
「何よ、笑いごとじゃないわよ。あたしはあんたを心配して言ってるんだからね!」
「り、梨華、やめてよ、恥ずかしいよ」
勇利は赤面して口をはさんだ。以前から感じていたのだが、どうもうちはよそとは少々違うらしい……。
ひとしきり笑うとラルフはすっと表情を引きしめた。
「俺たちはこの依頼を仕事して請け負った。何が正しいかなんて関係ない。俺は俺の仕事を遂行するまでだ。指輪をいただくまでは、おまえさんたちを帰すわけにはいかねえ」
さっきまでとは打って変わった鋭い眼光と冷酷な声が、梨華と勇利を凍てつかせる。
「話しあいは決裂だな」
突き放すように言うと、ラルフは立ち上がり、戸口へ向かった。
「なあに、あと少しの辛抱だ。指輪を手に入れたら、ちゃんとここから帰してやるよ」
梨華はラルフをまっすぐに見つめ、
「ラルフ、あたしたちをここから帰して」
「はあ?」
呆れたようにラルフは梨華を見つめ返す。この嬢ちゃんは突然、何を言い出すのか。
「今に母さまと水軍のみんながあたしたちを助けに来るわ。そうしたらあんたたちなんか、こてんぱんにやられちゃうんだから」
「父さま、じゃなくて母さまかい?」
「もちろん父さまも強いわよ。でもうちで一番強いのは母さまなの!」
大真面目に話す梨華に、ラルフは声を上げて愉快そうに笑う。
「何よ、笑いごとじゃないわよ。あたしはあんたを心配して言ってるんだからね!」
「り、梨華、やめてよ、恥ずかしいよ」
勇利は赤面して口をはさんだ。以前から感じていたのだが、どうもうちはよそとは少々違うらしい……。
ひとしきり笑うとラルフはすっと表情を引きしめた。
「俺たちはこの依頼を仕事して請け負った。何が正しいかなんて関係ない。俺は俺の仕事を遂行するまでだ。指輪をいただくまでは、おまえさんたちを帰すわけにはいかねえ」
さっきまでとは打って変わった鋭い眼光と冷酷な声が、梨華と勇利を凍てつかせる。
「話しあいは決裂だな」
突き放すように言うと、ラルフは立ち上がり、戸口へ向かった。
「なあに、あと少しの辛抱だ。指輪を手に入れたら、ちゃんとここから帰してやるよ」