第1話

文字数 846文字

世界がぜんたい イーハトーブへ


コロナが教えてくれたこと

世界がぜんたい
幸福にならないうちは
個人の幸福はあり得ない

自分だけがよければいいなんて
通用しない 貧しい者 病んだ者 苦しむ者を
放っておいては 結局 自分の命だって危くなる
考えてみればこれは最低限の倫理で
それすらも全く忘れ去って 世にも醜い
自己チュー人間に我々は陥っていたのだ
他者や自然との共生がなければ一人一人が
個人として幸せになれる筈がないではないか

コロナはそのことをはっきりと示してくれた
コロナはまさに人間の欲望が極限まで肥大化した
グローバル経済の中で発生しその流れに乗って
見事なまでにパンデミック化したものである
つまり我々の欲望がコロナを生み出し流通させ
それがブーメランのように自分たちに戻ってきた
というまさに自業自得を絵に描いたようなものだ

この経済体制の中でさらに格差が拡大し
人類の大半が食うや食わずの貧者になって
地球環境をほしいままに貪りつくしたとき
ごく一部の富者も最後には必ず滅んでしまう
それは癌細胞が増殖の限りを尽くして最後には
宿主である人間を殺してしまうのと同じである

そうならないためには今回のコロナは最良の
教師ではないだろうか ここから学ぶことが
できなかったら我々に未来はないのではないか

もう こんな野蛮な経済システムはやめよう
生き馬の目を抜くというが 毟り取り 奪いつくし
略奪するような野蛮な今の経済システムは
Homo sapiensを自称する唯一理性を持つという
動物がやることではないだろう

世界がぜんたい
幸せにならないうちは
個人の幸福はあり得ない

百年以上前に岩手の詩人が夢見たように
この世界を飢えも苦しみも争いもない
イーハトーブに変えて行こうではないか
今は単なる夢想に過ぎないかもしれないが
夢や理想こそがこの世界を変革してきたことも
また 紛れもない事実じゃないか

人類は夢や理想によって少しずつ野蛮を脱してきた
しかし 今 いかなる過去の時代よりも
巨大な野蛮に覆いつくされている

我々は否応なく大きな岐路に立たされている
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