ブラックナイト
文字数 1,462文字
信長の式鬼<金鋼 零>はすっくと立ちながらオタクたちを叱咤した。
式鬼<銀鋼 零>に乗っている天海、安東要、神沢優、月読波奈も普通に立っている。
天海は武勇に優れ、神沢優、月読波奈は秘密結社<天鴉>でも最強の異能力者である。
だが、安東要は普通の人間のはずなのだ。
メガネは無理なお願いをしてみた。
安部清明が無情にテレパシーで答えた。
メガネもテレパシーでねだってみた。
なかなか器用だ。
メガネたちオタク軍団は気力が萎えていた。
神沢優はふとつぶやいた。
オタクたちの心理を読みきった言葉であった。
ザクロの力強い言葉にメガネも静かにうなずいている。
しかし、見えるか見えないか半分スケスケモードのサイバーグラスで女の子のパンツが見たいという願望は恥ずかしくはないのだろうか。
たぶん、ないのだろう。
今、オタクたちの心は「月読波奈のパンツを見ずして死ねるか!」という一点で一致しつつあった。
<ブラックナイト>の重力波攻撃を気力で跳ね返し、オタクたちの<ボトムストライカー>が次々と立ち上がっていく。
ついに、オタクたちの雄叫びが天を揺るがした。
<ボトムストライカー>が全機起動し、立ち上がって一斉に抜刀した。
しかし、その刀は暗黒の霧のようなものを纏って不気味な妖気を放ちはじめていた。
安部清明は危険を察知していた。
<ボトムストライカー>の腹部に左回転の暗黒の渦巻きが出現していた。
安東要は尋ねた。
清明は悲痛な声で一気にまくしたてた。
安東要は真相を言い当てた。
安部清明の声は絶望に沈んでいた。
月読波奈の瞳は銀色に輝き、決意は揺るぎないように見えた。